犬本・読書感想文 優秀賞

「捨て犬ユウヒの恩返し」を読んで

笹本 明弘 (千葉県君津市 12才)


 ユウヒは捨て犬でした。捨て犬を作り出すのは人間です。人間の身勝手で無責任な考えから不幸な犬たちがでてきてしまうのです。しかし偶然、川に夕日を見に来ていたハナさんにユウヒは拾われたのです。ユウヒと言う名前はハナさんが夕日を見に来ていたときに出会ったことから付けられたものです。
 ユウヒはとてもラッキーな犬だと思います。なぜならハナさんと出会っていなければずっと野良犬として生きていかなければならなかったからです
。  ハナさんはホームレスです。ご主人が亡くなり家賃が払えなくなったため追い出されてしまったのです。行くあてのないハナさんを助けてくれたのがホームレスの川端さんです。川端さんはユウヒを飼うことには反対でした。でもハナさんは何度も何度も頼んでやっと許してもらいました。犬一匹とはいえ、その日暮しのホームレスにとっては負担になるに違いありません。それでも飼いたいと思うのはユウヒをいとおしいと思う気持ちが強かったからではないかと思います。そして反対していた川端さんも一緒にいるうちに情がわいて来たのだと思います。
 動物は愛情を注いでくれる人をよくわかっています。だからユウヒは、不幸な犬の仲間たちにもハナさんならえさを与えてくれると考えて連れて来たのでしょう。そんなユウヒの無茶な行動にも優しく応えてあげるハナさん。だからハナさんが病気になったとき、ずっとそばについていてあげたり、大雨で川の水があふれて危険を知らせて助けてあげたりしたのだと思います。ユウヒがハナさんを助けて欲しいと思う一生懸命さや、拾って育ててくれた恩を返そうとする気持ちが痛いほど良くわかりました。
 前から老人ホームへ入ることを望んでいたハナさん。でもユウヒや白という犬を飼ってくれる人が見つかるまでは気がかりでなりませんでした。それはきっと、ユウヒを二度と捨て犬にしたくなかったからだと思います。でも小松さん、加藤さんたちのおかげで二匹は飼ってくれる人が見つかり、ハナさんはようやく老人ホームへ入ることができました。  新しい生活が始まってから約八十日後にハナさんとユウヒは再会することができました。ユウヒはハナさんに会いに来たのです。ハナさんは泣いて喜びました。本当にうれしかったのです。ご主人を亡くしてから身寄りのないハナさんにとってユウヒはかけがえのない家族となっていたのだから・・・・・・。お互いの元気で幸せな姿を見て、心配だったことが一度に吹き飛んで行き涙があふれたのだと思います。
   ハナさんとユウヒには、これからもずっと元気で幸せに暮らしてもらいたいです。ぼくも犬が大好きなのでいつか飼いたいです。そのときは、ハナさんのように愛情と責任を持って飼いたいと思います。

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