「平和に対する罪」はアメリカにこそある

在米日本人学者が明かす「太平洋戦争」の真実

目良 浩一 著 2019.03.22 発行
ISBN 978-4-8024-0061-9 C0021 四六並製 240ページ 定価 1540円(本体 1400円)

はじめに

「平和に対する罪」はアメリカにこそある 在米日本人学者が明かす「太平洋戦争」の真実

日本国を初めて離れたのはフルブライト留学生として『氷川丸』で米国へ渡った1959年であった。その時は、早くから日本国の真の独立を訴えて言論活動を始めた小室直樹氏と共に乗船し、シアトルで下船しそれぞれの目的地に向かい、私はプリンストンに到着した。私は戦後日本の復興を考えて都市計画や経済学を勉強したのであるが、大学で教鞭をとることに一区切りをつける前に、まだ重要なことをやり残していることに気がついた。
日本国は経済的には高所得国の仲間に入っているが、政治的には自立からは程遠く、いまだに米国に自国の防衛を依存し、日本人は二十世紀の前半では侵略戦争を引き起こしたと思い込み、アジア諸国に謝罪しなければならないという罪悪感を持っている人が多いという事実に気がついたのである。その後研究をするにつけ、このような自虐的歴史観は、東京裁判などの占領軍による洗脳政策によるもので、歴史的な事実から乖離していると結論するに至った。
そこで、2006年に、まだ南カリフォルニア大学のビジネススクールで教えてきたが、ロサンジェルスの日本人有志を集めて日本の近現代史の勉強会を始めた。大正時代から昭和の歴史に関しては、日本では殆ど教えられていない。従って、皆にとっては新しい分野であった。さらにその頃は旧ソ連の崩壊によってソ連の謀略の事実が明らかになり、『誰も知らなかった毛沢東』が出版されたり、今までに知られていなかった戦前・戦中のアメリカ内にはびこっていたソ連のスパイとコミンテルンとの暗号通信が、高速コンピューターによって解読されるなどの新しい情報(ヴェノナ文書と呼ばれている)が入ってくる時期にも巡り合ったので、当時の情報がかなり豊富に入手できた。
この勉強会には常時20余の参加者が集まり、毎月一回集合して、特定の書物について討議した。当時の日本は自民党が不安定で、民主党政権が出現した時期でもあり、日本の将来は極めて危険な状況にあったので、その会を「日本再生研究会」と名づけた。そして、会における議論の結果などを踏まえて、有志が著書を書くことになり、『マッカーサーの呪いから目覚めよ、日本人』が2012年に出版された。
日本は侵略を目的として戦争をしたのではない、やむを得ずに戦ったのである。東京裁判は、国際法には何らの根拠のない、無謀な裁判である。この戦争のおかげで多くのアジア、アフリカの植民地が独立を達成することが出来、日本は戦争には負けたが、その目的は達成された。この本は日本人は自信を持つべきであるという趣旨で書かれている。
その後、私自身でこの問題をさらに研究し、日本を挑発するために米国大統領のフランクリン・ルーズベルトが具体的にどのような戦争準備をしたか、どのようにして日本を挑発したかをさらに細かく検討し、その策略を明らかにした。
ルーズベルトが戦争を計画したという文書を発見することは困難であるが、彼が実行した事柄から推考して、彼が戦争を計画したことは明らかである。第4章にそれが詳述されている。これらの事項は米国においても初めて明らかにされるものである。さらに、連合軍の占領政策について総合的に見直してのが第6章である。この占領政策は、日本国が二度と再び米国に立ち向かわせないために、日本「去勢」計画で周到に用意され見事に実行されたのである。その結果、日本は無限に「お人よし」の国になり果てたのである。
この二つの章を柱として日本の戦争体験を再構築したのがこの書である。本書は、ペリーの軍事的脅威による開国要求から引き続いていた日米の対立の背景の中で、日本とアメリカがどのようにアジア諸国に対応してきたか、どのような利害の対立が起こったか、どのように夫々は解決しようとしたかなどが書かれている。
占領政策において実施された言論統制、国家的書物の排除、裁判による有罪宣告などは、日本の国家としての特徴を抹殺しようとしたまさに犯罪的な行為である。日本国民はその事実を深く認識して、日本国の伝統的な特性を取り戻し、積極的に世界の平和と協調のために参加することを著者は切望し、この著書がそのために何らかの貢献をすることを希望している。





