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――品切れです――
「俺、病院で生きるために生まれたんじゃない」
「病院では患者。30すぎの俺を〈この子〉という。一人前に扱ってもらわれん。俺は自由が欲しい。自分の生活が欲しいだけや」
「俺たち、昔からやりたいことがでけへんかった。
大学に進むなら通信制、手に職を付けたいのなら七宝焼き、レタリング、ワープロ、とにかく病院のなかでできることしか医者は勧めようとしなかった。
兄貴、俺からもお願いする。出したってくれ。
今までの延長で俺たち生きたくない。停電や地震で人工呼吸器が止まっても、命が短くなっても利三の本望やと思う。
弘一兄貴、頼む」
いのちながらえるより生きた証を――
24時間介護を必要とする進行性筋ジストロフィーの次男と末弟が施設を出て自立を決行。長男も大手術を機に、二人の弟を介護するボランティア活動を決意。三兄弟が体験した感動の軌跡。
小西弘一(こにし こういち)
本名は小西弘二。本文中の次男・俊二は「俊光」、三男の利三は「利幸」が本名。昭和32年4月奈良県生まれ。昭和56年京都大学卒業、奈良県庁職員となる。平成8年に大手術を受け、平成11年県庁を辞職し、以後、介護・ボランティアと歩む。
小西弘一 著 発売日2000.01.27 ISBN 4-89295-152-8 C0036 四六並製・256頁・定価 1650円(本体 1500円)
1章 末弟の決意
原風景
兄たちへの思い
病院での生活
母倒れる
2章 次兄の決行
もっと走りたかった
残された大学ノート
過激な自立支援
社会へ出たい
3章 長兄の決断
手術
私自身の自立の決心
4章 一歩前へ
長い命より、生きたという証がほしい
三兄弟が見た夢
俊二、ついに病院を出る
母からの手紙
5章 煌めきの時を求めて
それは波乱の幕開けだった
出口の見えない苦悩
不思議なボランティアさん
団体交渉
結婚する相手は?
さよなら、利三
読者の声
個々の患者さんの思いを無視していた (岡山市 男性医師 33才)
病院に勤務する立場では、医療や療養を目的とした入院で、個々の患者さんの思いを無視してしまっている。そういうことにいつのまにか慣れてしまっていることに気が付きました。
生き方や考え方を確認し、点検し、修正していく機会を得た (奈良市 男性公務員 49才)
強い衝撃を受けました。家族とは兄弟とは、親子とは師弟とはなどなど考えさせられました。何度も読み返しています。この本を手にすることができたことで、私自身の生き方や物の考え方を確認し点検し、修正していく機会を得たことに、深く感動を覚えます。
人間の根源的欲求が切々と伝わってくる (奈良市 主婦 64才)
万難を廃しても、自己の生存権と主体性を主張する人間の根源的欲求が切々と伝わってくる。その精神力が社会を変える力となるだろう。