『日本人を狂わせた洗脳工作』を中心とした第一部では、国会図書館などから発掘した英語の原資料である「内部文書」をもとに、WGIP(War Guilt Information Programの略語)が実際にどのように発せられ、運用されてきたかを論じました。
私が「遅効性毒薬」と書いたWGIPは、アメリカ軍による占領期間中にだけ作用したのではなく、その後も、その効力を発揮したどころではなく現代においてむしろ深刻な問題を日本人に与え続けています。日本国憲法をどう見るかについても、保守の間でさえ、正しい見方ができる人は少なく、WGIPの影響は、まだ強く残っているか、場合によっては、その毒性を強め、問題はより深刻化してさえいます。
日本でWGIPを初めて取り上げたのは作家の江藤淳氏であり、次いで、教育問題の専門家である高橋史朗先生が言及しました。しかし、それぞれ英語の原資料を示さなかったため、歴史的事実として世間に定着しませんでした。
WGIPには二つの側面があります。まず一つが、江藤淳氏が、自著の名前に『閉された言語空間』と名付けた、検閲などの言論統制(一種の焚書を含む)。そして、もう一つが積極的な日本人洗脳工作です。私が今回言及したのは、こちらの面が主体でした。
その計画に基づいて、いわゆる「東京裁判」そして、「日本国憲法」という名の属国憲法、そしてサンフランシスコ講和条約十一条の半ば意図的な誤訳などが行われたのです。
また、広島の原爆慰霊碑に刻まれた言葉に、「アメリカ」という言葉は一切出てこず、これもGHQの工作があったのではないかと疑われます。
また『いまなお蔓延るWGIPの嘘』を中心とした第二部では、色々な国、国民の思考法の違いを論じており、一種の比較文化論になっています。これにより、今の日本の諸問題の根源がお分かりいただけるものと思います。
私が第二部で力を入れたのは、私が駐在したフランス、イラン、アメリカなどの人々の思考形態や行動形態の違いです。それらの例として、欧米のポピュラーミュージックの歌詞と、それをカバーした日本人歌手が歌った歌詞の違いを書きました。欧米の原曲に対し、日本の歌詞は、単なる翻訳ではなく全く違う筋書きになっているものもあります。私は、それらの原因を、それぞれの国の人達の思考形態や感性の違いによるものだと思います、それは、多くの日本人にとって初耳だったり、参考になることが多いと思っています。
日本の現状は、あらゆる分野で衰退し、このまま行けば滅亡する可能性さえあります。
その原因は、WGIPによる日本人洗脳にあります。今一度、日本国民はWGIPの害毒を再認識し、それらの洗脳から脱却すべきであり、そのためには本著で説明するWGIPの正体や害毒、そして日本人の思考形態を再認識してもらう必要があります。
※本書は『日本人を狂わせた洗脳工作』『いまなお蔓延るWGIPの嘘』(ともに自由社ブックレット)を統合、加筆修正して再構成したものです。