普及版 戦争犯罪国はアメリカだった!

英国人ジャーナリストが明かす東京裁判の虚妄

ヘンリー・S・ストークス 著 藤田 裕行 訳 2020.11.25 発行
ISBN 978-4-8024-0108-1 C0021 新書版 304ページ 定価 1320円(本体 1200円)


今年は、市ヶ谷で極東国際軍事法廷、
いわゆる東京裁判が行われてから75年目の節目に当たる。

私は日本国民が、東京裁判の虚妄に目覚め、
史実と正義の声を上げてくれることに、期待している。
日本人が、そう思わないことには、
日本の名誉が回復されることは無い。

           ― ヘンリー・スコット・ストークス


普及版刊行に寄せて

普及版 戦争犯罪国はアメリカだった!

本書は、全ての日本人に読んでもらいたい。
いや、全ての日本人が、読むべき本であると、そう思った。
『戦争犯罪国はアメリカだった』という、親米派にはドッキリとするようなタイトルの本書は、発売されると瞬く間に一万、二万と刷られていった。
たちまち五万部近くを売り上げたのは、驚きだった。
本書は「歴史書」と言ってもいい。さっと読み流せるような本ではない。それにも関わらず多くの読者を惹きつけたのは、著者ヘンリー・ストークス氏の堂々たる立論があったからだ。
この度、本書が普及版として刊行されることになった。単行本として出版されてから四年半の時が流れたが、驚いたことに、本書は全く古くなっていない。
著者は、三島由紀夫と最も親しかった外国人ジャーナリストだ。令和二年十一月二十五日は、あの「市ヶ谷事件」から半世紀、ちょうど五十年という節目の日にあたる。そんな時に、単行本がより安価な形で、再び世に出ることは、不思議な思いを禁じ得ない。
著者は、東京裁判こそが戦争犯罪であると、喝破する。そして、その東京裁判が行われた場所こそが、なんと「市ヶ谷事件」の現場であった。
一般に、三島由紀夫は、「自衛隊の存在を違憲」と考え、憲法改正、さらには「国体」の護持を訴えて自決したとされている。しかし著者は、それ以上の意味を三島の自決につけ加えた。本書を虚心坦懐に読めば、著者の「仮説」が真相であったかのように思われてくる。
いわゆる「大航海時代」以降の世界は、白人列強が有色人種を「動物」のように使役し、搾取して栄華を極める時代だった。アジアでは、実質的に植民地となっていない国は、日本しかなかった。あとの全ての国は──列強のアジア争奪戦の緩衝地帯となっていたネパールとシャム(タイ)王国を例外として──白人列強の国々が宗主国となって植民地支配をされていた。
その中にあって日本は、生き残りを賭して戦っていた。
「レイプ・オブ・江戸」と、そう著者は「黒船来航」を位置づける。
新大陸を「発見」した「清教徒」たちは、既にその地に住んでいた「インディアン」や「インディオ」たちを大虐殺し、その代わりにアフリカから「黒人」を輸入して使役した。
異教徒は、キリストの信者となるか、虐殺するかという「明白な使命(マニフェスト・デスティニー)」を掲げ、西へ西へと西部を開拓し、西海岸(ウエスト・コースト)にたどり着いた。その先には、ハワイをはじめとする太平洋の島々、そしてアジアがあった。アジアの手前に、防波堤のように存在していたのが、日本列島だった。
ペリーの来航は、平和的ではなかった。いわゆる砲艦外交。「開国しなければ、江戸を火の海にする」と恫喝した。
「江戸政府」の右往左往に、市中には「尊王攘夷」の嵐が吹き荒れた。ついに日本は明治維新を迎え、「鎖国」から「開国」へと舵を切った。
明治維新からの「富国強兵」政策は、侵略戦争の準備などではない。国家と民族の生存を賭した「生き残り戦略」だった。西欧列強の武力による植民地支配に打ち勝つには、日本も力をつけなくてはならなかった。
危機は、東や南からだけではなかった。
日本の西、支那大陸には、清国があった。アヘン戦争に敗れた清国は、欧州列強によって食い荒らされていた。その脅威を日本がまざまざと感じたのは、いわゆる「三国干渉」という白人帝国による侵略だった。日清戦争に勝利して日本が得たものを、ロシア、フランス、ドイツという白人国家が略奪した。三国を相手に戦えない日本は、「臥薪嘗胆」──耐え忍ぶしかなかった。
日本の北からは、白人帝国ロシアの南下が迫っていた。日露戦争は、朝鮮半島の北に位置する満洲が主な戦場だった。
日本が「白人帝国ロシア」との戦いに勝ったことは、全世界の有色人種の希望となった。有色人種の国家が、初めて白人国家を打ち負かしたのだ。強くなければ、やられてしまう。そういう時代背景の中で、日本は白人と唯一対峙できる国家として台頭してゆくのだった。
第一次世界大戦では、日本は戦勝国となった。わずかではあったが対ドイツ戦に日本は派兵していた。いよいよ白人と対等な立場に至った日本は、ベルサイユ講和会議で「人種差別撤廃」の提案を行った。多数決では、十一対五で日本の提案は可決されたが、アメリカのウィルソン大統領は、「このように重要な決議は、全会一致であるべきだ」と、「人種差別を撤廃しよう」という日本提案を葬り去ったのだ。
アジアの利権を得たいアメリカだったが、建国してから歴史の浅いアメリカは、欧州列強に比べ支那大陸の進出に出遅れていた。そこで、目障りなのが日本だった。
