ハチ公ものがたり

綾野 まさる 作 木内 達朗 画 2023.11.10 発行
ISBN 978-4-8024-0170-8 C8093 A5上製 160ページ 定価 1650円(本体 1500円)

内容紹介

ハチ公ものがたり

ぼくはね、野良犬になるよ。
でもね、心配しないでいいよ。
この町でどうにか生きてゆくからね。

門のむこうから背の高い人が、ゆっくりと歩いてきました。
ハチは、その人のにおいで、すぐに先生だとわかりました。
「ずーっと待っててくれたんだね、そうかい、ずーっと、わたしを待っててくれたのかい」
大きな両手でハチの顔をなでまわしてから、先生はハチを抱きしめました。
「さあ、ハチ、うちへ帰ろう」

大正天皇が亡くなり、元号は「昭和」と改められました。
夕方になると、渋谷駅へのお迎えがまたはじまりました。
つぎの日は、駒場の大学で先生を待ちました。
毎日、夕方六時になると、ハチはいそいそと出かけてゆきます。
「おい、やっぱり、あいつ待ってるよ」
「バカな犬だなぁ。ご主人さまは、とっくに死んじまったんだろ。いっくら待ったって帰ってこないのにな」


※本書は平成二十一年八月八日に刊行した『ハンカチぶんこ ほんとうのハチ公物語』を改題・改訂のうえ、新装したものです。



目次

はじめに
プロローグ

第一章 出逢い
急行七〇二号列車
お風呂でワンワン
ゴンちゃんとブル君
花と焼きとり
はじめてのお見送り
先生からのごちそう
さよなら、ゴンちゃん

第二章 別れと旅立ち
白い箱
あの町へ帰ろう
ぼく、野良犬になるよ
まっかな夕日
スターになったハチ
先生にあいたい

あとがき