かつて、日本社会党という恥ずべき集団がいた。
斜めに壊れるから“斜壊党”とも言われた。ついでに言うと、常に右派と左派が派閥抗争をしていたので、“二本斜壊党”とも呼ばれた。「この政党に放り込めば、菅直人氏も良識派」と言われた政党であった。今をときめく枝野幸男氏も近づかなかった集団である。だが、野党第一党の座に居座り続け、日本社会党が存在するということ自体で、我が国の憲政を汚染し続けてくれた。こいつらに比べると今の立憲民主党など可愛いもので、民主党政権など史上最悪どころか良識派にすら見えてくる。
では、“二本斜壊党”の何が悪かったのか。3点あげる。
第1点は、若者の面倒を見ないことである。
若い者の面倒を見ないどころか、ウルトラ年功序列体質である。年上は年下に対して何をしても良いという意味不明な体質が因習化している。権限が無い相手に平気で命令する。若者が自分たちの統制を離れて自分たちの意思で動くのを、極端に嫌う。そのくせ、事あるごとに「俺が育ててやった」と恩を着せる。決まり文句が「俺たちはこれを昔からやってきたんだ」などと、何の説得力も無い決め台詞でドヤ顔をする。それに対して「ということは、ウン十年間、アンタらは勝ったことが無く負けっぱなしだったんだろ?」などとマトモに反論でもしようものなら、日本中に悪口を言いふらされる。狭いそちらの業界の中での話だが。
幹部が意味不明に党内政局に強いので正論など通るはずがなく、マトモな人が出ていく。すると、残ったバカの発言力がますます高まる。そして正論が……の、負のスパイラルを延々と続けている。
さすがにこれでは尻すぼみだと気付いた幹部たちがひねり出した知恵が、マドンナ旋風だった。結果、脂ぎったオヤジに媚びるのが上手い女、つまり「女の敵の女」が幅を利かすようになり、若い女性は近づかなくなった。
第2点は、勝つ気が無いことである。
この人たちには、戦略以前に作戦という概念がない。それどころか、必勝の信念すら欠如している。活動の目的が「活動を広げること」という、もはや目的として成立していない場合も存在する。政権を取る意思など、最初から無い。政権など担当すれば責任が生じるからだ。野党第一党が丁度いい。この人たちは、「言いたいことを言って飯が食えれば、それでイイ」のだ。やられ役で商売をしているからだ。やられ役でもプライドが傷つかないし、それで飯が食えるので大歓迎なのだ。言ってしまえば、負けるのが楽しい人たちなのだ。
第3点は、頭が悪いことである。
こんな体質の組織なのに、一定数の支持者がいるのだ。もはや支持者と言うより、信者と言ってよい。自分の頭でものを考えることを拒否し、誰か指導者が言ったことを妄信する。
ところで気づいただろうか。今や存在しない政党の話をしているのに、現在形の文章なことに。
そして、恐ろしく既視感がないだろうか。
ソ連が滅び、北朝鮮が日本人拉致を認め、多くの日本人は中国の現実に気付き始めている。敗戦から70年以上「日本は悪い国だ」と教えられてきたが、いいかげんに嘘だとバレ始めている。しかし、社会党の末裔のような勢力がいまだ幅を利かせている。テレビを見ても新聞を見ても、彼らの主張の方が世の中の多数派のように思える。
その証拠に、南京大虐殺で日本人が殺した中国人被害者の数は30万人、従軍慰安婦として日本軍に強制連行されて性奴隷にされた朝鮮人の数は20万人。およそ、数が数えられる人間ならば信じない数字だ。
ならば我々も数学で対抗すればいい。何なら算数でもいい。算数ができれば、日本を貶める勢力の主張など粉砕できる。
嘘だと思うなら、ページをめくればよい。
ご覧あれ。
倉山 満
はじめに {倉山 満}
第1章 日本国憲法を数字で読み解く!
数学の論理を使えば歴史は倍、面白くなる
日本の伝統から外れた日本国憲法
帝国憲法の第1章と大宝律令
ベン図と憲法
数学も歴史も奥深くでつながっている
フランス革命 〜間違った理数アタマの極み〜
数学 〜歴史を踏まえて学ぶもの〜
第2章 有名中学校の入試問題は
本当に偏向しているのか?
