20年程ばかり前から私は、いわゆる超常現象というものに、度々遭遇し、好むと好まざるとに拘わらず、霊能者の方々と知り合いになりました。その方たちは確かに我々にはない神秘的な力の持ち主でしたが、私はそのすべてを信頼していたわけではありませんでした。
そのときは苦しまぎれに従ったものの、何の示唆も得られずに終わったこともあれば、心から敬服させられたこともあります。そしてその結果、霊能があってもそれを私利私欲に使っている霊能者のいうことは全面的に信じてはならないことがわかるようになりました。
江原啓之さんは私よりも四十年も年下の青年です。けれども、私は年上の人のように、江原さんに師事してきました。江原さんの濁りのない、終始一貫してま心のある、清澄な人格に触れると、この人のいうことならば、すべて疑わずに信じようという気になるのです。
霊能者の霊視が当たったか当たらなかったか、などということを問題にする前に、私たちにとって大切なことは、「それならばどう生きればいいのか」ということです。「それならば」というのは、「死者の世界を信じ、霊魂の存在を信じるならば、」という意味です。
それならばどう生きるべきか、ということをヌキにして、心霊現象に興味を持つことは無意味です。この書は、江原さんのはじめての著書ですが、この中にはそれが十分に説明されています。江原さんの一途な人間への愛がこの書には流れています。それがこの書の一番の価値だと思います。