この本では体外離脱という語句を使用しますが、その現象がどのようなものかを私の体験を
通じて紹介します。最後まで読まれた皆さんが、「なんだ、不思議でも恐ろしい現象でもなく、
誰にでもできることなのか。よし、ちょっと挑戦してみようかな」という感想と遊び心を持っ
ていただけたら嬉しいです。
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私の日課は、早朝4時半頃にベッドを出て90分間の瞑想をすることです。そして毎日ではあ
りませんが、もう一度ベッドに戻り、肉体はそのままの状態で意識だけベッドから出ます。そ
して自宅マンションの10階のバルコニーに立ち、手すりを乗り越えて飛び立ちます。
透明のクッションに抱かれたような浮遊感に浸りながら心地よい風と優しい光に包まれ、ど
こまでも広がる空を飛び続けます。飛び続けた先に待っているのは、私の過去生だったり、亡
くなった人だったり、私を見守るガイド、妖精達、あるいは宇宙人の場合もあります。
これらは私が日常的に体験していることです。このような体験を一般的には幽体離脱、ある
いは体外離脱と表現しています。
体外離脱は様々なスピリチュアル系の本で取り上げられ、それぞれに定義付けされています。
科学的に検証を試みた本もあれば、いわゆる魂が身体から抜け出るものだとするオカルト的な
解釈をしている本もあります。あるいは、荒唐無稽な単なる脳内現象だと説明されることもあ
ります。ただし共通しているのは、肉体から意識が離れるという感覚を経験して、物理法則に
影響されない非物質的な体験だということです。
私が初めて体外離脱を体験したのは、2009年4月21日のことです。それから1年で約
100回のペースで体験を重ね、現在では記録に残しているだけで250回を越えています。
本文で後述するアメリカのロバート・モンローさんは、亡くなるまでの間900回以上の体外
離脱を体験されていますので、私はまだまだ足元にも及びませんが。
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もうひとつ、私が日々経験しているものに「明晰夢」があります。これは医学的にも検証さ
れている用語ですが、夢を見ている時にその体験が夢だとはっきり気がつく現象です。私は子
供の頃からひんぱんに明晰夢を体験していましたので、夢を見ている時に夢だと気がつくのは
普通のことだと思っていました。しかし成人してから周囲の人に聞いてみると、私のようにひ
んぱんに明晰夢を体験している人は意外に少ないことに気がつきました。
明晰夢というのは楽しい体験です。夢だと気づいた瞬間、その世界はある程度自分の思うま
まになります。『インセプション』という映画を観られた方ならイメージしていただきやすいと
思います。まさにこの映画の世界観が、明晰夢の実態を正確に伝えています。何もない海に島
を出現させ、中世ヨーロッパの城や街を再現し、その島に『不思議の国のアリス』に出てくる
ような人物達を登場させてハラハラドキドキのファンタジーを体験することができます。これ
は私が実際に体験した出来事です。
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体外離脱と明晰夢。この2つは一見関連性がないと思われています。でもどちらもひんぱん
に体験している私にとって、実はまったく同じ現象です。そこに至る過程が違うだけで体験は
同じです。日常の意識を保ったまま夢の世界に入るか、一度眠ってから夢の中で日常の意識を
取り戻すかの違いだけです。
この本はいかにして夢の世界(明晰夢と体外離脱の世界)に入ることができるかを取り上げ
たものです。夢の世界は多次元に及び、その大きさははかり知れません。そして夢の世界は、
精神世界の分野で扱われているすべての分野に通じる入口であると確信しています。
夢は誰でも見ることができます。霊能力も超能力も必要ありません。悟りを開いた聖者に教
えを請わなくても体験できます。心地よいベッドと布団と使い慣れた枕があれば十分です。私
のように普通の人間が、少しの根気と努力で驚くような体験をすることができます。そして大
げさに聞こえるかもしれませんが、その体験がこの世に生まれてきた目的を知り、その実現に
役立つものと信じています。
この本で紹介する理論やテクニックは、あくまでも私の経験に基づいた仮説であり、個人的
な体験だということを理解しておいてください。非物質的体験は主観的な体験であり、すべて
の人にあてはまるノウハウは基本的に存在しません。しかしながら、参考にしていただける部
分がたくさんあると思います。
この本に書いてあるのは、夢の世界を探索するために、私がコツコツと作成してきた「夢への
地図」です。私達が目指す目的地は一人ひとり違いますし、歩む道も同じではありません。で
も初めて夢の世界に踏み込む方にとって、「夢への地図」があれば道に迷うことなく目的地へ進
んでいけます。
ただし、私のこの「夢への地図」はまだ完成途上で、しかも日々少しずつ変化しています。で
すから皆さんは、それぞれに「夢への地図」を作っていただけたらと思います。
そして各人が作り上げた「夢への地図」は、重ね合わせることができます。重ね合わせるこ
とで、より正確な地図となります。そしてすべての「夢への地図」を重ね合わせた時、そこに
は真の宇宙が表現されているような気がします。その時人間は気がつくのかもしれません。こ
の現実世界も「夢」だったことを。
※こちらの商品は2012年発行「夢で会える体外離脱入門」を加筆、修正した商品です。