1 柴犬ジローの生涯、児童向けの本に「帰ってきたジローもうひとつの旅」(ハート出版ニュース)

朝日新聞兵庫版 2005.09.10

柴犬ジローの生涯、児童向けの本に

 飼い犬が預け先の大津市の家から約70キロ離れた西宮市の飼い主宅まで戻ってきたという実話が、児童向けの本になった。ノンフィクション作家の綾野まさるさん(60)の「帰ってきたジロー・もうひとつの旅」=写真。飼い主と再会するまで2年かかった「奇跡の旅」や、今年3月にジローが亡くなるまでの家族との交流が描かれている。
 柴犬(しば・いぬ)のジローは西宮市の武内弘子さん(63)宅で飼われていた。87年春、4歳の時に武内さんが大津市の実家に預けたところ、直後に家出し、2年後に帰ってきた。ジローの旅は89年6月17日付の朝日新聞夕刊に「ワンちゃん、70キロ里帰り」の見出しで掲載された。  記事を読んだ綾野さんが童話にしようと考え、「帰ってきたジロー」として89年12月に出版。18刷を重ねるロングセラーになっている。
 綾野さんは今年3月、出版社を通じてジローが亡くなったと知った。21歳11カ月で、人間でいえば100歳前後だった。
 ジローは家族に見守られながら年を重ね、亡くなる半年前から深夜にほえたり徘徊したりするなど認知症(痴呆症)の症状が出て、体重も徐々に減っていった。武内さんは今も毎日、ジローの姿を思い出し、「悲しくて寂しいけれど、いい思い出をたくさん残してくれた」と話す。

 武内さんを取材した綾野さんは、医療の高度化でペットの世界も高齢化していると感じた。家族の一員として年老いたペットの介護を続け、最期をみとった武内さん一家の話を聞いて、ジローの生涯を改めて本にしたくなったという。

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