犬本・読書感想文 最優秀賞

ベルナとななえさんに教えてもらったこと

伊藤 奈々絵 (新潟県北蒲原郡 11才)


「あっ、奈々絵と同じ名前だよ」と、お母さんの声。「盲導犬のお話なら読みたい」と、私。これが私とベルナの本との出会いだ。軽い気持ちで読み始めた私だが、読んでいくうちに、どんどん夢中になり、とうとう三冊のベルナの本を一気に読んでしまった。それは、ななえさんとベルナの深い愛情と思いやりを強く感じたからだ。
 犬の体も触れないななえさんが、ベルナの口に手をいれなければならないという試練を乗り越えるのは、簡単なことではない。でも、それは飼い主と心を通じ合わせ、盲導犬としての役割をうまく果たすための大切な結婚式だったのだ。ななえさんはがんばった。そして、ベルナも優しく受け止めてくれた。私の心も、温かな気持ちでいっぱいになった。
 でも、ベルナとななえさんの生活には、たくさんの困難がまっていた。訓練所から帰ってくる途中でも、駅員さんに、犬を電車に乗せたらだめだと言われたり、その話を聞いた人たちからも、こわがられたりした。盲導犬のことは、みんな本やテレビでは知っているけれど、実際に見る機会はあまりない。だから、なかなかすぐにはわかってもらえなかった。
 それをななえさんは、根気強く説得した。その様子をベルナはじっと見ていたはずだ。
「私のことをこんなに一生けん命話してくれるなんて。この人のためにがんばろう」
 そう思ったに違いない。二人の心のきずなはさらに深くつながったのではないだろうか。
 ななえさんの努力のかいあって、ベルナのことをわかってくれる人が、次第に増え、協力してくれるようになった。みんな「ベルナちゃん」と言って、かわいがってくれるようにもなった。私は、本当によかったと思った。ベルナは、盲導犬としての仕事をするだけでなく、みんなの心に優しい風を運んできてくれたような感じがした。
 やがて、ななえさんに赤ちゃんが生まれた。ベルナは、赤ちゃんの幹太くんのことも危険から守ってあげた。これってすごい。ベルナが、ななえさんを守るのはわかる。でも、幹太くんまで。ベルナは、盲導犬という役目を超えたえた本当の家族なんだと思った。
 私は、この三冊の本から、心を通じ合わせ助け合って生きていくことの大切さを学んだ。私は、この気持ちをみんなにも伝えたいと思い、自分にもできることはないかと考えた。
 私は、さっそく盲導犬のことを調べた。そして、盲導犬がとても少ないこと、育てるのにはたくさんのお金が必要なことを知った。私は、先生に相談し、募金活動を始めた。学校では、みんなが協力してくれたけれど、街頭募金では「どうして子供がそんなことをするんだ」と言われた。私は、それでも一生けん命呼びかけた。そうしているうちに、募金してくれる人が増えていった。とてもうれしかった。 私は、これからもこの活動を続け、犬と人間の境をこえ、助け合っていける世の中になるよう、呼びかけたいと思っている。

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