今、世界は中共武漢発の新型コロナウイルスの伝染で大きな混乱が拡がっている。多くの人命の損失に加えて世界中で生産活動が止まり、その損害はどれほどになるか全く想像もつかない状況だ。しかし中共政府はこの感染の原発地の武漢の管理責任があるのに、ウイルスの生成の場所が不明だとか、米国から持ち込まれた可能性があるなどと強弁し謝らない。この無責任ぶりは、常に中共から歴史を鑑にしろと非難され贖罪意識を強制させられてきた日本人にとっては実に腹立たしい限りだ。また、肝心の歴代日本政府が中共の歴史非難に反論もせず弱腰なのも大いに不満だ。
このように中共が日本を敵視し上から目線でいるのは、なぜなのか。日本人が近代史を知らないからではないか。それは支那事変と中共の正体だ。日本人は歴史の真実を知らず騙されてきたのではないか。
日本では支那事変はいまだに原因が分かっていないとされている。盧溝橋の謎の一発で始まったというが、近代戦は巨大な補給戦だ。やくざの出入りではない。その後、確かに日本は支那の広大な地域を占領したが、もともといつまでも占領を続けようとしたわけではない。必死に撤退しようとした。それなのに、撤退を妨害したのは蒋介石のほうだった。しかし現代日本人は事情を知らず、日本軍が中国大陸を占領したから悪いと短絡的に思っているのではないか。
支那事変とは、日本政府が逃げ遅れた居留民保護のために上海に出兵したところ、足止めされ、泥沼の国共内戦に引きずり込まれて帰れなくなったというのが実態だ。だから支那事変は「もらい事故」であり、日本のほうが被害者なのだ。
戦後の有名な挿話を紹介しよう。一九六四年、日本社会党の訪中団が毛沢東と会談し、支那事変について毛沢東に謝ると、毛沢東は「共産党が国民党軍を破り政権を取れたのは日本軍のおかげです」と逆にお礼を言ったのである。しかし訪中団は支那事変の実態を知らなかったので、ポカンとして毛沢東の言葉の意味が理解できなかった。実はこの戦争では日本は四十五万人もの前途ある青年を殺され、莫大な資産を失い最後には三百万人もの日本人が米軍のおかげで命からがら大陸から脱出したのである。毛沢東の好きな格言は「馬鹿は大石を持ち上げて自分の脚の上に落とす」であったという。馬鹿が誰かは言うまでもない。
日本を圧迫している中華人民共和国(中共)とは何者なのか。(中共は中国共産党の略称だが、日本では一九七一年頃までは中華人民共和国の略称でもあった)。中共は徹底した秘密主義と偽情報で長いあいだ正体が分からなかったが、毛沢東の死後、経済開放による人と情報の交流と特にSNSの普及によりだいぶ様子が分かってきた。社会主義国というが社会は平等どころか差別だらけだ。幹部と家族は世界的な大金持ちだ。そして国民に参政権がない。このため民主化を求めるデモが各地で起きている。特に今回の武漢肺炎事件の対応の不誠実性で中共政権の化けの皮が一挙に剥がれたのではないか。米国の歴史学者E・ルトワックは産経新聞の記者に「この事件は中国が虚言の国であることを白日の下にさらした」と述べている。そして中共を作った毛沢東とは何者なのか。
自由中国人の苗剣秋氏は、戦後の日本人は自国を過小評価し中共を過大評価していると忠告している。そこでこの誤解の原因となっている支那事変と中共を新しい資料や考え方で分析し見直すことにしたい。