逆にしたらよくわかる教育勅語

ほんとうは危険思想なんかじゃなかった

倉山 満 著 2014.11.03 発行
ISBN 978-4-89295-985-1 C0021 四六並製 224ページ 定価 1430円(本体 1300円)


笑える?でも笑えない。これが「逆・教育勅語」だ!

「序章」より抜粋

逆にしたらよくわかる教育勅語

世の中には、実物を見ないで思い込みだけで決めつける人がいます。
「教育勅語は危険思想だ〜」というような人たちです。
とにかく教育勅語と言うと、「戦前軍国主義の象徴、らしい」「カルト宗教みたいに戦前の日本人は覚えさせられた、らしい」「いざとなれば天皇のために死ねとか無茶苦茶言っている、らしい」とか、刷り込みがなされているので、何を言っても無駄のようです。
とはいっても、そこであきらめたらこの本の負けですから(笑)、少しショック療法をしてみようと思いました。
そこで、「もし教育勅語と逆のことが教えられていたら」という意味で、「逆・教育勅語」を考えてみました。
一気に、できれば音読してください。

一、 親に孝養をつくしてはいけません。
  家庭内暴力をどんどんしましょう。

二、 兄弟・姉妹は仲良くしてはいけません。
  兄弟姉妹は他人の始まりです。

三、 夫婦は仲良くしてはいけません。
  じゃんじゃん浮気しましょう。

四、 友だちを信じて付き合ってはいけません。
  人を見たら泥棒と思いましょう。

五、 自分の言動を慎しんではいけません。
  嘘でも何でも言った者勝ちです。

六、 広く全ての人に愛の手をさしのべてはいけません。
  わが身が第一です。

七、 職業を身につけてはいけません。
  いざとなれば生活保護があります。

八、 知識を養い才能を伸ばしてはいけません。
  大事なのはゆとりです。

九、 人格の向上につとめてはいけません。
  何をしても「個性」と言えば許されます。

十、 社会のためになる仕事に励んではいけません。
  自分さえ良ければ良いのです。

十一、法律や規則を守り社会の秩序に従ってはいけません。
   自由気ままが一番です。

十二、勇気をもって国のため真心を尽くしてはいけません。
   国家は打倒するものです。



教育勅語、というと日本人のほとんどは「なんとなく怖い」と思っているのです。
現実には。
だから、あえて逆に問い直したいのです。

逆・教育勅語を読んでどう思いますか。
今の日本で実現していませんか。
そちらの方が怖くないですか。
それがいいと思いますか。と。 





目次


はじめに
◆教育勅語十二の徳目

序章 逆・教育勅語
◆まずは音読してみよう
◆マッカーサーは日本の民主化などしていない
◆グローバリズムの甘い罠
◆アメリカはソ連に利用されただけ?
◆建前は教育勅語、実際は逆・教育勅語の国「中国」
◆最大の敵は国内にいる!
◆「逆・教育勅語」読者の反響
◆正攻法は×! 今こそ世に問う「逆・教育勅語」

一章 こうして「両親を大切にしない」世の中になった
◆「家社会」のルーツは御成敗式目
◆「家社会」のなりたち
◆個人主義の萌芽とその反動
◆そして日本の「家社会」は崩壊していく

二章 こうして「兄弟姉妹を大切にしない」世の中になった
◆神話の昔から兄弟喧嘩はあった
◆長男の権威のピークは明治時代

三章 こうして「浮気や離婚が当たり前」の世の中になった
◆日本における恋愛の歴史
◆「悪女」日野富子の奔放な恋愛
◆武士の恋愛、庶民の恋愛
◆そして日本国中に毒が回っていった

四章 こうして「他人を信じられない」世の中になった
◆国際化による地域社会の変貌の一例
◆天皇陛下のセキュリティを考える
◆「共同体」として高度成長期を駆け抜けた日本人
◆そして日本人の心が荒んでいった

五章 こうして「嘘でも何でも言った者勝ち」の世の中になった
◆慎み深い日本人
◆「特権養成機関」となった帝国大学
◆慎みなくしても国際社会では負けっ放し

六章 こうして「他人のことなどお構いなし」の世の中になった
◆マルクスとシュティルナー
◆勝手気ままに生きたら人間はどうなる?
◆「金八先生」の功罪

七章 こうして「働いたら負け」の世の中になった
◆生存権は生活保護が前提?
◆道徳がなければ憲法の運用も出来ない

八章 こうして「ゆとり教育」の負の遺産だけが残った
◆教育先進国だった日本
◆致命的だった高等教育の失敗
◆あまりにも無惨な戦後教育

九章 こうして「個性のみ重視」で人格を顧みない世の中になった
◆教育基本法のささやかな抵抗
◆「授業崩壊」は個性重視の結果

十章 こうして「世のため人のため」は死語になった
◆「愛国心」を持ってはいけない?
◆なぜ働きたくても働けない世の中になったのか

十一章 こうして「ルールを守る正直者が馬鹿を見る」世の中になった
◆「人権」の濫用が日本を壊した
◆その構造が既に間違っている日本国憲法

十二章 こうして「軍国主義」は悪者にされた
◆軍国主義に対する不当なレッテル貼り
◆帝国軍人とウルトラ兄弟
◆日本のロボットアニメがフィリピンの国民的番組になった理由
◆SFアニメ主人公の変遷に見る日本人男性の姿
◆教育勅語が本当に伝えたかったもの

おわりに




「おわりに」より抜粋

日本で一番、「戦後レジーム」からの脱却が必要なのは「教育」でしょう。
本書では再三、マッカーサーが日本の教育を破壊した話はしました。
日教組と大手メディア、そして左派系の出版社によって日本の教育はズタズタにされて、四世代経っています。
彼らは「教育勅語」を追放しました。

日教組や朝日新聞の勢力は劇的に衰えています。
しかし、彼らの壊した世界は健在です。
教育勅語など誰もが忘れ、今や「逆・教育勅語」の世界が実現してしまいました。

私は、保守派の復古趣味のおじさんおばさんが主張するように、教育勅語をそのまま復活すれば素晴らしい日本が再び出現するなどという甘い幻想は持ち合わせていません。

ただ単に「教育勅語の内容は本当に素晴らしい」と主張したところで、現代の日本人には届かないでしょう。
まして若者や子供たちに興味を持ってもらえるわけがありません。

ならばどうすべきか。
私は絶望的な現実を突きつけ、直視するしかないと思います。

ただ、私は絶望していません。
本書を手に取り、「ホント、今の日本は逆・教育勅語そのものの日本だよな」と軽い気持ちで笑い飛ばし、その上で「じゃあ自分はどうするか」と考え、行動できる日本人がいなくならない限り、日本という国は滅びないと思います。

本書では、教育勅語と「逆・教育勅語」を並べ、日本人の良いところも悪いところも描きました。
昔の日本人が当たり前のように思っていた教育勅語という建前を、あえて「逆・教育勅語」という形でぶつけてみるといろんなものが見えてくると思います。

少なくとも、今でも当たり前としか思えない内容しか書いていない教育勅語に危険思想の不当な烙印を押し、不当に封印し続けてきた日本の教育界やメディアが何者かはわかるでしょう。
彼らは日本がだめな国でいてほしいのです。

結局、日本は教育から立て直すしかないのです。
私の信念です。

道徳は建前に過ぎないかもしれません。しかし、建前を捨てた国がまともな国なのか。
私がたわむれに作った「逆・教育勅語」で考えてみてください。


 

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