私は、昨年をもって退職しました。それから約六か月が過ぎようとしていますが、うつ病の症状は本当になくなりました。
やはり、私のうつ病の根本原因は職場や仕事の内容そのものにあったと実感しています。そして、私の場合は根本原因を取り除くことが、完治への唯一の方法だったと確信しました。
もちろん、転職をし、収入が激減したことによる新たな問題は抱えていますが、現に私は今、死ぬことなく生きていますし、あのまま仕事を続けていたら本当に死んでいたかもしれません。命あっての仕事です。何も仕事のために死ぬことはないと今では思っています。だから、仕事を辞めたことは一切後悔していません。
人間には我慢の限界というものがあると思います。よく「乗り越えられない壁はない」などと綺麗ごとを言う人もいますが、私は少し違っているのではないかと考えています。
人間には向き不向きがあり、やはり、その人には合わないことだってあると思いますし、無理なものは無理なのです。それを、「何が何でも」と無理をするからうつ病になるのです。
中には根本原因がわかっていても、そこからなかなか逃れられない人もいるでしょう。しかし、もしその原因が特定できていて、そしてそこから離れることが可能ならば、私は迷わず離れるべきだと思っています。長年うつ病と付き合ってきて、たどり着いた結論はそういうことでした。
薬も休養ももちろん大事ですが、それだけではうつ病の完治は難しいのではないかと思います。
毎日長時間、苦しみに苦しんで働いていて、いったい何が楽しいのでしょうか。そんな状態で、生きていると言えるのでしょうか。
確かに生きていく上で避けては通れない嫌なこともたくさんありますし、何でもかんでも避けろというつもりはもちろんありません。しかし、せめて生きていく以上、うつ病の原因になるような大きな要因は、可能な限り取り除くべきだと私はこの本で訴えたいのです。
私は今、心から仕事を辞めて良かったと思っています。なぜなら、今もこうして生きていられるのは、仕事を辞めたからです。
「うつ病よ、さようなら!!」
(「まえがき」より)