SHO―文字は踊る―

デザイン書道のすすめ

末廣 博子 著 2012.10.23 発行
ISBN 978-4-89295-914-1 C0095 B5変形並製 186ページ 定価 2640円(本体 2400円)

はじめに――いまなぜ「書道」なのか より

SHO―文字は踊る―デザイン書道のすすめ

最近、携帯やパソコンの普及で、漢字を忘れても指一本でポンと出てくるため、漢字を「覚えられない」、「書けない」という問題点が出てきています。
だからこそ、自分の手から自分の表現で日本の文字を表現できたら楽しいですし、これからの子供たちに残していかなければいけない、大事なことだと私は考えています。
ただ、筆は鉛筆やペンよりも扱いに技術が必要なので、なかなか思ったような字が書けず、挫折してしまうケースもあります。また、墨はねが嫌だと敬遠される方もいらっしゃいます。
単純に日本語の文字、漢字を覚えるだけなら必ずしも墨文字である必要はありません。しかし筆と墨を使うことで、鉛筆やペンよりも自由でバラエティに富んだ表現が可能なのです。これが墨文字の最大のポイントです。また、書は心の姿を記録することができ、それを後で筆跡として辿ることもできます。

書道にはさまざまな理論があります。まず大事なのは、楷書、行書、草書、隷書、篆書、仮名といった基本の勉強ですが、ご自分でも常に書道に関する書籍をご覧になったり、作品集に触れてみたり、展覧会に足を運んだりするとよいでしょう。墨文字を身近に感じることによって、ますます書道が楽しくなること請け合いです。ご自身が楽しくなることこそ、書道上達の一番の近道であると私は考えています。
私の大好きな書を通して、自分独自の作品を生み出すことができたのは、日本に生まれ、情緒あふれる美しい景色、日本人の繊細な心や表現の言葉、深く味わうことのできる、漢字や平仮名の意味。それらを、ただお互いに伝達する用途で使われるだけでなく、墨と和紙、そしてそれを表現する道具を通して、人に何かを感じていただけたり、元気を与える力になったり、生きていることに対し、心を落ち着かせる時を持って心に栄養を与えて頂きたい! そんな想いで作品を生み出しています。
『墨の香りは、心を安定させてくれる日本独特の文化である』ということを味わう喜びを感じながら取り組んでみましょう。

書道というと難しく考えがちですが、私の考案したデザイン書道『SHOアート』は、何も考えることなく自分で感じるままにただ作品を観て、「美しい」「力強い」「華やか」「可愛い」「なるほど」と納得して味わっていただけるアート作品です。フランスの美術評論家から『文字に命を吹き込むことの出来るアーティスト』という嬉しいお言葉をいただきました。
たくさんの皆様に支えられながら、長く続けてこられましたことにも感謝をしながら更に楽しく新しい発想で作品を創造していきたいと思っています。
日頃の生活の中でも興味をもってアンテナを立てて過ごすと、また、違った世の中が見つけられます。
それぞれの環境や年代によって観察の仕方も違ってくると思いますが、日本の歴史を紐解くことでも新しい発見があることと思います。『温故知新』で、自分なりに発見したものを自由に表現してみてください。
「SHOアートってこんなに楽しいんだ!」
そういう方がたくさん増えてくれたらとの想いも込めてこの本を作りました。
それでも、基礎は大切ですので、小学校で習ったお習字を思い出して感性を磨いて心豊かな生活の一歩としてお役に立てたら嬉しいです。


愛、喜、夢の漢字で「ありがとうの心」を表現
愛、喜、夢の漢字で「ありがとうの心」を表現

戌、パンダ、とんぼ
何の動物だかわかりますか?

これらは全て「舞」という字です!
これらは全て「舞」という字です!

漢字で花を咲かせました
漢字で花を咲かせました



動画によるSHOアートのご紹介。本当に文字が踊り出しますよ!

目次

はじめに――いまなぜ「書道」なのか


SHOアートの世界
《メッセージ文字》
《デザイン文字》
《デザイン文字――四季》
《舞――バレエ舞》
《舞――ミュージカル舞》
《舞――イナバウアー舞》
《舞――フラメンコ舞》
《舞――能舞》
《舞――雅楽舞》
《舞――歌舞伎舞》
《舞――竹久夢二コラボレーション》
《動物たち》

SHOアートの歴史
書道を始めたきっかけ
中学時代の書道部
バレエと書道
生け花と書道
ミス横浜
書道塾と家事、育児の両立
書道展への出品
平岩雪香先生との出会い
デザイン書道と「舞」
活動の輪をどんどん広げていく

SHOアートを書いてみよう
はじめよう!SHOアート
どんな道具を使ったらいいの?

紙 
墨 

下敷き
文鎮
雅印(落款印)
書道は“姿勢”が大切
歴史に学ぶ
基本の点と線
永字八法 
横画(横の線) 
縦画(縦の線)

はね
左払い 
右払い
SHOアートを書いてみよう
SHOアートの「書き方」 
『花』をデフォルメしてみる 
SHOアート『花』  
SHOアートは自由な発想が醍醐味

おわりに――SHOアートのその先



 

お勧めの書籍