アメリカは、支那で台頭してきた蒋介石の中華民国政府と手を結び、「純朴な支那人を搾取する邪悪な日本人」というネガティブキャンペーンを始める。「対日移民法」によってアメリカの日本移民を縛り上げ、ついには禁油にまで及ぶ。当時の日本は、石油輸入の六割をアメリカに依存していた。それが断たれた。さらにアメリカは、国務長官のコーデル・ハルが「最後通牒」によって、日本が明治以来、支那や満洲で得てきた権益を全て放棄して完全に撤退することを求めてきた。
対米交渉では、日本はギリギリまで戦争の回避を模索していたが、この「ハル・ノート」によって、開戦を決断する。イギリスのチャーチル首相は、欧州戦へのアメリカの派兵を求めていたが、ルーズベルトは「派兵しない」ことを公約にしていた。そこで日本を開戦に持ち込もうと、絶対に日本が受け入れられない「和平提案」を突きつけたのだった。これが「ハル・ノート」だった。
日本は、追い詰められて開戦を余儀なくされた。それは「侵略戦争」などではなく、自衛戦争だった。それと同時に、アジアを植民地支配している白人列強と、「アジアの解放」の為に戦ったのだった。日本は、アジアを侵略したのでも、アジア人と戦ったのでもない。日本がアジアに進攻して戦ったのは、アジアを侵略していた宗主国の白人列強とだった。
今日の日本では、先の戦争は「太平洋戦争」と呼ばれている。しかし、日本で閣議決定された正式な戦争名は「大東亜戦争」だった。そこには白人列強からアジア諸国を解放するという意味が込められていた。
実際に、昭和十八(一九四三)年十一月五日から、大東亜会議が東京で開催された。世界史で初めての有色人国家によるサミット(首脳会議)だった。著者は講演がある度に、英語で次のように語っている。
「東條首相、満洲国の張景恵国務総理、中国南京政権の汪兆銘行政院長、フィリピンのラウレル大統領、ビルマのバー・モウ首相、タイのピブン首相代理であるワイワイタヤコーン殿下といった各国首脳が一堂に会し、ボースはインド仮政府代表としてオブザーバー参加をしました。
今日、日本の多くの学者が大東亜会議は日本軍部が『占領地の傀儡』を集めて国内向け宣伝のために行ったと唱えています。しかし、そのようなことを言う日本人こそ、日本の魂を売る外国の傀儡というべきです。
会議では大東亜共同宣言が満場一致で採択されました。ボースは『この宣言がアジア諸国民のみならず、全世界の被抑圧民族のための憲章となることを願う』と訴えました。
ボースは、日本は『全世界の有色民族の希望の光だ』と宣言しました」
日本軍がアジアに進攻し、アジアを支配していた欧米の軍隊を駆逐した。これによって、アジア諸民族の中に独立の機運が高まり、実際にアジア諸国が次々と独立を果たしたのだ。
白人による有色人種の植民地支配という「世界秩序」を終焉に向かわせたのは、大東亜戦争であった。
しかし、マッカーサーが違法な「裁判所条例」によって開催した極東国際軍事法廷(東京裁判)は、日本を侵略国家として断罪し、東條英機陸軍大将をはじめ七人を、いわゆる「A級戦犯」として絞首刑に処した。
この東京裁判について、著者は厳しく批判する。著者の主張するところを、列挙してみよう。
・日本は東京裁判を受け入れたのではない。
・東京裁判は、違法裁判であり無効。被告は全員無罪。
・ウェッブ裁判長は、検察官だったし、国際裁判の裁判長をするだけの資格がない。
・東京裁判は、行政処分をする役所だった。
・「事後法」によって、戦争犯罪人を作り出した。
・捕虜の不当処刑は、国際法違反の戦争犯罪。
などといった観点だが、示唆に富む。
東京裁判の判事は、全員が戦勝国の出身だった。これでは正に「勝者の裁き」で、不当な「復讐裁判」だったと言えよう。そうした中にあっても、国際法の唯一の専門家であったインドのパル判事は、裁判の不当性を訴え、全ての被告の無罪を主張した。
東京裁判は占領下で行われた。目的は、アメリカなど連合国の戦勝国史観を宣伝することと、日本人に贖罪意識を植え付け、二度とアメリカに歯向かおうなどという気持ちを持たないように日本人を骨抜きにすることだった。日本国憲法は英文で書かれたが、まるで「属国条約」である。日本の宗主国はアメリカだという「証文」である。日本人は、その生命を「平和を愛する諸国民の正義」に委ねると宣言させた。自分の国を自分で守らずに、他国に守ってもらおうというのでは、独立主権国家ではない。
アメリカ軍に国の防衛を依存している限り、日本は永久に国家として自立できない。
著者は、三島由紀夫が五十年前に、東京裁判が行われたその場所で自決をして訴えたのは、その日本の独立の精神を復活させるためであったと論じている。
奇しくも先日、「戦後政治の総決算」を訴えた中曽根康弘大勲位が逝去された。
「憲法改正」を訴え、歴代首相の中で最長の在任期間を誇った安倍晋三首相も退陣した。
改めて本書を読むことで、敗戦によって失われてきた日本のあるべき姿を取り戻したいものである。その意味で、本書が普及版として刊行され、さらに多くの、否、日本の全ての国民に読んで頂ける一助となることは、著者にとっても至上の喜びとなることであろう。

