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■ ハート出版 精神世界の本 ■


シルバーバーチの
スピリチュアルな生き方Q&A


崇高な存在との対話


スタン・バラード ロジャー・グリーン共著 近藤千雄訳 2002.03.23 発行  

ISBN 4-89295-496-9 C0011 四六並製・240頁・定価 1430円(本体 1300円)

The Silver Birch Book of Questions & Answers,Compiled by Stan Ballard & Roger Green, Spiritual Truth Press, London, England(1998)

 

まえがき

シルバーバーチのスピリチュアルな生き方Q&A…スタン・バラード ロジャー・グリーン共著 近藤千雄訳(ハート出版)崇高な存在との対話。スピリチュアルカウンセラー江原啓之おすすめの本。「シルバーバーチの霊訓は私の人生を変えた。この本はまさに私自身のスピリチュアルブックだ」

 本書を手にされたいきさつは人それぞれに異なるであろう。第一に考えられるのは、古くからのシルバーバーチの愛読者で、その崇高な叡智と人生への霊的洞察から多くを学んでいるので、何の躊躇もなく手にされたというケースである。また、シルバーバーチのメッセージを地上のみならず死後の人生の指針としている人から贈られたという方もいるであろう。
 本書はそういう方を決して裏切らないであろうことを断言しておきたい。もしかしたら書店でふと目にとまったからという方、あるいは新聞広告を見て興味を覚えて買ってきたという方もいることであろう。言わば偶然の為せるわざであるが、お読みになれば決して偶然ではなく、何らかの形で霊的な導きがあったのだという理解が行くことであろう。
 ともあれ、シルバーバーチの訓えの素晴らしさを今ここで筆者の拙い筆であらためて宣伝しようとは思わない。それよりも、本書の二人の編纂者の労をねぎらいたい心境である。すでに発刊された(そして廃刊となった)数多くの霊言集の中から珠玉のQ&Aを抜き出して一冊にまとめるというアイディアそのものに敬意を表したい。
 こういう形で読むとシルバーバーチが一段と身近に感じられ、その意味の深さを改めて認識することになるであろう。

霊的真理普及財団・会長 ロイ・ステマン



 

編者まえがき


 人生のスピリチュアルな面とサイキックな面に関心を向けながら求道の旅を続けている人々のために、遭遇する疑問への回答を与えてくれる一冊の書を用意してあげたい――これが本書を編纂した理由である。
 実は数年前にわれわれが「勉強会」を始めた時、何か手ごろなテキストはないものかと話し合ったことがある。スピリチュアリズムの枠内でも起こりうる誤解や勝手な解釈を一掃したもの、というのが第一の条件であったが、そうなると“シルバーバーチ”の名で知られている、あの高級霊が遺してくれた宇宙哲学と生きる叡智以外には有り得ないのではないかという結論に達した。
 本書に盛られた質問には実質的には1920年から始まった交霊会で何度も出されているものがある。が、シルバーバーチはそのつど内容を深めたり敷衍したりして答えているので、本書でも重複をいとわずに掲載した。
 霊言集の出版が終わった今、こうした形でシルバーバーチの霊言を世に出すということは、真理普及にあらためて貢献することになる。この一冊によってたった一人の求道者が光を見出すことになれば、われわれの努力も無駄ではなかったことになる。


スタン・バラード
ロジャー・グリーン


 

シルバーバーチとは何者か


 本書を手にして「まえがき」と「編者まえがき」に目を通した時、シルバーバーチの霊言集がほとんど廃刊となった今でも、英国において「霊的真理普及財団」や「勉強会」という形で脈々と生き続けていることを知ってうれしかった。
 人間界は形而上的にも形而下的にも「なぜ?」と問い掛けたくなるものに溢れている。例えば「地動説」という厳然たる事実が常識となるまでに何百年も掛かったが、一体なぜ地球は太陽の周りを回転するのかは、いまだに謎である。まっすぐに進もうとする地球を太陽が引っ張るから、というのは単なる原理的解説であって、ではなぜ地球はまっすぐに進もうとするのかは、天文学でもいまだに謎である。
 こうした「なぜ?」と問い掛けたくなることは人生には幾らでもある。本書はそのいくつかに納得のいく回答を与えてくれる、掛け替えのない叡智の泉であるが、シルバーバーチと名乗る霊は一体いかなる存在なのであろうか。本書によって初めてシルバーバーチを知ったという方のために、おおよそのところを紹介しておきたい。
 シルバーバーチというのは霊媒のモーリス・バーバネルの口を使って、1920年から60年間にわたって霊的教訓を語り続けてきた古代霊の仮の名で、紀元前3000年頃、つまりイエス・キリストより1000年も前に地上で生活したということ以外、地上時代の国籍も姓名も地位も不明のままで終わった。せめて姓名だけでも教えてくれるよう何度かお願いしたが、そのつど

