以前、既刊の『復刻版 国民礼法』の解説を書かせていただいた。こちらは国民学校の小学三年生から六年生までを対象とする教科書で、内容はそれぞれの学年にあわせて書かれている。今回の『復刻版 女子礼法要項』も同じ国民学校の教科書(昭和十七年発行)だが、こちらは高等女学校の生徒を対象としている。
高等女学校と聞くと現在の高校を連想してしまいがちだが、実際は現在の中学一年から高校二年までの五年間に相当する。つまり『女子礼法要項』は女子を対象とした『国民礼法』の続編なのである。
とはいうものの、対象とする生徒は思春期にさしかかることになり、内容がかなり高度になるのはもちろんのこと、女子生徒ならではの心得も述べられる。
『国民礼法』とそれに続く『女子礼法要項』を読んで感じたのは、これらの礼法を学ぶことは、日本人が元々持っている美徳(それは武士道精神にもつながるし、多くの国の人々にはまず備わってないもの)について確認するとともに、それらを強化し、理論武装させることになるのではないかということだ。
日本人が日本国に誇りを持ち、日本国を守るための精神的支柱を得る。
またそうであるからこそ、GHQはこの授業を廃したのだろう。
日本では大手メディアが敢えて報道していないようだが、現在、欧州を中心とした世界各地で起こっている異変では、ごく普通の人々が立ち上がり、行動している。移民や農業潰し政策に対抗するもので、いずれも背景にグローバル勢力がいる。
たとえば農業つぶし政策に対し、まずオランダの農民たちがトラクターで高速道路を封鎖するなどの一揆をおこした。それは今や、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、スコットランド、ポーランドなどへ波及している。
EUなどグローバル勢力がかかげる、気候変動対策としてのCO2やCH4(メタン)、窒素を含むNH3(アンモニア)の削減のために、多くの農家を廃業させるという政府の方針に断固として立ち上がっているのだ。
オランダでは既に成果が現れ、EUによる窒素削減法案は事実上通らない見通しとなった。この削減案に反対するというただ一つのイシューを掲げた新党が、昨年の地方選挙で大勝利を収めたからだ。
彼らが一揆という具体的な行動を起こすことができるのは、追い詰められ、怒りの沸点に達したということもさることながら、そもそも自国や自分に核となるものを持っており、誇りがあるからだろう。
この点においてわが日本人は不利な状況にある。現在のグローバリストとほぼ同根のGHQによって『国民礼法』も『女子礼法要項』も授業が廃止され、核となるもの、自分や自国に対する誇りを抜き取られてしまっているからだ。
グローバリストとごく普通の人々との戦いがどうなるかによっては、今後の世界秩序はひっくり返される可能性が大きい。今年はその正念場の年だ。昨年、日本で可決されたLGBT法案は、多くの反対意見を無視し、政府がグローバリストの意向に従ってしまった結果だ。多くの日本人がやりきれない怒りを感じた。GHQによって骨抜きにされたとはいえ、我々はまだ怒りを感ずることはできる。
我々は生得的には日本人の美徳や武士道精神を持ち続けている。それはスポーツ試合の後の清掃や、フィギュアスケートのファンが他の国の国旗まで用意して他国の選手を応援する様子を見ればよくわかる。
この精神に加え、できれば『国民礼法』や本書で礼法を学ぶことにより、日本人が日本国を精神的に守るために闘う未来が現実となる日はそう遠くはないだろう。