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小学校4年生の森口咲が、修平(父)と久美子(母)と一緒に、ペットショップに行くと、生まれつき右の前足が不自由なラブラドールの子犬がいた。咲はギブスと名づけられたそのかわいそうな犬を飼いたいと両親に頼む。咲が面倒を見るという約束で森口家の家族として迎えられたその犬の名前を、ギブスから「ギブ」に変えた。
数日後、咲と久美子は獣医を訪れた。しかし広岡先生から、手術をしても治らないと言われ咲はがっかりする。そんな様子を見た先生は「たとえ足が不自由でも、かけがえのない命を授かったんだ」と諭す。
修平はギブの散歩のためにラジオフライヤーを買い、それから毎日の散歩を日課にするようになった。数ヶ月後、いつものように公園に散歩に行くと、同じクラスのいじめっ子の上田たちがギブに砂をかけ始めた。一緒にいた中島も、仲間にせつかれ、嫌々ギブに砂をかける。中島は、以前から上田たちからいじめられていた。
翌日、学校に行くと、黒板にはギブの絵と「ぼくはゴミ犬です」と書かれていた。咲は帰宅後、ショックのあまり散歩を楽しみにしているギブを無視し、「もう散歩なんか行かない」と言い放ってしまう。そんな咲に久美子は約束の大切さを思い出させる。
翌日、思い直した咲はギブと散歩する。すると、近くにいた中島が近寄り、以前砂をかけたことを謝り、いじめっ子たちの言いなりにはならないと約束する。
ある日、ギブは散歩にいくら誘っても動こうとしなくなった。病院に連れて行くと、体が重くなったためと診断され、このまま歩く練習をしないと寝たきりになってしまうと言われる。それから、咲はギブの為に歩く練習をさせようとするが動かない。
しかし数日後、咲の歩いてほしいという思いが通じたのか、ギブは傷ついても歩く練習を始めた。ある日、親友の南と川原で練習をさせていると、ギブが初めて歩いた。大喜びの二人のところに中島が来て、「ずっと見ていた」という。そこに上田たちが現れ、「ゴミ犬なんか相手にするな」と、中島を連れて行こうとした。しかし、中島はもう、「お前らには引きずられない」と宣言する。久美子にギブと中島君のことを報告する。嬉しそうな咲を見た久美子は「ギブを飼わなかったら中島君の辛さに気づかなかったかもしれないね。ギブから大切なものを与えてもらったんだね」と話す。
翌朝、上田が中島にこれまでのことを謝り、咲・南は安心するのだった。
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