21世紀に起きるかもしれない米中核戦争、米露核戦争、世界全面核戦争の耐えがたいリスクを、核爆発災害専門家の私が科学的に数字で予測しました。ロシアがウクライナへ軍事侵攻した2022年2月24日の後まもなく、得意の方法で計算したのです。きっかけはプーチン大統領の核兵器先制使用の発言です。
核戦争の勝敗を予測する計算結果は、誠におぞましい数字になりました。日本が巻き込まれる危険を、どうすれば回避できるのかを、みなさんと共に考えたい。その材料となる広島の科学調査結果と核のデータをも示します。
あってはいけない核戦争、あるかもしれない21世紀。私は広島はじめ世界の核爆発災害を調査し、防護を研究してきました。北朝鮮による第1回目の核実験が日本へ及ぼした放射線影響をIAEA(国際原子力機構)の国際会議で報告し、中共によるタリム盆地でのメガトン級核爆発による未曽有の災害を、憲政記念館から世界へ発信した科学者です。ネット名ターサンで、SNSやユーチューブTVで日々つぶやいています。
本書が核戦争サバイバルのターサンセミナーです。(ターサンとは映画『ターザン』にあやかったものです)。
ソ連崩壊で終結した冷戦――。しかし、核戦争のリスクは残っていました。軍事力を異常なほど増大させる中共の台頭。そして米中冷戦が始まりました。NATO(北大西洋条約機構)・米軍とロシア軍との軍事衝突のリスク。ロシアと国境を接する北海道。 核兵器大国同士の米露核戦争の第一リスク。第二リスクは台湾を力による併合も辞さない中共の先制攻撃で始まる米中核戦争。北朝鮮の核武装は、これら両核戦争のリスクに絡むことは十分に考えられます。
日本人が長年、議論さえ避けてきた核戦争の脅威の現実、抑止と防護、そして国防。これをタブー視せずに、科学的に議論します。小説家が描く想像の核戦争ではない。ひとりの専門科学者が、世界の核と人口に関する最新のデータを基に推計した現実的な核戦争リスクを描きました。その時、政府と国民一人ひとりがとるべき生存をかけた防護法と避難の仕方は何か。
憲法9条と非核三原則を日本人がいくら国内で叫んでも無駄です。論外の核武装国は、日本に向けて核で威嚇し、核を撃ちます。
敵の核攻撃を抑止するのは、同等の武器を自国が持つこと。半島の小さな国の北朝鮮が核兵器を持つ理由はここにあります。広島、長崎に次いで、日本が三度目も核で撃たれないためにすべきことは明らかです。核の先制攻撃のためでなく、危険な国々に核を撃たせないための抑止力です。
日本とアジア、そして世界をとりまく核戦争リスクの疑問に、可能な限り答えます。リスクゼロはあり得ない。しかし、本書が描く核戦争リスクの現実を、日本と世界の多くの人が知ることで、リスクを低減させる第一歩になるはず。そう信じています。