「トマト」という名のメスのシェパードが土砂崩れなど災害発生時活躍する十日町市の災害救助犬十日町(西方真代表、救助犬5頭、隊員20人)にかつていた。災害救助犬のエースで年間20から30件も出動、山菜取りに出かけ行方不明となったお年寄りを20分で発見したこともある。日本一の災害救助犬と呼ばれたが、一昨年の中越地震による環境変化のストレスで腸捻転を引き起こし、9歳で死んだ。救助犬の引退を考えていた矢先だった。そんなトマトの生涯を描いた一冊の本、「出動!災害救助犬トマト」(池田まき子著、ハート出版)が5月初旬に販売される。
トマトを災害救助犬として訓練した西方さん(35)は同市内の犬・猫専門店DTSケンネルの代表。現在も警察や消防の依頼を受け、ボランティアで県内各地に救助犬を派遣。12日に発生した同市六箇の県道土砂崩れにも出動した。だが、トマト以上の救助犬はまだ育っていない。「被災者の家族がトマトに『見つけて下さい、お願いします』と涙を流しながら土下座して頼み込むほど、信頼を得ていた救助犬だった。その光景が忘れられない」と西方さんは当時を思い返す。
現在の目標はトマトを超える救助犬を育てることという。西方さんは「多くの人命を救うには、トマト以上の救助犬が必要。あいつは私が超えなきゃいけない壁のひとつですね」と笑う。書籍は全国の書店で購入できる。また同市内の全小学校に本の寄贈を行う予定だ。
津南新聞2006年4月28日
|