この本を手に取っていただき、ありがとうございます。タイトルとなっている「ごほうび参拝」には、ふたつの意味を持たせています。
まずひとつめは、参拝をもっと思いっきり楽しんでみませんか? というご提案です。
私は今まで、取材で多くの神社仏閣を参拝してきました。せっかく取材費をかけて行くのですから、できるだけ多くの寺社をまわらなければ! と、分刻みの綿密なスケジュールを立てて参拝していたのです。移動に予想外の時間がかかったり、神仏との会話がはずむと、その後のスケジュールが厳しくなっていました。
でも、時間が足りなくなっても、その地域にはもう来られないかもしれないと思うと、参拝予定の神社仏閣をパスすることはもったいなくてできません。その結果、大急ぎでバタバタと参拝を済ませる……ということが、何回もありました。
近くに温泉があって入りたいと思っても、そこに時間を費やすのが惜しくて、泣く泣くパスしたことも一度や二度ではありません。
そのような駆け足参拝をしてきた経験から、もっと余裕を持って、ゆっくりと神社仏閣を楽しみ、参拝後にお楽しみまでくっつけて、思いっきりエンジョイしたほうが、自分にとってよい効果があることがわかりました。
神仏とたくさんお話をして、ご神気をいっぱいに浴び、願掛けもして、授与所では縁起物を探し、境内の高波動に癒やされて参拝を終えます。そして、その後も慌てて帰らずに、近くにある温泉につかってみたり、美味しいものを食べてみたり、周辺にある施設を見学してみたりして、参拝をもっともっと楽しむ! という、これが今回のテーマです。
参拝をレジャーとしてとらえると、四角四面の雰囲気が柔らかくなります。神仏に会いに行くワクワク感もいつもより高まって、参拝が遠足に行く時のように待ち遠しくてたまらなくなります。当日は幸福感でいっぱいになり、充実した気分になります。
次はあそこに行こうかな、こんなお楽しみをくっつけよう、と次の予定をあれこれ考えれば、近い将来が明るくなるので人生に張りが出てきます。そうなると、いろんなことに前向きになれるのです。
「参拝後のお楽しみ」は人によって違いますが、私が体験したお楽しみを神仏の紹介とともに書いていますので、どなたかの参考になればと思います。
もうひとつの「ごほうび参拝」の意味は、神社仏閣参拝を自分を癒やすごほうびにしましょう! というご提案です。
いつか行きたい! 絶対に行きたい! なんとしてでも行きたい! と思っていた神社仏閣に行くことは、それ自体が自分へのごほうびです。頑張ってきた自分にこのへんでごほうびをあげてもいいな、と思ったら、また、今はつらい時期だから自分にごほうびをあげて励まそう、という時も自分にとって特別といえる神仏に会いに行くといいです。
絶対に行きたい! という神社やお寺があるということは、ある意味、ラッキーです。というのは、その神社仏閣に行った時に、神仏から驚くほどの大歓迎をしてもらえるからです。
神仏はその人が、長い間参拝したいと願っていたことを知っています。ごほうびとして特別に考えていることもちゃんとわかります。やっと参拝ができてウキウキしている姿を見てニッコリと微笑み、そこまで信仰していることを喜んでくれるのです。
私自身、切実に行きたかった寺社の参拝は心の底から楽しめました。付属のお楽しみも含めて、深く心に刻まれています。
私のお楽しみは一貫性がありませんが、温泉が好きなら温泉ばかりを、名産品を楽しみたいのなら名産品ばかりにこだわってみるのも面白そうです。
堅苦しい参拝から楽しめる参拝へ。
意識を変える1冊になれば嬉しく思います。
桜井識子