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広島市の小学校の先生が、亡くなった教え子の写真を手にモンゴルに旅立った体験を、童話にまとめました。題名は「スーホの白い馬に会ったよ――天国のやっちゃん、モンゴルにいく」。
「やっちゃん」こと柳泰司くんは、脳性マヒのため、手や足が自由に動きませんでした。広島県福山市の体に障害のある子どもたちの施設で、鎌田俊三先生と出会ったのは1981年。13才のときです。やっちゃんのお気に入りは、鎌田先生が紹介したモンゴルの民話「スーホの白い馬」でした。スーホ少年が大切に育てていた馬が王様にうばわれ、命を失ってから、モンゴルの代表的な民族楽器「馬頭琴」として生まれかわるまでの話です。
当時、その施設で担任をしていた鎌田先生と、クラスのみんなは「スーホの白い馬」を演じました。「いつかモンゴルに行ってスーホの白い馬に乗りたい。馬頭琴の演奏を聞きたい」という夢を持ちましたが、それがかなわないまま93年11月、別の施設で全身に大やけどを負って亡くなりました。
「やっちゃんの夢を実現させたい」。
鎌田先生は20年前の約束をはたすため、2000年7月にモンゴルに向かい、広い草原で、やっちゃんの写真をだいて馬頭琴の演奏を聞きました。
今度は、本の売上金などで、アジアのために「スーホ基金」をつくることも考えています。鎌田先生は「障害のある子どもたちの生活のようすを知り、命の大切さを感じてほしい」とねがっています。
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