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車いすの犬チャンプと、飼い主・三浦英司さん(62)=大曲市大曲西根=のふれあいをつづった童話「車いすのチャンプ」が刊行された。秋田魁新報の「月曜論壇」執筆者で鹿角市出身のフリーライター池田まき子さん(45)=豪州在住=の作。犬と家族の愛情あふれる実話は、命の大切さをあらためて伝えている。
チャンプは牧羊犬の一種ビアデッド・コリーの雄。2歳の時、自宅近くの国道で車にはねられ、後ろ脚が不自由になった。獣医師からは「安楽死」を勧められたが、三浦さんは犬用車いすを独自に製作、チャンプは平成14年暮れに亡くなるまでの15年間を家族の一員として過ごした。
チャンプが死んだとき、秋田魁新報がその死を報じた。その記事を里帰りしていた池田さんが読み、三浦さんの深い愛情に感動。「この物語を一冊の本にしたい」と思い、すぐに三浦さんに会いに行った。そこでチャンプの15年間の歩みを聞き、作品化の思いはさらに強くなったという。
チャンプは事故後動けず、ストレスで毛も抜け落ちてしまった。三浦さんは「チャンプに元気になってほしい」と、建設資材販売・土木機械リース会社経営の仕事と経験を生かし、犬用車いすを作ることを思いたつ。
車いすは、胴体を二輪のタイヤが付いた台に乗せ、ベルトで固定する仕組み。チャンプの体と台の間にすき間ができるなど失敗を繰り返しながら、あきらめずに車いすの改良を続ける三浦さんの姿が描かれている。家族の愛情に包まれ、ともに暮らすチャンプの表情も生き生きと描写。車いす生活だが、周りの人たちに支えられ、チャンプは決して不幸ではなかったことが伝わってくる。
作品について三浦さんは「女性らしい視点で、よく描いてくれている。『動物も命の重さは同じ』という自分の思いも、しっかり伝えてもらえた」と語っている。
池田さんは「飼い主の責任、動物と人間のきずなを描くことを通し、ペットと一緒に暮らすことの意味を考えてもらうきっかけになればうれしい」と話している。
池田さんは「走れ たいよう 天国の草原を」(秋田魁新報社刊)も執筆している。
秋田さきがけ2004年4月15日
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