人間が、小さな集落を作って生活をしていた頃から、動物たちは、私たちと共にいました。数千年ほど前、ある砂漠の村で、小さなネコ科の動物が、村人の天敵である毒ヘビを退治し始めました。人々は、人間と共に生活しても野生的な本能を失わない、この生きものの能力に驚きました。どうしてネコたちは、こうして村人のために野生の世界を離れ、私たち人間と共にいることを決めたのでしょう?
ネコたちは、常に人間の好奇心をかき立ててきました。人間は、こと、ネコに関しては、好きか嫌いか意見がはっきり分かれていて、どちらでもない、という人は、あまりいません。
これまでの歴史の中で、ネコたちは、作家や詩人、作曲家や芸術家たちを魅了してきました。古代エジプトでは、数千年にわたってネコが崇拝されましたが、中世ヨーロッパでは、逆にひどい迫害を受けました。この小さな生きものの、何が、これほどまでに人間の極端な感情を引き起こすのでしょうか?
この本の中での「会話」は、ネコ自身との会話です。質問に対して返ってくる答えには、驚くような内容のものが多く、読み進めるほどに、ネコの謎や神秘性を理解することができるようになるでしょう。
人間と共に生活をするネコたちは、もとは砂漠に生息していて、エジプトのナイル川ぞいの集落の人間と生活を始めた、小さなネコたちの子孫です。この野生の「ハンター」は、どうして私たちと一緒に住むようになったのでしょうか? この生きものは、いったい何者なのでしょうか? 本当に私たちの「仲間」なのでしょうか?
あるとき、テレパシーによる会話で、ネコがこう言いました。「私たちは、エジプトで、ネズミを捕るのが得意だからとか、見た目が美しいからという理由だけで、崇拝されていたわけではありません!」
どうやら、それ以外に、何か、エネルギー的なもの、スピリチュアルなもの、人間にとって特別なものがあるようです。あなたのネコは、あなたに何をもたらしてくれますか?
この本の中でとっているネコとの「コミュニケーション」とは、ネコの頭脳、身体能力、本能、そして習性の限界を超越したものです。この本は、私たちが住む惑星の、植物、鉱物、水、そして、すべての生きものに作用する、「神の意識」に耳を傾けるものです。
それぞれの生きものが、それぞれの形で、神の意識を表現しています。
この本の中で私は、個々のネコと個別に対談したわけではなく、ネコという生きものを知るために、ネコたちの魂を司る「霊団」と交信しました。
交信は、魂どうしがつながり、言葉が必要ない世界でおこなわれました。
神の存在は、「愛があれば、種の異なる生きもののあいだでも、コミュニケーションと理解が可能である」、というところに示されています。
ただし、ここで私が得た知識が、すべてのネコに当てはまるものだとは思っていません。私は、あくまでも情報を受ける「媒体」でしかなく、そのときに受け取れる情報を受け取る、「レシーバー」でしかありません。ここで得た知識(情報)は、私たちの日々の生活で生かしてこそ、その価値が分かるのです。
この本は、読者のみなさんに、ネコという生きもの固有の魂や、肉体的、精神的、意識的なレベルを紹介するものです。人間がそうであるように、ネコたちも、それぞれの意識レベルは異なります。この本は、ネコを深く「理解する」ための本であり、ネコを飼うための参考書ではありません。
人間がつちかった自然界との関係、そして、いかにして人間がほかの生きものや母なる大地から離れ、孤立してしまったかという話が、世界各地で、古くから語り継がれています。そのひとつに、人間が忘れてしまった心を取り戻す手助けをするために、三種の動物が私たちと共に生きていく道を選んだ、という話があります。以下がその話です。
この世の初めに、すべての生きものの代表者のミーティングがありました。ミーティングには、虫、鳥類、爬虫類、哺乳類、有袋類、人類など、ありとあらゆる姿をした、美しい神の創造物が出席していました。
どの生きものたちも、形あるものとして生命を経験し、それぞれが学んだことを、ほかの生きものと共有することによって、自分たちのこと、そして神のことを、よりよく理解しようと話し合ったのです。
たとえば、アリは、植物と協力し合うことを学ぶための形を選び、ザトウクジラは、水と音の相互作用を探求するために歌を歌うことを選び、タカは、高速飛行することで大気を探求することを選びました。私たち人間は、言葉を話す能力、手先の器用さ、優れた頭脳を探求することを選びました。
始めは、みな、心のつながりを保ち、一つの家族のようでした。それぞれの肉体を持つことによって、新たに得た経験と知識を共有し合うことを楽しんでいました。ところがある日、人類は、このミーティングに戻ってこなくなりました。
私たち人類は、自分たちのことしか考えられなくなり、お互いの経験を共有するという約束を忘れました。自分たちはほかの生きものより優れていると思い始め、一つの共同体だということを忘れ始め、やがて、人間とほかの動物との亀裂は深まっていきました。
ほとんどの動物たちが、それぞれの道を歩んでゆく中、三種の生きものが、人類とほかの生きもののあいだにできた溝を修復しようと、踏みとどまっていました。
最後の分かれ道に立たされたとき、これらの生きものは、自分たちの意思で、ほかの動物たちから離れ、人類と共に生きていくことを決めました。私たち人類を原点に導き、ほかの生きものとのつながりを取り戻し、愛を取り戻すことを望みながら。
この三種の生きものとは、イヌとネコとウマです。私たちが望めば、彼らが、私たちの本来あるべき姿を、思い出させてくれるのです。
この本は、私たちが、神の英知、そして慈悲の心と、再びつながる手助けとなるでしょう。ネコたちは、そのために、私たちと一緒にいるのですから。
どうか、そのことを忘れないでください。