この世に生まれてから死ぬまでが人生だと考える人が多い。
その前もないし、その後もないと。
そう信じるのは勝手だが、真実はそうではない。
死後はある。それだけではない。
実は、私たちはみなこれまでに何百回、何千回と生きてきている。
しかも、それは地球に来てからの回数にすぎない。
その前に、シリウスやプレアデス星団、オリオン座のリゲル、ミンタカ、こと座のヴェガ、白鳥座のデネブ、あるいは他の名もなき星々で、さらに多くの生を生きてきている。
みなこの驚くべき真実をすっかり忘れてしまっている。
一体自分はどこから来たのか、そして、これからどこへ行こうとしているのか。
こういうとても大切なことをすっかり忘れてしまっているのだ。
ただ、それを少しずつ思い出す旅をだれでも始めることはできる。
私はヘミシンクという方法を使い、その旅を2001年に開始した。
それ以降、心の深いところにあってすっかり忘れていた数々のことを思い出してきている。
ヘミシンクはそういう部分にアクセスすることを可能としてくれるのである。
この旅は覚醒へと向かう旅でもある。
忘れていたことをすっかり思い出した暁に、あなたは晴れて目覚める。
そして自分がだれで、どこから来て、どこへ向かうのかをはっきりと自覚するのである。
私はこの旅路を進みながら、ところどころで思い出したことがらをその都度、本に著してきた。その数は30冊以上になる。
それはあくまでも私個人に関する記憶が主だが、それは他の人にも参考程度にはなりうると思う。そこに普遍性を見出すことができるからだ。
まだ道半ばだが、この段階でここまでわかってきたことがらをまとめようと思う。ただ、内容が内容だけに、とても1冊ではまとめきれないので、全部で3冊ほどになる予定だ。
本書ではまず覚醒とは何かということについてお話しし、私たちはどこへ向かうのかを明らかにする。
「この世は夢幻の世界だ」という表現がある。また、そういう夢の世界から「覚醒」するとか、「目覚める」という言葉が使われることがある。
それは一体どういう意味なのだろうか。悟りと同じことを指すのだろうか。
精神世界に興味があり、精神性を高めるさまざまな方法にチャレンジしてきた人なら、一度は関心をもったことがあるのではないだろうか。
それだけ関心の高い「覚醒」なのに、それについて明確に書いた本はこれまでにあまりなかったと思う。そこで、本書は「覚醒」とは何を意味するのか、どういう精神状態に達することなのか、ということをまず明らかにする。
ここまで明確に書いた本は、意外と少ないのではないだろうか。
その上で、覚醒するには何が必要なのかについて解き明かす。これは多くの人が知りたいことがらだと思う。
さらに、覚醒へ向かう過程の具体例として、著者自らがこれまで歩んできた道のりを、覚醒という観点から見直し、私がどういうことを体験し、知るようになったかを明らかにしてゆく。
覚醒への歩みという意味で、2001年にヘミシンクを聴き始めたころ、私はごく平均的なレベルにいた。別に超能力者だったわけではないし、聖人君子を目指していたわけでもない。ごく普通のエンジニアだった。
だから、その後の私の足取りは普通の人がヘミシンクを聴くことでどう歩んでいくのかを示していると思う。
ただ、これはあくまでも私個人が体験したことがらなので、どこまで一般化できるかはわからない。
それぞれの人にはそれぞれの旅路があり、その路傍で見かける景色や出会う人々も違う。
それぞれに個性豊かな、貴重な旅を歩んでいる。
それを楽しんでいけばいいんじゃないかと思う。