令和二年十月十九日



目次


普及版刊行に寄せて 藤田 裕行(国際ジャーナリスト)

序章 東京裁判こそ戦争犯罪だった

第一章 極東国際軍事裁判研究プロジェクト
講演『東京裁判の虚妄とジャーナリズム』

第二章 三島由紀夫の『市ヶ谷事件』
なぜ三島由紀夫はあのような事件を起こしたのか?
事件当日

第三章 アメリカによる洗脳
なぜか戦勝国の正義をプロパガンダする日本
洗脳されたことに気づかない日本のメディアと国民
「A級戦犯」という表記は誤りである
「A級戦犯」が祀られる靖国神社を参拝してはいけない?
民意に反して、軍部が戦争に国民を引きずりこんだ?
日本は、侵略戦争を起こし、アジアの人々と戦った?
日本軍は、アジア諸地域、太平洋戦域で多くの民間人を犠牲にした?
日本軍は、沖縄の人々を見捨て、犠牲にした?
東京大空襲や広島・長崎への原爆投下は、日本が過ちを犯したから?
WGIPの洗脳を解くには

第四章 イエズス会の独善的な日本布教
神がモーゼに与えた神託
狂信的な布教をしないクリスチャン
アメリカのテレビ福音伝道師
イエズス会は、権力を利用して布教した
権力者に媚びるキリスト教宣教師たち
フロイスの『日本史』で読むイエズス会の姿
秀吉の庇護を受けるイエズス会
北政所まで利用するイエズス会
イエズス会の独善的布教に激昂した秀吉
人身売買をしていたキリスト教徒たち
天正少年使節団による悲しい報告

第五章 白人キリスト教徒による世界侵略と有色人大虐殺
共栄をめざした日本の海外進出
農耕民族的な日本人と狩猟民族的な白人キリスト教徒
異教徒は、殲滅する教え
キリスト教十字軍の誇り
ポルトガルとスペインによる世界侵略
マゼランは、なぜ殺されたのか
「黒い伝説」と呼ばれるもの
帝国を築く礎となった海賊たち
清教徒の「マニフェスト・デスティニー」
鎖国はキリスト教徒の横暴を阻止するためだった

