アメリカ人は自分たちを古代ローマと比較したがります。実際、自分たちはローマ帝国の後継者だと主張したがります。シカゴ科学産業博物館やニューヨークのメトロポリタン美術館の建築を見ればわかります。古典的なローマ様式です。ローマは最初の〝世界〟帝国と呼べるかもしれません。当時のビジネスマンは、現在のシリアからイギリスまで、ローマ帝国と同じ法律と支配のもとで、安全に旅をすることができました。
しかし、古代ローマの権力と栄光は徐々に衰退していきました。アメリカも衰退の一途をたどっています。日本にはアメリカが永遠の存在であると信じている人がたくさんいます。しかし、古代ローマは没落し、滅びました。
476年、ゲルマン人のオドアケルが西ローマ帝国最後の皇帝ロムルス・アウグストゥルスを廃位させました。当時のローマ市の人口は100万人。しかし、ローマ帝国の滅亡とともに、これほど多くの人々を養っていた官僚機構も解体されました。100年後、ローマ市の人口は5万5000人ほどにまで減少しました。彼らは過去の廃墟に住む亡霊のような存在でした。
多くの日本人には信じがたいでしょうが、現在のアメリカもやがて同じ運命をたどることになります。
私は日本に住んで50年になります。日本は素晴らしい国だと思います。しかし、アメリカに対する日本人の態度にはいつも驚かされます。アメリカは輝かしい国、世界一幸福な世界であるかのように思われています。
アメリカで生まれた私は、それが真実ではないことを知っています。特に私が初めて日本に来た1974年当時は、アメリカで暮らすことが多くの日本人の夢でした。しかし、その理想の世界はもはや真実ではありません。実際、アメリカは大きな危機に直面しています。
現実には、アメリカは内戦に向かっています。私は、アメリカでの内戦勃発は避けられないと考えています。本書では、私が予測する北米大陸の未来について述べます。それは残酷なもので、ほとんどのアメリカ人は生き残れないでしょう。統一国家としてのアメリカは存在しなくなるでしょう。
これから起ころうとしていること、いや、すでにアメリカで起こっていることは、ロシアや中国の策略によるものではありません。それは完全に、アメリカ人自身の利己的な動機によって引き起こされているのです。
北米大陸には豊富な鉱物資源があり、温暖な気候は農業に適しており、世界の主要な海洋にアクセスでき貿易にも適しています。しかし、アメリカ人は利己的で短絡的な理由で、これらすべてを無駄にしてきました。
この崩壊から生まれるアメリカは、マイナーな国家になるでしょう。私はマイナーな国がいくつか誕生すると予測しています。しかし、私がこの本を書いている最大の理由は、アメリカ人ではなく、日本人に伝えたいことがあるからなのです。
多くのアメリカ人がその危険性を理解し始めています。しかし、私は主に日本人のためにこの本を書いています。アメリカの破滅に引きずり込まれるであろう日本を救うことは、まだ可能です。
しかしそのためには、やらなければならないことがあります。