目次

 はじめに

第1章 二度、罠にかかった日本
 日本への二つの罠
 占領軍は日本人の国家観を剥ぎ取った
 東京裁判のために作られた環境
 連合軍の欺瞞が近年に公開された文書で明らかになった

第2章 世界初、日本の反植民地主義
 アジアの解放と日本の役割
 武力による開国要求に対する日本の回答
 中国・朝鮮・ロシアとの緊張関係
 朝鮮半島での日清衝突と三国干渉の圧力
 ロシア・中国から旧朝鮮を救った日本
 アジア諸国の独立と近代化の推進
 植民地化されていたアジア・アフリカ人に勇気を与えた日本
 アメリカはフィリピンを騙し、日本はインドネシアを助けた
 大東亜共栄圏という理想
 アメリカによる日本潰し
 実現したアジア植民地の独立

第3章 日本は人種差別撤廃の先駆者
 白人による植民地化
 最初に人種差別撤廃を訴えた日本
 人種差別された日本人
 大東亜共栄圏構想との関係
 大東亜戦争の残忍性
 大東亜戦争がアジア・アフリカ諸国を救った
 公民権運動の広がり

第4章 ルーズベルト大統領が日本を挑発
 真珠湾攻撃も彼の策のなか
 歴史修正主義について
 ルーズベルトの挑発行為の背景
 ルーズベルトの外交政策
  一、武器増産体制の確立
  二、米国海軍の増強
  三、日本語学校の設立
  四、中国国民党への寛大な支援
  五、中国のためにフライング・タイガーを設置
  六、FDRは日本爆撃計画を承認した
  七、日本を瀬戸際に追い込む
  八、米国による在米日本資産の凍結
  九、ルーズベルトは近衛首相との会談を回避
  十、ハル・ノートの背後にソ連の陰謀があった
  十一、真珠湾攻撃寸前の大統領周辺の言動
  結論――有罪か無罪か

第5章 不当な東京裁判が強行された
 国際法違反の東京裁判
 東京裁判は占領目的達成のために強行された
 共同謀議の欺瞞
 日本は「侵略国家」ではない
 マッカーサーの米国上院での証言―原文と日本語訳

第6章 日本人を去勢した占領政策
 総司令官マッカーサー
  深淵に落とされた日本
  祖先より個人主義へ
  自虐史観の制度化
  愛国心の弱体化
 一、日本政府への対応
 二、戦争犯罪人の裁判
 三、重要人物のパージ
 四、財閥の解体
 五、情報統制
 六、焚書:好ましくない図書の焼却
 七、押し付け新憲法
 八、プロパガンダ情報の提供
 九、教育改革
 十、税制改革
 十一、農地改革
 結論――占領政策の評価

第7章 大東亜戦争が残した遺産
 戦後の二つの潮流
 アメリカによる覇権の確立
 国際連合とブレトンウッズ体制の確立
 核兵器の戦争抑止力
 ソ連のアメリカへの挑戦と崩壊
 新しい覇権争奪戦
 日本の復興と成長
 アジア・アフリカ旧植民地の独立
 日本に学んだ東アジア諸国の急成長
 防衛への思考を停止した日本
 プラザ合意の善意を仇で返された日本
 日本の近隣諸国との関係
 世界から好意的に見られている日本
 東京裁判と押し付け憲法を排除決議せよ

第8章 日本は世界を導く国である
 人種差別撤廃提言百周年記念
 気骨ある明治日本の男子
 日本の精神的伝統を葬った占領政策
 アメリカの教育は危険である
 戦後の高度経済成長は戦中世代の意地であった
 日本国への課題:安全保障
 近隣諸国との問題点
 日本は今新しい世界を開こうとしている
 日本は独自の道を進むべきである
 「普通の国」に戻り世界をリードする国へ
 
 おわりに

 参考文献

 

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