 「それを知ってどうしようというのですか。人間は名前や肩書きにこだわるからいけないのです。もしも私が歴史上有名な人物だと分かったら、私がこれまで述べてきたことに一段と箔がつくを思われるのでしょうが、それは非常にタチの悪い錯覚です。前世で私が王様であろうと召使いであろうと、大富豪であろうと奴隷であろうと、そんなことはどうでもよろしい。私の述べていることが成るほどと納得がいったら真理として信じてください。そんなバカな、と思われたら、どうぞ拒否してください。それでいいのです」

 と答えるのが常で、そのうち出席者も聞かなくなってしまった。ただ一つだけはっきりしていることは、霊視能力者が描いた肖像画は北米インディアンの姿をしていても、実はそのインディアンがシルバーバーチその人ではないということである。インディアンは言わば霊界の霊媒であって、実際にメッセージを送っているのは高級神霊界の存在で、直接地上の人間に働きかけるには波長が高すぎるので、その中継役としてインディアンを使っていたのである。
 近代の科学的霊魂学とも言うべきスピリチュアリズムによって、死後も今と同じ意識をもって生き続けることが明らかとなった。これを「個性の死後存続」と呼び、これは「地動説」と同じく科学的事実として、好むと好まざるとに拘わらず万人が認めざるを得ないものである。その詳しい解説は第4章にゆずることにして、シルバーバーチが繰り返し説いている特徴的な教訓の一つは、仏教で「生・老・病・死」を不幸として捉えているのとは対照的に、そうしたものを体験するところに地上生活の意義があり、いわば魂の肥やしとして前向きに捉えることが死後の向上につながると説いていることである。
 第6章を「生・老・病・死・苦―地上人生の意義―」という見出しにしたのは、これがシルバーバーチの教えの圧巻だからである。そこには在来のすべての宗教に見られる「現世利益」的な気休めの説教はカケラもない。「事実なのですから、そう述べるしかありません。もしも私が地上生活をラクに生きる方法があるかに説いたら、それは私が高級神霊界からあずかった使命に背いたことになります」とまで述べているのである。
 シルバーバーチの教説はその意味で「大人の人生指導原理」と言えるかもしれない。気休めの有り難い話を好まれる方には厳し過ぎるかもしれない。が、現実界を見れば、気休めやご利益信仰など吹っ飛んでしまうような事象が毎日のように起きている。今後ともそれは変わることはないであろう。
 本書によって生きる勇気を与えられることを願っている。


近藤千雄


 

目 次


まえがき(ロイ・ステマン)


編者まえがき(スタン・バラード/ロジャー・グリーン)


シルバーバーチとは何者か(訳者) 

 

 


第1章  祈り


・祈るということは大切でしょうか?

・祈りは主観的なもので、客観的な結果は生み出さないとおっしゃるのでしょうか?

・他人のために祈ることにも何か効用がありますか?

・遠隔治療に携わる治療家による祈りにも実質的な効果があるのでしょうか?

・他に援助が得られない時、祈りを通じて霊界からの援助を要請してもよいものでしょうか?

・祈りに何の回答もないように思えることがありますが、そんな時、霊的にはどうなっているのでしょうか。

・教会で毎日のように唱えられている祈りに効用があるのでしょうか?

・例えば幼な子が飲んだくれの親に更正してもらいたいと思って祈る祈りに効用はあるでしょうか?

・祈りは霊界の誰かが聞き届けてくれるのでしょうか、それとも、その祈りと調和するバイブレーションに反応するパワーを人間の方で想定する必要があるのでしょうか?

・あらゆることが変えようにも変えられない法則によって支配されている以上は、大霊に祈っても何にもならないのではないでしょうか? 祈りとは大霊に法則を変更してくれるように頼むことではないかと思うのです。

・なぜ人間は神に罪の赦しを乞うのでしょうか? 摂理を犯せば自動的に罰が下るのではないでしょうか?

・時おり、こちらから祈り求めないうちから霊界からの援助をいただくことがありますが、われわれの必要性をどうやって知るのでしょうか?

・大霊に直接語りかけることが出来ますか?

・悲しみのどん底にありながら祈るということをしない人がいますが、どうなのでしょう? 神の存在を信じない以上,救いようがないのでしょうか?

・霊側では人間側が祈るまで待っているのでしょうか、それとも人間側が要求するしないに関わらず聞き届けたり無視したりするのでしょうか?

・宗教集団で行なう日課の祈祷は霊界に何か影響を及ぼすのでしょうか?

・スピリチュアリストの集会の中には祈りの日を設けているところがありますが・・・

・祈れば聞き届けてもらえるのでしょうか?

・祈りの機能は何でしょうか?

・霊界側は祈りをどう見ているのでしょうか?

・公式の祈りの日にどういう意義があるのでしょうか?

 

 

 

第2章 啓示と宗教


・霊媒というのは生まれながらのものなのでしょうか、それとも養成することも可能なのでしょうか?