第六章 「レイプ・オブ・江戸」と明治維新
「黒船」来襲が象徴した侵略と虐殺
三島が黒船を嫌悪した理由
平和な日本に突如として現れた「外夷」
黒船来航に動揺する幕府と朝廷
日本に迫る大国ロシアの脅威
激震する安政の日本
孝明天皇の「攘夷」の意志

第七章 白人支配の世界で独立主権を貫いた日本
白人列強の軍事的脅威
『錦の御旗』の権威
熊本に「神風連」を訪ねる
白人支配の世界で有色人種が独立を保つには
白人に唯一対抗できた日本
日本に迫る白人列強の脅威
天津条約と朝鮮半島の情勢
日清戦争と甲午改革
北の脅威、大陸の情勢
三国干渉という白人列強の侵略行為

第八章 民族平等の世界を目指した大東亜共栄圏
徳富蘇峰を叩きのめした三国干渉
大東亜会議は、世界初の『有色人サミット』だった
『大東亜戦争』という呼称を蘇らせよう
『大東亜会議』七十周年での私の演説
『レイス・ウォー』の驚愕の内容
日本はアジア諸国と戦争をしていない

第九章 連合国によって「創られた」裁判
東京裁判を受け入れた?
「違法裁判は無効」という当たり前のことが無視されている
裁判を勝手に開いても、無効だ!
検察官は、裁判官を務められない
法理に従う法廷ではなく行政処分をする役所だった
明確な『管轄権』がなかった東京裁判
『事後法』によって戦争犯罪人を作り出した
捕虜の不当な処刑は、国際法違反の戦争犯罪
『勝者の裁き』を明白にしたベンブルース・ブレイクニー少佐
ジョージ・ファーネスの思い出
文明に逆行する東京裁判を日本は絶対に認めてはならない
いまだに占領の呪縛の下にある日本

第十章 東京裁判七〇年の虚妄を打ち破れ!
世界が認めていない東京裁判
英文「判決」は、七月にできあがっていた
「少数意見」は、黙殺された
『判決の日』──昭和二十三年十一月十二日
死刑判決は、どのように決まったか
「出来レース」の裁判
戦争責任を個人に帰した「死刑」判決
パール判事の『日本無罪』論を検証する

第十一章 大東亜戦争の真実
大虐殺をしてきたのは白人キリスト教徒の『列強』だった
満洲事変は、日本の侵略戦争ではない!
支那事変は、日本の侵略戦争ではない!
盧溝橋事件は、共産党が仕掛けた
『南京大虐殺』は通州での邦人大虐殺のカモフラージュ
大東亜戦争は日本にとっては自衛戦争だった

最終章 三島由紀夫はなぜ「市ヶ谷」で自決したのか!?
日本軍の侵攻を歓喜して迎えたアジアの植民地の人々
日本軍は、高貴な軍隊だった
語られないアメリカ軍の残虐行為
東京大空襲と『赤い吹雪』
アメリカ人には理解できなかった日本の徹底抗戦
『キャリー・オン』
東京裁判と原爆投下の正義
なぜ「国際法違反」の東京裁判を実行できたのか?
三島が「市ヶ谷」で表現したかったこと
三島由紀夫を動かした『英霊の声』
三島が「市ヶ谷」を選んだ理由

