日本や大東亜戦争について書かれた洋書を読むと、日本に対する根強い批判ばかりが目につきます。よくこんな文章を見かけます。「主な歴史学者は、日本が20万人もの朝鮮人女性を強制的に性奴隷にしたと考えている」
しかし、私はそう思いません。なぜなら、そういう英語圏の歴史学者は、ほとんどがアメリカ人だからです。彼らは現代のアメリカを世界基準だと思っており、アメリカが世界で最も完璧な世界だと実際信じています。
もしも、あなたの国が今アメリカと違っているなら、あるいはあなたの国が以前アメリカと違っていたなら、それはよくない、正さなければならない、と彼らは思っています。そういう理由で、多くの西洋人の歴史家、といってもそのほとんどはアメリカ人ですが、日本の慰安婦システムを批判します。
しかし、私はアメリカで生まれましたが、彼らと違って、アメリカが世界一優れた国だとは思っていません。私は子供の頃から、アメリカ人は一生懸命仕事するよりも、自慢することに熱心なように思っていました。
アメリカ人は自分がアメリカ人に生まれたというだけで、特別扱いされるのを当たり前だと考えています。
今アメリカの大学で教えている歴史学者は、たとえばポリティカル・コレクトネス(政治的に公正・中立で、なおかつ差別・偏見を防ぐ目的の表現)をはじめとする現代のアメリカ社会の考え方に反する言動はできません。
非常に残念なことに、ポリティカル・コレクトネスは抑圧の一形態に堕落し、左翼が反対する人々のキャリアを破壊するために使われるようになったのです。
アメリカのフェミニストたちは、慰安婦は性奴隷であり、今の日本人はそのことについて罪の意識を持つべきである、と断言しています。もしアメリカの歴史学者がこの考え方と違うことを書けば、現在のアメリカでは職を失います。フェミニストたちはその歴史学者が所属する大学に対して、彼が辞めるまで圧力をかけます。
私は人生の大半をアメリカの外で送ってきました。私はどの学校にも雇われていないので、中立の立場で意見を述べることができます。多くのアメリカ人は、私が長く日本に住んでいるせいで、日本に洗脳されたのだろう、と揶揄します。
私は49年間、日本に住み、日本語で本を書けるぐらい日本語を学びましたが、それが洗脳だとは思えません。私は、ことによると何か大事なことを学んだのではないかと考えています。
主流派の歴史学者は、日本には性奴隷システムがあったと非難しますが、戦時中のアメリカの社会はそれほど素晴らしいものではありませんでした。当時の黒人の置かれていた状況や女性の地位を見れば分かります。
日本は、アメリカとは違うしアメリカとは異なる道を歩んできました。私は日本の方が素晴らしい道を歩んできたと考えます。基地の周辺で行われている売春にまつわる問題を解決するには、日本の慰安婦システムは最善の方法だったと思います。
今のアメリカ人は、道徳的な理由で、自国の兵士は売春婦を買うようなことはしない、と思うふりをしたいようです。しかし、それは事実ではありません。世界中のアメリカ軍基地の周辺はしばしば、不法で危険な状態にあります。
この本では、日韓問題で韓国を強く批判していますが、これはヘイトスピーチではありません。私が心から願っているのは、韓国人が、自分たちの問題は自分たちの社会でいつでも日本を非難するといったことなく解決できるようになってほしい、ということです。
真実を語ること、それはヘイトスピーチではありません。
マックス・フォン・シュラー