・霊が支配するためには霊媒は深いトランス状態に入る必要があるのでしょうか?

・霊媒現象およびスピリチュアリズム全体の普及のために我々は何をすべきかについて助言をいただけませんか?

・トランスを伴う現象は健康に影響があるでしょうか?

・心に念じたことは必ず霊に通じるものでしょうか?

・以前に比べて霊界から通信を届けるのが容易になって来ているのでしょうか?

・ホームサークル(交霊会・実験会)にはドアキーパー(玄関番・門衛)がいるそうですが、どういう役目をしているのでしょうか?

・スピリチュアリズム勃興以前にも霊的な啓示があったのでしょうか?

・私はドグマや組織宗教にはすっかり落胆していますが、教会には存在価値を認めるのですが・・・

・あなたのおっしゃる“宗教的寛容”を明確に説いていただけませんか? 宇宙が絶対的な自然法則によって支配されているとか、その法則は完璧で永遠不滅であるといった教えは、ある意味ではドグマ的で寛容性に欠けていると言えないでしょうか?

・あなたの教えは一般の人々を対象にしておられるのでしょうか? もしそうであれば、初期のキリスト教が説いたような単純なもの、例えば贖(あがな)いの教義を説いた方がよろしいのではないでしょうか? 高級霊による霊界通信よりもその方が現代人には役に立つのではないでしょうか?

・スピリチュアリズムと伝統的宗教との融合が望ましいのでしょうか?

 

 

 

第3章 ナザレのイエスとキリスト教

 

・聖書(バイブル)には真実が語られているのでしょうか?

・「聖霊に対する罪」というのはどういう罪でしょうか?

・聖霊とは何なのでしょう?

・聞くところによると、キリスト教のどの教派においても、洗礼を受けることによって死後その教派の霊団に迎えられて新しい環境に順応するように世話をしてもらえるのだそうですが、それが事実だとすると、洗礼を受けていない者はどうなるのでしょう?

・キリスト教は多くの立派な人間を生み出したのではないでしょうか?

・イエスの教えに従ったからこそ立派になったのではないでしょうか?

・クリスチャンの中には教義にあまりこだわらず、それでいて我欲のない立派な生涯を送った人物が幾らもいましたね?

・イエスは教会が言っているように「神の唯一の子」だったのでしょうか、それとも普通の人間の子で、偉大な霊的能力をそなえていたのでしょうか?

・イエスは今どこにいて、何をなさっているのでしょうか?

・あなたがイエスについて語る時、それは人間イエスのことですか、それともイエスを通して働きかけた霊的勢力の総合ですか?

・霊界では、イエスのような人物を地上へ送ってさらに啓示を届ける計画があるのでしょうか?

・伝統的宗教を扱うに際しては寛大な態度で臨むべきでしょうか、厳しい態度で臨むべきでしょうか?

・スピリチュアリズムを受け入れれば伝統的宗教は捨て去るべきでしょうか?

・宗教の指導的立場にいる者が霊的真理に目覚めた時は、旧式の概念は捨て去るべきでしょうか?

・スピリチュアリズムはいずれ普遍的な宗教となるのでしょうか?

・教会やチャペル、シナゴーグなどは存在価値があると思われますか?

 

 


第4章 死後の世界


・死後の世界はどこにあるのでしょう?

・死んだあと、生前のアイデンティティはどうなるのでしょうか? 例えば二、三十年前に他界した妻を夫が確認できるのでしょうか? 向上が著しくて近づくことが出来ないということも有り得るのでしょうか?

・死に方というものが霊界へ行ってから影響するでしょうか? 自然な死に方のほうが霊界に溶け込みやすいのでしょうか?

・唯物主義者をもって任じている人は死後どうなるのでしょうか?

・例えばH.G.ウェルズ のようにスピリチュアリズムを否定し生涯にわたって合理主義者で通した知性派の人間が他界して死後にも生活があることを知った時は、どういう反応をするでしょうか?

・間違った信仰をたずさえて霊界入りする者が多いとおっしゃいますが、ヨハネ福音書では、信ずる者こそ救われると説かれています。

・死んで行く者の多くが死後の存続の事実を知らず、目まいのような状態にあるそうですが、それは子供にも言えることでしょうか?

・死後どれくらいたって地上界へ意思を伝えることが出来るようになるのでしょうか?

・魂は幾つもの側面があり、そのうちの一つが地上に誕生できるとおっしゃっていますが、他の側面はどこか別の階層で進化しているのでしょうか?

・類魂というのは家族のことでしょうか、霊的発達程度の同じ者の集まりでしょうか、趣味・性向の似た者どうしでしょうか、それとも何かもっと別のものでしょうか?

・地上で魂の琴線にふれる体験をしなかった者は、そちらへ行ってどういうことになりますか?