おわりに


おわりに


この本をまとめさせたのは、三島由紀夫だった。いや、三島がこの本を、私に書かせた。
あの夜、三島は私に詰問した。伊豆の下田で三島と晩餐を楽しんだ後のことだった。
三島は、なぜ、黒船を忌み嫌ったのか。あの日から、その問いは私の心の中で、響いていた。
三島が市ヶ谷で自決した。そのことを本に書こうとした時に、私は不思議な体験をした。まるで、私と別な何者かが、私に代わって本を書いているかのような体験だった。
十年近く前から、私は「黒船」をテーマに本を書こうと試みてきた。しかし、外国特派員協会の一室で原稿を書いていると、そこに三島が現れ、いろいろと訴えてくる。そのためというわけではないが、まだ「黒船」は、完成していない。
しかし本書は、その一〇年がかりの「黒船」の探求の、ひとつの全体像を期せずして描く作業となった。
三島は、自衛隊の市ヶ谷駐屯地で自決した。憲法改正を訴え、自衛隊をアメリカの「傭兵」でなく名誉ある天皇の軍隊とすることを、命と引き換えに訴えた。そこは、東京裁判が行われた場所でもあった。それは、偶然だったのか。
三島は、稀代の小説家だった。自分の自決すら一編の小説のように、手の込んだシナリオを描いた。三島はあえて市ヶ谷を、東京裁判の法廷の場所を、「散華」の地に選んだのだった。占領の呪縛を解かんと「自爆攻撃」した。三島が守ろうとしたのは、日本の「国体」だった。「三種の神器」だった。「建軍の本義」だった。君民一体・天皇国の日本だった。
ここ数年、私は多くの著書を出版した。一〇万部を超えるベストセラーとなった『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』など一連の著作の背後に、私は三島からの霊言があったと思う。
いまも、三島由紀夫は生きている。まるで小説のような「市ヶ谷事件」を起こして自決したが、その魂はいまも息づいて、二十一世紀の日本に留まっている。その思いを受け止めて、私は本書をまとめた。これは、下田の夜の三島の「黒船」に対する思いを、半世紀近くの時を経て、私なりに感じ取った集大成と言ってもいい。
日本は、大東亜戦争の開戦まで、ずっと平和を望んできた。その日本に脅威を与えたのが、白人キリスト教徒の侵略だった。『マニフェスト・デスティニー(明白なる使命)』を掲げ、有色人種を大虐殺してきた。その脅威を現実に目にした時に、日本は鎖国政策をとった。国防のためだった。日清戦争、日露戦争、満洲事変、支那事変も全て、日本の権益や居留民、また日本そのものを守るためだった。大東亜戦争も同様だった。仕掛けたのはアメリカ。日本は追い詰められて、自衛のために戦争をするしか方途がなかった。「座して死を待つ」ことはできなかったのだ。
日本が大東亜戦争でアジア諸国に進攻すると、アジアの民は歓喜した。数百年にわたって欧米列強の軍隊に虐殺され、植民地支配されてきた。その白魔を駆逐したのが皇軍だった。アジア諸民族は、皇軍に協力して、民族自決、独立のために戦った。
日本軍が残虐行為を行ったとか、大虐殺をしたとか、婦女子を凌辱したなど、でたらめである。皇軍は、天皇の名誉を犯すことがないように、国際法を遵守して戦った。国際法をまったく無視して大虐殺を実行したのは、アメリカだ。戦争犯罪を問題にするなら、犯罪国家はアメリカであって日本ではない。
アメリカの戦闘に於ける国際法違反をさらにドラマチックな芝居にしたのが、東京裁判だった。東京裁判が不当なものだったことは、東京裁判の判事も、当時のアメリカの政治、軍事の指導者から世界の知識人までが認めている。東京裁判そのものが、国際法違反の復讐でしかなかった。
しかし、占領軍がWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)によって、日本が戦争犯罪国家であると、日本人を洗脳した。さらに、メディアに一切の批判をさせないように、戦前よりはるかに厳しい言論統制を行った。こうした占領政策によって、日本のメディアも国民も、まるで日本が戦争犯罪をしたかのように、思い込まされている。
真実は正反対だ。世界を侵略してきたのは欧米列強で、世界中で大虐殺を実行してきた。いわば、「最後の砦」として残されていたのが日本だった。日本が自衛戦に打って出たのは、国際法に照らしてもまったく正当な行為である。

戦後七十年を過ぎた。日本の最大の問題は、日本人がアメリカによる洗脳を自覚することができないことだ。「日本は戦争犯罪をした」とか、「侵略戦争を起こした犯罪国家だ」などというまったくの虚偽を、真実であると思い込んでいる。
日本人は、この無明から覚醒せねばならない。日本人は立派な民族である。日本は、戦争犯罪国家などではない。その誇りを取り戻し、いわれなき日本人の父祖に対する名誉毀損を打破することだ。
三島由紀夫は、それを魂から訴えようとして、東京裁判が行われたその場所で、自決をしたのだ。いま私は、そのことを三島からの霊言によって、まざまざと知ることになった。
本書は、それを日本国民に訴えるためにまとめたものである。令和二年十一月二十五日は、あの「市ヶ谷事件」からちょうど半世紀。この節目に、本書の普及版が刊行される意義を読者と共にかみしめたい。
本書が多くの日本の方々に読まれ、三島由紀夫の命を賭した誓願が成就する日が一日でも早く到来することを、祈ってやまない。

ヘンリー・スコット=ストークス