全ての国家指導者、歴史的偉人、国家の発展にいなくてはならない人物には全て母親がいた。そうした大きい話から、個々の家族の形成まで、必ず母親はそこに存在するのである。ならば、女子から母に成長したとき、その精神の性質によって国民の質そのものが定義されるといっても過言ではない。
女は成長する。娘として生まれ、妻となり、母となるのである。いつまでも娘であることは退嬰そのものである。要するに身体ばかり成長して心が成長していない女が増えればその国はどうなるか。だからこその女子修身なのである。
本書を大日本帝国の残滓とみるのは誤謬ある先入観である。本書は、神代から連綿と継がれる女子の何たるかの集大成であり、そこに高度な文明人として文化人としての在り様が説かれているのである。
女子の在り方とは女子一個人の人生で到底到達できるものではない。女子修身には歴史と伝統によって陶冶された精神の凝縮があり、思春期を迎えた女子が成人女性として信頼されるに足りる素養の何たるかを得させるものである。
私は現在四児を育てている。私個人だけでの教育には限界がある。必然的に先人たちの知恵と経験則を借りることになる。それが教育の淵源である。
御令嬢を持つ父親、愛すべき孫娘を持つ祖父が先ず本書を手に取ってくださることを真摯に願う。