秋田さきがけ 2005.06.19

飼い主として責任を

「3日の命を救われた犬ウルフ」池田さん 命の大切さ訴える

 池田まき子さんが書いた「3日の命を救われた犬ウルフ」(ハート出版、1260円)が出版されました。池田さんは秋田県出身で「車いすの犬チャンプ」「走れ たいよう 天国の草原を」の著者。今回はペットの命の大切さを訴える内容です。
 ウルフは全身真っ白のシベリアン・ハスキー。今は新しい飼い主のもとで暮らしていますが、以前は秋田市にある県動物管理センターにいました。しつけ方教室でお手本を見せるモデル犬で、人気者でした。
 書名の「3日の命」とはどんな意味なのだろうと、気になる人もいるでしょう。県動物管理センターは、保健所が捕まえたり、飼い主から引き取ったりした犬や猫を処分する施設です。保健所やセンターで三日間過ごした犬はガス室に送られ、炭酸ガスを吸って五分ほどで意識を失い、息絶えてしまいます。
 ウルフもそうなる運命でした。生後二カ月後の子犬だった時、世話をするのに困った飼い主によって保健所に持ち込まれ、センターへ送られてきたのです。しかし、職員の保坂繁さんと宮越智也所長が相談し、ウルフの命は救われました。
 保坂さんは約35年間、この施設で働いてきました。犬が大好きなのに、そんな仕事をしなければならない保坂さんたち職員の悩みやつらさが、この本からよくわかります。そして、飼い主の責任について考えさせられます。
 国会では動物愛護法が改正されました。動物を虐待したり、捨てたりすると50万円以下の罰金です。
 センターがしつけ方教室を開いたり、子犬やしつけをし直した成犬を新しい飼い主に渡したりしているのは、捨てられる犬を少しでも減らし、その命を救いたいからです。池田さんは本の中でこう訴えています。
「なにより大切なことは、最期まで、パートナーとして、また家族の一員としてめんどうをみるということです。もし、そのような自信がないなら、飼ってはいけないし、飼い主はなれないということなのです」

(秋田さきがけ2005年6月19日)

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