小学校中学年以上を対象に書かれた「麻薬探知犬」のドキュメント。一般には薬物と言われているのはコカイン、覚醒剤、大麻、向精神薬などで、今や中学・高校生の低年齢層に急速に広まっているという。薬物吸引をした中学生千人に始めたきっかけを聞いたところ、その9割が「仲間と喫煙しているうちに一人がシンナーの類を持参したのが始まり」と答えている。集団喫煙が薬物汚染へと進む危険があることを示す一例であろう。
本書は、薬物の流入を完全阻止するため警察とともに闘っている東京税関と同麻薬探知犬訓練センターの全面協力で書かれた。全国各地の税関で働く麻薬探知犬は約百頭で、アークは東京税関の35頭のなかの一頭だ。麻薬探知犬として認定されるまでの厳しい訓練や税関の仕事と麻薬類、途中で帰される候補犬の話やハンドラー(訓練士)との出会いなどが興味深く書かれている。
なお、成田税関支署では教育関係の方々や保護者等を通じて麻薬犯罪の危険性を呼びかけ、同時に麻薬犯罪防止に努める税関の仕事理解してもらうため、見学にも応じている。
全国教育新聞2003年9月1日
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