偏向する中学入試問題
桜蔭中学校
お茶の水女子大学附属中学校
豊島岡女子学園中学校
雙葉中学校
女子学院中学校
駒場東邦中学校
渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園幕張中学校
第3章 大学入試問題にみる歴史研究の実際
偏向すらできないセンター日本史
史上最低の東大日本史問題
「男系相続の原理」がわかれば日本史がわかる
応仁の乱の謎
日本史より世界史のほうが自虐的
下位層は信じ、上位層は俯瞰する
簡単な問題から解け! 〜戦略の重要性〜
日本国憲法 〜改正が難しい順に並べよ〜
第4章 南京大虐殺と三角形の内角の和
大東亜戦争 〜試験エリートの失敗〜
(従軍)慰安婦問題 〜戦い方を考えよう〜
南京大虐殺と三角形の内角の和
20世紀最大最悪の為政者は誰?
第5章 もう数字に騙されない
基地の70パーセントが沖縄って本当?
国の借金1000兆円の嘘
TPP問題は「正負の数」でわかる!
算数ができれば「中選挙区制に戻せ」とは言わない
自治労の算数 〜筋を通せないヤツは算数ができない〜
おわりに {平井基之}
問題です。
前から見ると正方形で、横から見ると正三角形で、上から見ると円に見える立体図形があります。さて、どんな図形でしょう。「そんな図形が存在するのか?」とお思いになるかもしれませんが、存在します。なぞなぞでもなければ、一休さんが得意なトンチの問題でもありません。純粋に数学の問題です。
実際にそのような図形が存在します。物体は見る方向によって、こうも見え方が変わるのだという例です。
さて、通読された皆さまならばお気づきかと思いますが、本書はこのような視点の切り替えをテーマに書かれた本です。
今までは三角形に見えていた日本史の諸問題でも、理数アタマという新たな視点から見てみると四角形に見えてきたり、円に見えてきたりして、次第に「全体像」が見えてくるのです。
また、日本の政治に対する声に耳を傾けてみましょう。きっと、左右から180度異なる意見が聞こえくると思います。
左からは「憲法を守れ」、右からは「憲法を変えろ」。左からは「慰安婦問題で韓国に謝罪しろ」、右からは「謝罪する必要はない」。その他にも、対米関係、自衛隊、歴史認識など、どの問題でも左右の意見は「平行線」。決して交わることがありません。扱っているのは同じ問題なのに、立場が変わると意見が変わる。まさに、先ほどの図形の問題と同じ状況です。
しかし、従軍慰安婦も南京大虐殺も、事実無根です。見方を変える以前に、虚像をあたかも現実であるかのように見せられているだけです。それなのに、本来は真実を報道すべきテレビや新聞でも、その虚像ばかりが取り上げられ、世の中の多数派は何となく信じてしまっています。嘆かわしい現実ではありますが、嘆くばかりでは進歩がありません。真実を世の中の多数派にするためには、どうすればよいのか。常に前を向く姿勢を忘れずにいたいと思います。
そこで、私は視点を変えてみました。このように一方向からしか報道されない時には、チャンスだと捉えるようにしたのです。私はよく生徒たちに「原発に対して反対だという報道ばかりだけど、原発の良いところを取り上げた報道を見たことある?」と質問しますが、この一言だけで、彼らはハッと新たな視点に気付きます。
一つ気付けば、たくさん気付くまで、もうすぐです。なぜ自民党は常に批判されるのか、なぜ教科書を読んでも日本は悪い国だという印象しか持たないのか、枚挙に暇いとまはありません。さらに、どのような「過程」で、一方向の情報しか流れてこないのかと考えてみれば、徐々に「全体像」も見えてくることでしょう。
ちなみに、先ほどの図形問題のように「視点を変えると見え方が変わる」という話は、中1の教科書で習います。早い子は中学受験の勉強、つまり小学生でも習います。理系というと難しい数式を扱うイメージばかりが先行しますが、低学年の勉強でも、かなり応用が利くという証拠です。テストの点数を取るための勉強をしていると何も感じずに通り過ぎてしまいますが、自分の人生に生かそうと学ぶと、途端に深いメッセージが感じられるようになります。本書でもたくさんの政治や歴史の問題を倉山先生と見ていきましたが、それがおわかりいただけたでしょう。