・導きにも一般的な摂理・法則があるのでしょうか、それともそれを届ける特殊な施設があるのでしょうか? 祈りや瞑想にも効用があるのでしょうか?

 

 


第5章 再生=生まれ変わり

 

・意識がいくつかに分かれて働くということは有り得ることでしょうか?

・それぞれに独立しているのでしょうか?

・二つの部分的意識(ダイヤモンドの一側面・分霊)が地上で会っていながらそうと気づかないことがあるでしょうか?

・分霊どうしで連絡し合うことが出来ますか?

・二つの分霊が同時に地上に誕生することがありますか?

・個々の分霊の地上への誕生は一回きり、つまり自我の本体としては再生はあっても、分霊としては再生はないと考えてよいでしょうか?

・分霊の一つひとつを本霊の徳性の表現とみてよろしいでしょうか?

・本霊に戻ったときに分霊は個性を失ってしまうのではないかと思われるのですが・・・
・再生の決定的な証拠をなぜそちら側から提供してくれないのでしょうか?

・そろそろ再生するということが自分で分かるのでしょうか?

・無意識の状態で再生するのでしょうか?

・再生をくり返せば互いに別れわかれの連続ということになりませんか? これでは天上の幸せの観念と一致しないように思うのですが・・・

・これまで何回も地上生活を体験していることが事実だとすると、もう少しはマシな人間であっても良いと思うのですが・・・

・再生する時は前世と同じ国に生れるのでしょうか? 例えばインディアンはインディアンに、イギリス人はイギリス人にという具合に・・・

・男性か女性かの選択も同じですか?

・死後、霊界で地上生活の償いをさせられますが、さらに地上に再生してからまた同じ罪の償いをさせられるというのは本当でしょうか? 神は同じ罪に対して二度も罰を与えるのでしょうか?

・自分は地上生活を何回経験しているということを明確に認識している霊がいますか?

・再生問題は異論が多いから、それは避けて死後の存続ということだけに関心の的をしぼる方がいいという考えはいかがでしょう?

 

 


第6章 生・老・病・死・苦  ――地上人生の意義――


・人間(ヒト)として地上に誕生してくるのは進化のどの段階でしょうか?

・胎児のどの段階で霊が入るのでしょうか?

・次から次へと霊が地上へ誕生しています。一方、地上では人口増加が問題となっています。霊を生産すれば人口は増えるに決まっていますが、霊は一体どこからやって来るのでしょうか?

・スピリチュアリズムを占星術と同類とみている人がいます。その人たちは人生の出来事が星によって宿命づけられ操られていると考えています。

・死ねばおしまいと思って他界して行った者はどうなるのでしょう?

・そもそも地上生活の目的とは何でしょうか?

・永遠の時の観念からすると地上生活はあまりにも短く、どれほどの意義があるのかと言いたくなりますが・・・

・戦争、痛み、精神的ならびに肉体的苦しみ、病気、悲しみ、愛、憎しみ、喜び、幸せといった地上的体験は、人類の発達と進歩にとって欠かせない神の計画の一部なのでしょうか?

・地球上の自然災害は神の計画の範囲内で起きているのでしょうか?

・本当の自由とはどういうことでしょうか?

・自由意志とカルマはどう関係づけたらよいのでしょうか?

・航空機事故は犠牲者のカルマ的負債を償却するために目論(もくろ)まれるのでしょうか? もしそうだとすると、予言や虫の知らせがあるのはなぜでしょうか? それによって人生が180度変わってしまいます。

・人間の一人一人に守護霊がついているというのは本当でしょうか?

・誰が守護霊を任命するのでしょうか?

・災害から救われるケースと救われないケースとがありますが、守護霊との関係はどうなっているのでしょうか?

・愛する伴侶を失って、失望のあまり自殺する人がいますが、許されることでしょうか?

・自殺はすべて許されないのでしょうか?

・自殺が霊的進化の大きなつまずきであることは間違いないでしょう?

・死刑制度をどう見られますか?

・人間の誕生は自然法則によって支配されているとおっしゃっていますが、そうなると産児制限はその自然法則に干渉することになり、間違っていることになるのでしょうか?

・妊娠中絶はいけないとおっしゃっていますが、どの段階からいけないことになるのでしょうか?

 

 

 

第7章 霊的治療<スピリチュアル・ヒーリング)
          ――その原理と目的と問題点――

 

・ヒーラ―になるということはどういうことでしょうか?

・病気になりやすい生活環境にいる患者の場合、体調を崩すたびに治療を施してあげるべきなのでしょうか?

・求められれば同じ病気を何度でも治療してあげるべきだということでしょうか?

・心霊手術によって治療できるようになるためには、ヒーラ―は新たにどのような勉強が必要でしょうか?  

・霊的な外科手術は治療法として問題ないのでしょうか?

・心霊手術がブラジルやフィリピンで行なわれて英国では見られないのはなぜでしょうか?

