私は、もともと犬が好きで、犬の本は昔からよく読んでいました。
そして、この「実験犬ラッキー」というタイトルを見たときも、「実験犬? どんな犬の話だろう」
と、軽い気持ちで手に取っていました。
ところがどうでしょう。読んでみて初めてこの動物実験という、ひどすぎる実験の実態を知りました。それからというもの、家の近くで楽しそうに尾をふって散歩している犬を見ると「同じ犬なのに一方は幸せな日々をすごし、もう一方は明日どうなるのか怯えながらすごしているのだろう」と、つい考えこんでしまいます。
そんな中、学校で総合学習という新しい授業が始まりました。そのとき、私の頭にこんな考えが浮かんできました。「そうだ。この授業を通して、みんなに実験で苦しんでいる動物たちのことを知ってもらおう」 それは、まるでラッキーが私の耳元で、ささやいたかのようでした。
さっそく調べたところ、また新たにたくさんのことがわかったのです。「ペットをこんなに捨てるのも、実験に法律がないのも日本だけ」「新しい薬品を使うときは、実験をしないと商品にできない」
なんで、私はこれらのことを今まで知らなかったのだろうと、恥ずかしい気持ちになりました。けれど、そんなかげでは、心温まる動物愛護の活動が根強く続いていることも、わかったのです。そして、この総合学習の発表が終わると「知らんかった。ひどすぎる…」と、つぶやく人もいれば、「私、募金送るよ。」と、声をかけてくれる人もいました。けれど、私はまだ満足はしません。だって、発表したからといって、まだ実験動物たちは、減ったわけではないから。
これはラッキーの「仲間を助けて」というメッセージを、私がそのまま伝えたにすぎないのです。そして人間は、ついつい自分が一番と思いがちですが、動物も人間も同じ心を持った生き物です。
「動物だから、どんな実験をしてもいい」というのは、まちがいです。
地球に住む、すべての生き物は平等に生きるべきなのです。
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