
自民党総裁選では「日本を守る」などと威勢の良いことをいって保守層の取り込みに必死だった石破氏だが、では、具体的にこの国をどうしたいのか、どういう形にしたいのかという国家百年の計が彼の頭の中にはまるで存在しないかのようである。
多文化共生という言葉を隠れ蓑に外国人労働者や中国人移民をどんどん入国させる一方、治安や教育、医療などはすべて地方に丸投げという無責任な歴代の自民党政権と現在の石破政権にこの国の針路を委ねていては、国土は中国をはじめとする外国資本に食い荒らされ、伝統・文化も加速度的に色褪せ古き良き日本が地上から消えていくことになりかねない。
最大の原因は、政治の怠慢である。とりわけ、長年にわたって与党として日本の政界を支配してきた自民党の罪はどこまでも深い。中国や朝鮮半島への土下座外交を主導した元凶と言っても良い。
人を人とも思わない中国共産党の本質が理解できず、要求されるままに奉仕を続けてきた国、それが日本なのである。中国に限ったことではないが、陰謀渦巻く国際社会で性善説が通用しないことが、いまだに分からない国、それが日本なのである。
GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)という勝者による一方的な裁判(東京裁判)。過去の日本をすべて否定されたのに、それを受け入れ、一億総白痴化した日本人をマインドコントロールから目覚めさせるのは、今後百年は不可能とさえ思えてくる。
中国にとって都合の良い「役に立つ馬鹿」に成り下がった自民党をはじめとする政界もそうだが、財界も目先の利益に目が眩み、社員やその家族の安全を犠牲にしてまで中国で商売するのに血道を上げてきた。学界はいまだに手の付けようがないほど朱色に染まったまま中国への贖罪意識とシンパシー(同情心)を隠さない。国防7大学との連携を見直すわけでもなく、知的財産の流出や経済安全保障管理上の危険を顧みることもなく、中国との片務的な関係に疑問を持つこともなく、国益にダメージを与え続けている。
このままでは、例えば尖閣諸島を盗られても、「日本人の血が流れるだけだ。あんな無人島が欲しいのなら、中国にくれてやればいいのさ」などという訳知り人間が出てきそうだ。
朝日新聞などの左派メディアは、国土が奪われてもなお、「話し合いが大切だ」などと他人事のような論陣を張るかもしれない。だとしたらそれは、盗られるのが国土だけではなく、日本人の自尊心と魂であることに気づかないためであろう。そんな甘っちょろい考えでは、次は沖縄、五島列島、対馬、北海道、首都圏や関西圏の都心部と、ドミノ倒し式に橋頭堡をつくられていくことだって、絵空事ではない。手引きする勢力が政権を握るなど力を持てば、それは十年、二十年先の話ではなく、数年内の話となる。
今後、好むと好まないとにかかわらず、中国共産党の対日圧力はあらゆる面で強まっていくことが予想される。米中両国が日本を置き去りにして、裏で手を組む可能性だって捨てきれない。想定外の「まさか」が現実になるのが、国際政治のリアルなのである。そこには子供じみた根拠のない楽観論の入る隙間はない。
だからこそ、炭鉱でガス漏れを感知して鳴くカナリアの如く、危機を察知して警鐘を鳴らしていかねばならないという思いは募るばかりである。