・現在の英国でもそういう手術に興味を持ちながら要望が叶えられずにいる人が大勢います。やはり気候が大きな要素なのでしょうか?

・私はたった今ガン患者を治療してきたのですが、痛みが出始めました。納得が行かないのですが・・・

・霊界の医師にはガンの治療法は分かっているのでしょうか?

・癲癇(てんかん)になる原因は何でしょうか? また治るのでしょうか?

・幼い子供が激痛を伴った不治の病に苦しんでいる場合、何に原因があるのでしょうか? また、公正といえるでしょうか?

・治らない患者は治る資格がまだ出来ていないからだとおっしゃいましたが、それでは単純すぎるように思えるのです。それでは悪人はいつまでたっても治らず、善人はいつでも治るということになるからです。

・カルマとの関係はどうでしょうか?

・その治癒エネルギーをそちらで準備する、つまり一人一人の患者の特殊な条件に合わせて調合する方法を教えていただけませんか?

・それには霊界の担当医の精神的 mentalな努力を要するのでしょうか?

・その治癒エネルギーの通路としてヒーラーの肉体または霊体はどの程度まで使用されるのでしょうか? 遠隔治療の場合とは違うことを念頭においての質問ですが・・・

・自分のために誰かが遠隔治療を要請してくれていることを患者自身が知らない場合はどうなりますか?

・ヒーラーが病状を察して一方的に遠隔で治療を施してあげる場合はどうなりますか?

・霊的治療を受ける上で信仰のあるなしは関係ないと理解しておりますが、患者が邪悪な思念を抱いていると、それが治療を妨げると考えてよろしいでしょうか?

・ヒーラー自身が病気になった場合は他のヒーラーにお願いすべきでしょうか、それとも自分で治す方法があるのでしょうか?

・サークル活動(勉強会・霊能養成会など)に参加できるヒーラーは能力を発達させる上で有利ですが、そういう機会に恵まれていない人のために何かアドバイスをいただけないでしょうか? それに、交霊会に出席することはヒーラーにとって不可欠でしょうか?

・治療に携わる時はヒーラーは完璧な健康状態であるべきでしょうか?

・医者は大病にもストレスや仕事上の心痛が原因であるものがあると言います。そうしたケースでは(身体と精神と霊の)不調和はどの程度まで関わっているのでしょうか?

・ホンの数分で治してしまうヒーラーもいれば、長時間かけても一向に変化が見られないヒーラーもいます。どうなっているのでしょうか?

・幼児の両脚が奇形である場合に、片方は治ったのにもう一方は何の反応も見せないことがあります。なぜでしょうか?

・精神に異状のある方は本当に気の毒でならないのですが、ヒーラーとして無力であることを痛感させられます。

・心臓移植の問題ですが、霊的視点からどう見ておられますか?

・現段階では心臓移植はかならず失敗すると考えてよろしいでしょうか?

 

 


第8章 動物と人間との係わり合い 

 

・霊的に正しければ物的な面もおのずから正されるとおっしゃっていますが、痛みつけられ、大量に殺戮され、酷使されれるために生まれてきているとしか思えない動物には、それは当てはまらないように思います。動物は何も悪いことはしていないのではないでしょうか?

・人間が動物に対して間違いを犯せば、その天罰は動物ではなく人間の頭上に降りかかるべきだと思うのですが・・・

・人類はこれからもずっと動物に残酷な扱いを続けるのではないかと思うのですが・・・
・残酷なことをしたらその結果がすぐに出るといいのですが・・・ どうも人類はうまく罪を免れているように思えてなりません。

・地上の動物が気高い情や知性といった人間的資質を発達させた場合でも、死後はやはり動物のままなのでしょうか、それとも、そのうち人間界へと進化していくのでしょうか?
・動物も人間と同じ進化の道程をたどるのでしょうか?

・動物界にも高等・下等の差別があるのでしょうか?

・動物の中には同族の他の者たちより抜きん出て発達していて、人類と同じ資質を発揮している者がいるように見受けられますが・・・

・動物に投与している抗生物質などの薬品類が巡りめぐって人間の体内へ入ってきている事実をどう思われますか?

・自分たちの使命を維持するために人間は植物の生命を奪い、動物の卵や乳を横取りし、さらに酷いこととして、動物を殺して食べざるを得ません。こうした強盗にも似た生き方はあなたがよく協調なさっている理性を反発させずにおかないのですが、これを「愛の造物主」の観念とどう結びつけたらよいのでしょうか?

・地上界で恐ろしい動物虐待が行なわれているのを見ていながら、なぜ霊界から阻止してくれないのでしょうか?

・生体解剖は許されることでしょうか、間違ったことでしょうか?人類に何らかの益をもたらすでしょうか?

・人類は、生体解剖という手段では救えないということを悟る一歩手前まで来ているでしょうか?

 

 


第9章 さまざまな問題


・もしも放送番組でスピリチュアリズムについて語るとしたら、どのように説明されますが?

