「毎日新聞」2003年10月23日

■ 書評…「いい子」に育ててはいけない　 ■

富田富士也著　

　著者は、子供や親との相談経験が豊富な教育カウンセラー。親から「いい子」になることを求められて、悩みを抱える子供の実例を紹介し、「いい子」を求めることのあやうさに触れる。
　実例は、親の顔色をうかがって言うことを聞きすぎる▽正義感は強いが、融通がきかずに同級生からうとまれる▽対立を避けるために、知らず知らずのうちに自分の感情を抑え込んでしまう――など。「子供のためを思う」気持ちが逆効果となって、子供がうまく自分の気持ちを伝えられなくなり、親がハッとする例も。そんな親へのアドバイスの一つに「子供のくだらない話を真剣に聞き、くだらない話をすること」を勧める。（ハート出版・本体１３００円）