三重県学校図書館協議会毎日新聞社共催
第48回青少年読書感想文全国コンクール 三重県審査 優秀賞

「目をふさがれた犬純平」を読んで

伊藤 舞(丹生川小5年)


 純平君、お元気ですか。今も新光館のみんなにかわいがられて、たくさんの物を見つめていますか。
 捨て犬だったあなたの目が、心ない人間の手によって瞬間接着剤でふさがれ、寒い公園でふるえていたあの日からもう六年がたちますね。生まれてまだ二ヵ月の子犬だったあなたがどれだけおそろしく、悲しかったかを思うと言葉が見つかりません。
 私は、この本を見た時、よく新聞やテレビで「動物ぎゃく待」と言う言葉が出ていたのを思い出しました。そして、実際何者かによってぎゃく待を受けた、この純平君の話を読んでみました。最初は、ものすごく心が痛くなり、最後には腹が立ってきました。
 純平君、あなたは目をふさがれていただけでなく、おしっこも出せないように接着剤がぬられていましたね。こうしたぎゃく待を受けた純平君を拾ったのは、日本に来て、英語講師をしているアメリカ人のマイケル・ハンソンさんでした。マイケルさんは、講師の仕事以外に、ボランティアで捨て犬や捨て猫の里親さがしをしていました。本当に運がよかったのでしょう。そういう人に拾われた純平君は、マイケルさんや、大家さんである吉田さんに、一晩中お湯でぬらしたタオルで、目やお腹のあたりを一生けん命ふき続けてもらったのです。二人のあたたかい努力と、動物病院の大住先生の細かい処置で、純平君は少しずつ目が開き、視力を取り戻しました。動物を愛する人達の心のリレーだったのです。
 私の家にも「リュウ」という犬がいます。もし、リュウが純平君と同じ様な事をされたら、と思うだけでとても許せない気持ちになります。でも、それは捨てられている犬や、猫でも一緒です。面白半分で、この様なぎゃく待をして人間にはどんな罰があるのかと言えば、「器物破損」といって物をこわした罪と同じで、罰金を払えばいいのです。
 動物は、言葉が話せません。そんな動物達を捨てないで下さい。責任を持って飼ってください。そして、法務大臣様、私達の友達であり、家族である動物達を「器物」ではなく、赤い血が流れる大切な命として、もっと重い法律をつくってください。でもその法律を作る前に、私達人間は大昔から動物とかかわり、助け合って生きてきたのです。私達が動物を大切にする事で、動物から優しさと、信じ合うことも教えてもらいました。
 今ここで、私達が動物を大切にする心を取り戻さないと、人を大切にする心も失われていくと思います。
 純平君、つらい目にあったあなたが今、人間の心をいやしてくれるという事に、また心が痛みます。でも心のリレーで取り戻した光で、人間の心を照らしてください。優しさをなくした人の心が取り戻せるように。
 あなたの心の傷も消えていきますように。


 


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