・幽界を脱して霊界へ赴いた霊が地上界と通信をする時は幽界まで降りてくるのでしょうか?

・霊は睡眠中の私たちの意識にきちんと印象づけられたかどうかが分かるものでしょうか?

・霊的通信の中でも自動書記による通信がいちばん頼りにならないように思えるのですが、なぜでしょうか?

・もしも善人が死後存続の真理を聞かされていながら信じなかった場合、そちらへいって何か報いがあるのでしょうか?

・霊的真理を知った者はこの現代社会をどう生きていくべきでしょうか?

・霊の立場から見て、死体は火葬が良いと思われますか?

・夢はどう理解したら良いのでしょう? 中には霊界旅行の記憶とは言えないものがあるように思えますが・・・

・睡眠中は霊体が肉体から脱け出て、肉体は言わば空家になるわけですが、その肉体に地縛霊が入り込んだり憑依したりしないのはなぜですか? 背後霊の誰かが“当番”で警護にあたるのでしょうか?

・人類は自然界の恵みを破壊し、もはや取り返しのつかない物がたくさんあることはお認めになると思いますが、地下資源も同じで、地球という人類の住処(すみか)も心細くなって来ました。

・地上生活を何度か体験したあと人間は究極的にどうなるのでしょうか?

・あなたは霊側として余計な手出しができず人間の判断に任せるしかないことがあるとおっしゃったことがあります。つまり自由意志による選択に任せるということですが、それが機械の中にスパナを投げ入れる(予定の計画をぶち壊しにする)ことになったらどうなりますか?

・地上界にはさまざまな思想・信仰がありますが、どう対処すべきでしょうか? スピリチュアリズムに批判的な者は自分たちの信仰を押しつけてきますが、寛容的な態度で臨むべきでしょうか、それとも徹底的に排除して“我が道”を行くべきでしょうか? 私自身の考えとしては、キリスト教の活動に関しては寛容的であるべきですが、思想・信仰に関してはスピリチュアリズム的なものをこちらから押しつけて行くべきだと思うのです。信仰薄き者に取ってスピリチュアリズムは宗教心を植えつける上で格好のものだと考えます。

・物欲や権勢欲は死後の世界でも存在するのでしょうか?

・霊媒の口を借りてしゃべる時、その身体の中に入るのでしょうか?

・霊媒の発声器官を利用することもあるのでしょうか?

・霊媒の霊的身体も入れ替わっているのでしょうか?

・古い屋敷で修道士が歩き回る足音のような、意味もなく繰り返される機械的な現象は何が原因でしょうか?

・催眠状態での退行現象は過去世の証拠でしょうか、それとも憑依現象でしょうか?

・神童と呼ばれる子供について説明願えませんか?

・蚊によって伝染するマラリアや眠り病などを予防するために殺虫剤をスプレーするのは間違っているでしょうか?

・直観とは何でしょうか?

・進化の極致においてに神と合一した時われわれは個性を失ってしまうのでしょうか?

・その極致を言語で説明することは出来ませんか?

・地上で孤独な人生を強いられた人は死後も孤独な人生を送ることになるのでしょうか?
・死後低級界へ赴く者はどんな状態に置かれるのでしょうか? 睡眠中に訪れた階層――多分低級界だと思うのですが――そこでの体験が役に立つのでしょうか?

・物質化現象は心霊現象としては高級でしょうか低級でしょうか?

・心霊現象は霊媒が霊的に向上するに従って質が良くなるのでしょうか?

・現代になって物理現象が見られなくなったのはなぜでしょうか?

・花や植物にも意識があるのでしょうか?

・「精神一到何事かならざらん」の気概で望めば何でも叶えられますか?

・道徳・不道徳は何を規準に判断すべきでしょうか?

・核エネルギーは善でしょうか悪でしょいうか?

・すべての道は神に通じる、つまり同じ場所に行き着くのでしょうか?

・霊界にもプライバシーはあるのでしょうか?

・霊界側がスピリチュアリズムを広めようとしておられるのであれば、なぜマスコミなどを通じて宣伝活動をなさらないのでしょうか?

・予知夢は霊界から「送り届けられる」のでしょうか?

・有色人種と白人との結婚は好ましくないことでしょうか?

・宗教とは何でしょうか?

・青少年の宗教教育はどうあるべきでしょうか?

・もう一度やり直すチャンスは誰にでも与えられるのでしょうか?

・こうした交霊会を開くに当たっては前もって準備をなさることがあるのでしょうか

・交霊会を台無しにしようとして侵入する邪霊を排除する手段も講じるのでしょうか?

・霊的知識の程度は受け入れ能力によって決まるそうですが、そうなると、霊的に受け入れ準備のできていない人間には霊媒を通して「証拠」を提供するのが賢明ということになるのでしょうか?

・霊の僕(しもべ)として働く者は安楽な生活を期待してはならないというのは事実でしょうか?

