第2回「盲導犬ベルナ」読書感想文コンクール
小学校中高学年の部(3,4,5,6年生)――童話シリーズ

優秀賞

ななえさん ありがとう

神奈川県横浜市・関東学院小学校 五年 安藤真理子


 ななえさんはベルナをとてもかわいがっていたのですね。私はななえさんの本を読んで、ななえさんがベルナを心から愛し、家族の一員としてむかえていることがとてもよく分かり安心しました。私は父、母、小学五年の私、そしてメスのラブラドールレトリバーのキキの四人家族です。
 私達はボランティアで日本盲導犬協会のパピィーウォーカーをしています。まだ始めたばかりで一頭目のパピィーです。最初は分からない事ばかりで、訓練士さんに手とり足とり、一から犬の事を教わりながら育てました。平成十五年八月十七日、十カ月のキキとの生活にお別れしてキキを訓練所にお返ししました。キキの兄弟たちもみんな集まり、一頭ずつハーネスを付けて記念写真をとり、お別れをしました。とてもつらく悲しかったです。お別れなんてしたくありませんでした。でも仕方のないことです。約束ですから。今はキキが訓練所で元気で楽しく過ごせるように毎日毎日神様にお祈りをしています。
 私は視覚障害者の方と盲導犬の生活が知りたかったので、キキを返してからななえさんの本を読み始めました。読んでいくうちにななえさん家族とベルナの生活が、私達の生活にとても似ているなあと思い当たるところがたくさんありました。ベルナがお留守番がきらいで自分もいっしょに外にゆきたいこと。いつも私達家族を心配してくれること。私達の話がよく分かること。わずか十カ月あまりのキキとの生活でしたが、ななえさんとベルナの生活が私とキキとの生活のように思えました。
 ななえさんがベルナを盲導犬だけでなく、自分の娘として育ててくれてほっとしました。私はキキが訓練所に入り、みごと合格して盲導犬デビューしてからの生活はどんなものかとても心配でした。キキがつらい思いをしていたり、がまんばかりしている姿は見たくありません。でもこれは、私の思い違いだったと分かりました。ななえさん家族とベルナの生活は、私達家族と何も変わった様子はありません。ただななえさんとお父さんの目が不自由だというだけです。でも、ななえさんとお父さんには「心の目」があります。何でも「心の目」で見えるのですから心配はいらないのですね。本当に安心しました。
 今度キキに会えるのは、訓練士さんとキキとの信頼関係ができてからだそうですから、もう少し先のことになります。その時、私はキキにベルナの話をしてあげようかなと考えています。きっとキキもベルナの話を聞けば安心して訓練ができると思います。視覚障害者の方もパピィウォーカーも犬を大切に思う気持ちは同じなんだと分かる本に出会えて本当によかったです。ベルナが幸せでいられたのは、ななえさん、お父さん、幹太君がベルナを心から愛していたおかげですものね。
 これからもななえさんのような視覚障害者のために、私はボランティアを続けていきたいです。



読書感想文 受賞作
第2回「盲導犬ベルナ」読書感想文コンクール の実施内容
第2回「盲導犬ベルナ」入賞者一覧


 


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