縄文末期から弥生時代、邪馬台国の時代を経てヤマト王権が確立されていく過程には、いまだにわかならないことが多々ある。邪馬台国はどこにあったのか、卑弥呼とヤマト王権はどういう関係にあるのか、天皇家はどこから来たのかなど、明らかになっていない。『古事記』や『日本書紀』に書かれたことがらとの関連性も多くの点で不明なままになっている。また、天照大御神を中心とする神話体系にも謎が多い。拙著『ベールを脱いだ日本古代史』(ハート出版)ではこういった謎に光を当て、解明を試みた。
本書はその続編である。弥彦(やひこ)山・彌彦(いやひこ)神社とそこに祀られる天香山命にまつわる謎解きから話が始まる。実際に当地を訪れることで、その裏には、実は神武東征にも関わる深い秘密が隠されていたことがわかった。
今回はフィールドワークを主体として、歴史だけでなく神社や祭神に焦点を当てた。弥彦山・彌彦神社に続き、香取・鹿島神宮、伊勢神宮、日吉大社、諏訪大社という日本を代表する古い神社を訪れ、それぞれの地で秘められた歴史や祭神にまつわる謎を解明していく。
香取・鹿島神宮には要石という摩訶不思議な石がある。この石は地震を起こすナマズを押さえていると言われているが、今回、その本当の意味が明らかになった。それはナマズとは関係なく、縄文人の祀る龍神が重要な意味を持っていたのだ。その裏には悲しい話が隠されていた。
そして、本書の主眼である伊勢神宮の隠された大きな謎に迫る。天武天皇によって祭神が天照大御神という架空の女神に変えられてしまったことは前著で明らかにしたが、最大の謎は、本来の祭神は何かということである。伊勢神宮を実際に訪れ、そのエネルギーに触れることで、本来の祭神を明らかにすると同時に、本来の祭神の持つ意味合いについても解き明かしていく。それは自然界にあふれる生命エネルギーにも深く関連していた。
それはまた縄文の男神と女神を復活させることにも通じていた。特に、瀬織津姫と呼ばれる女神に深く関連していたのだ。瀬織津姫は実は古代の人々によって日本の多くの地で祀られていた。それが、天武天皇が天照大御神を編み出し、それを中心とする神道体系を押し広めていく過程で、徹底的に排除されてしまったのだ。
伊勢神宮の本来の祭神を復活させることは日本人のアセンションにも強い影響があり、この時期に伊勢神宮の祭神の話が出てきたのは偶然ではないと思う。
本書を通して本来の伊勢の神々についての理解が深まるだけでなく、それを実際に祀る人々が増えることを願いたい。