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スーホの白い馬に会ったよ
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草原を駆ける白い馬に会いたい─。モンゴルに一緒に行く約束を果たせぬまま死んだ教え子の夢をかなえるため現地を一人旅した体験を、広島市西区の小学校教諭鎌田俊三さん(47)が童話につづった。「スーホの白い馬に会ったよ」の題で近く出版する。
鎌田さんは1981年、福山市の肢体不自由児医療施設「若草園」の施設内学級で、脳性まひのため手足に障害がある柳泰司君=当時15歳=と出会った。担任だった鎌田さんは、柳君たち十人の生徒と、地元中学の文化祭でモンゴルの民話「スーホの白い馬」を題材に影絵劇を披露した。
柳君のお気に入りの絵本で、飼っていた白い馬を王様に奪われたスーホ少年が、息絶えた白馬を民族楽器「馬頭琴」にするというあらすじ。「白い馬を見たい」「馬頭琴ってどんな音がするの?」。張り切って馬の役を演じた柳君をはじめモンゴルにあこがれた生徒と、いつか旅行することを約束した。
しかし、91年、大阪府内の養護施設に移っていた柳君が不慮の事故で全身やけどし亡くなった。鎌田さんはショックから立ち直った2000年7月、柳君の遺影を胸に一人でモンゴルへ。
馬頭琴演奏者に追悼演奏してもらうなど、柳君たちと約束していた夢をかなえた。帰国後、「障害児の生活や教育の意味を知ってほしい」と、追悼の思いも込め、出版を決意した。
この本の売り上げは障害児教育やモンゴルの貧しい子どものための基金の設立に役立てることも考えている。鎌田さんは「劇が終わった後のやっちゃん(柳君)の得意げな表情が忘れられない。多くの子どもに語り継がれる本になれば…」と話している。
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