十日町市上川町の西方真さん(36)が飼っていた災害救助犬「トマト」の生涯が、このほど一冊の本にまとめられ、4月末にも全国発売される。トマトは9歳のメスのシェパードで、西方さんが隊長を務める「災害救助犬十日町」のエース犬として活躍したが、一昨年の中越地震の影響で死んだ。本は「出動!災害救助犬トマト−新潟の人々とペットを救った名犬物語」と題して出版される。
亡くなったトマトは、災害出動回数延べ百回と、日本一を誇った名犬。出動回数は1年に20回を超えることもあった。
西方さんがトマトの引退を考えていた矢先の一昨年11月、中越地震から約1カ月後の朝、地震による環境の変化が原因のストレス性胃捻転で急死した。
地震当時、西方さんはペットの負担をなくし、被災者を少しでも早く復興に向かわせたいと、経営するペット店隣りに「動物保護センター」をいち早く立ち上げ、延べ1300匹もの犬猫の世話に没頭した。ペットがいるために避難所に入れず、車中泊を余儀なくされていた市民も多かった。
このため店の約50頭の世話がどうしても後回しになった。トマトも毎日1時間はしていた訓練や運動が思うようにできなくなって、ストレスがたまったらしい。西方さんは「ご飯とおしっこ以外は専用ゲージに入れていた。保護センターの開設は犬を助けるため。トマトはそれを分かって我慢してくれていた。最後まで救助犬として死んだ」と振り返る。
著者の池田まき子さんは「災害救助犬の実態を広く知ってもらうとともに、トマトと周囲の人たちのふれあいを描くことで、人間と動物の絆、人間と動物が一緒に暮らすことの意味、人間と動物が共に生きて行く社会のあり方などについて考えるきっかけになればという願いを込めた」とメッセージを寄せている。
十日町タイムス2006年4月28日
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