・スピリチュアリズムの第一線で活躍している人がとかく世俗的なことで挫折することが多いのはなぜでしょうか?

・世間から隔絶し孤独の中で瞑想にふける隠遁者によって、何か良いものが成就されるものでしょうか?

・心霊的(サイキック)と霊的(スピリチュアル)とを使い分けておられますが、どう違うのでしょうか? 同じものでしょうか?

・霊界でも過ちを犯すことがあるのでしょうか?

・霊界が地上界の写しのようなものだとすると、スラムや酷(ひど)い労働環境のような醜(みにく)い側面も再現されているのでしょうか?

・昨今のスピリチュアリズムの動向をどう見ておられますか?

・スピリチュアリズムは組織的信仰としてよりも、これまでと同じように影響力として伸びて行く方が良いのでしょうか?

・霊界は一つでしょうか?

・死後の世界についての通信がまちまちなのはなぜでしょうか?

・「時間」は人工的なものでしょうか?

・こちらから送る思念はすべて他界した霊に伝わっているのでしょうか?

・動物の肉を食べたことで、他界してから罰せられるでしょうか?

・人類のすべてが肉食を止めて菜食にすれば、より幸せな世の中になるでしょうか?

 

 

 

第10章 神=大霊とは?

 

・神とは何でしょうか?

・大霊はいずこにも存在する――私たち人間のすべてにも宿っている、とおっしゃるのでしょうか?

・大霊とは誰なのでしょうか、あるいは何なのでしょうか? 愛の精神ないしは愛の情感でしょうか?

・人類の歴史を通じて大霊が、個としての霊を通してではなく直接語りかけたことがありますか?   

・大霊を幼い子供にどう説いて聞かせたらよいでしょうか?

・あなたは大霊はすべてのものに宿る――全存在の根源であるから愛にも憎しみにも叡智にも不道徳にも宿っているとおっしゃいます。そうなると、過ちを犯す人間も正しいことをする人間と同じように大霊の摂理の中で行なっていることになります。愛と平和を説く者と同様に憎悪と戦争を説く者も摂理の中で行動していることになります。すべてが大霊の摂理の一部である以上、その摂理に違反する者はいないことになってしまいますが、この矛盾をどう説明されますか?

・大霊は地震にも責任を負うのでしょうか?

・大霊も進化しているということでしょうか?

・大霊は自分が創造した宇宙とは別個の存在なのでしょうか?

・霊が意識をそなえた個的存在となるためには物質の世界との接触が必要なのでしょうか?

・大霊はわれわれ人間を通して体験を得ているということでしょうか?

・大霊は原初においては善ではなかったということになるのでしょうか?

 

 

 

第11章 大自然の摂理

 

・宇宙の全生命を統率している摂理について説明していただけませんか?

・悪人が健康で仕事もうまく行き、善人が苦しい思いをしていることがよくあるのはなぜでしょうか?  

・人生の教訓が愛と哀れみを身につけることであるのなら、なぜ大自然は肉食動物という、むごい生き物を用意したのでしょうか?

・摂理の働き方は地上界も霊界も同じなのでしょうか?

・地上での行為には地上生活中に因果律が働くのでしょうか?

・若い時に犯した罪の償いを死んで霊界へ行ってからさせられるということがあるのでしょうか。地上にいる間に償いをさせられることもあるのでしょうか?

 

 

 

第12章 霊性の進化

 

・本人の罪でもなく親の罪でもないのに、子供が手足や目の障害を抱えて生まれてくるのはなぜでしょうか?

・精神に異常があれば責任は取れません。(あなたがおっしゃるように)霊界では地上で培った性格と試練への対処の仕方によって裁かれるとなると、そういう人が霊界へ行った場合、どのような扱いになるのでしょうか。

・脳の障害のために地上生活の体験から何も学ぶことが出来なかった場合、霊界ではどういう境涯に置かれるのでしょうか?

・われわれは地上でのさまざまな試練によって身につけた人間性を携えて霊界へ行くわけですが、精神異常者の場合はどうなるのでしょうか? やはりそのままの人間性で裁かれるのでしょうか?

・地上では精神的にも道徳的にも衛生的にも不潔きわまるスラムのような環境に生まれついて、辛い、そして面白くない生活を送らねばならない者がいる一方には、美しい物に囲まれ、楽しい人生が約束された環境で育つ者もいます。こうした不公平にはどのような配慮がなされるのでしょうか?

・悪い人間がいい思いをしていることがありますが、なぜでしょうか?

・罪悪や飢餓、その他、低俗なものばかりがはびこる環境よりも良い環境の方が、立派な動機を生みやすいのではないでしょうか?

・霊性は物的生命と同時進行で進化してきたのでしょうか?

・我々は死後も努力次第で向上進化するのであれば、罪深い動機から転落することもあるのでしょうか?

・個霊は死後さまざまな階層をへて、最後は大霊と融合し、そのあと物質その他の成分となって宇宙にばらまかれるのでしょうか?

・個霊が進化して行くうちに類魂の中に融合しきって、個々のアイデンティティを失ってしまうのは事実ではないでしょうか?

・ペットは死後もそのまま存続しているそうですが、普通の動物でも存続しているのをご覧になることがありますか?

・動物も個性をたずさえて死後に存続するのでしょうか?

・ばい菌のような原始的生命はなぜ存在するのでしょうか? また、それが発生し消毒されるということは、宇宙が愛によって支配されていることと矛盾しませんか?

・地上的生命の創造と進化が弱肉強食という血染めの行程をたどったという事実のどこに、善性と愛という神の観念が見出せるのでしょうか?

 

 

 

訳者あとがき

 

シルバーバーチと私(モーリス・バーバネル)

 

シルバーバーチ関係の図書目録

 

 

 

*書籍にはここに表示した以外にもQがあります

 

訳者あとがき


 読者というのは初めてその本を読む人のことと理解してよいと思うが、本書に関する限りは初めての方に加えてすでにシルバーバーチをくり返し読んでいる方が多い――むしろそういう方のほうが圧倒的に多いに違いないという想定のもとに前半を書かせていただく。そのあと新しい読者のために、シルバーバーチ霊からのメッセージの中継者として生涯を捧げたモーリス・バーバネルの手記を紹介する。
 「編者まえがき」の冒頭で述べられているように、本書はすでに霊言集として十数冊の単行本として発行されているものの中から、Q&A、つまり交霊会の出席者からの質問にシルバーバーチが答えたものばかりを編集したものである。
 私は霊言集の原書をすべて揃えており、そのすべてを翻訳して十六冊の日本語版として四つの出版社から上梓した (巻末参照)。したがって本書の原書を手にした時は、その日本語版にあるものばかりなのだから敢えて訳す必要性はないと考えていたのであるが、「勉強会」を進めて行くうちに、こういう問答形式のテキストも使い勝手が良い、むしろその方が効用が大きいように思えてきた。
 そこで翻訳に着手して一章ごとに「勉強会」で披露して行ったのであるが、そのうち気が付いたのは、部分的には訳した覚えがあっても全体としては別個のものが、かなりの頻度で出てくることだった。同じシルバーバーチが述べたことであるから、どこか似ていることを述べていても不思議はないのであるが、そのうち"編纂"という作業に関して日本人と英国人との間に考え方の違い、大げさに言えば精神構造の違いをほうふつさせる事実が明るみになってきた。
 それは、原書の編集者は単に霊言を集めてテーマ別に区分けするというだけではなく、時には別々の交霊会での霊言を継ぎはぎして新しい文章をこしらえることがあるということである。ムダ、ないしは無くても良い、と思える文章を削るのはまだしも、そこで述べていないもの――たとえ別の箇所で述べていても――それを継ぎ足して形だけ整えるのは、いささか悪趣味が過ぎるのではないかと思うので、私はそれを発見した時は削除した。
 そんな次第で、既刊の霊言集に出ているものと本書に出ているものとの間に"似て非なるもの"がある時は、本書の方が正しい,つまり余計な付け足しをしていないと受け取っていただきたい。もちろん表現を改めたところは少なからずあるが・・・
 もう一つ気づいたことは――これは嬉しい発見であるが――どの霊言集にも掲載されていない問答が幾つか見られることである。そこで考えたのであるが、どうやら二人の編者は、前任者たちが霊言集を編纂した時の資料、つまり交霊会の速記録やテープ録音を文字に転写したものの中から、新たに拾い出したものを採用したのではないかということである。これは、そうした資料に直接アクセスできない者にとっては実に有り難いことで、もしも条件が整えば私自身がそうしたものの発掘の旅に英国まで行って来たい心境である。未公開のものが幾らでもあるはずであるから・・・
 さて、回答で指摘した通り私自身の誤訳も見つかった。ある意味では大切な発見で、本文でもお詫びかたがた注を施しておいた。"not" を見落とした単純ミスで、いわゆる「思い込み違い」である。が、その単純ミスがそのあとの文章の意味を分かりにくくしてしまうという、二重の過ちを犯したことになる。
 この一節はシルバーバーチ特有の、簡潔にして含蓄の深い文章の典型で、たった数行であるが極めて難解である。テーマは「アフィニティ」説で、二十世紀初頭に入手されたフレデリック・マイヤースの「類魂」説と基本的に同一である。ケガの功名で図らずも今回の誤訳の発見によって解説がし易くなったので、ここで「霊魂」とは何か、それが「進化する」とはどういうことかを、改めて解説しておきたい。
 まず用語の意味を整理しなければならない。日本人は「霊」と「魂」を並べて「霊魂」という呼び方をする。見方によってはそれで問題ない場合もあるが、スピリチュアリズムでは明快に区別している。それをシルバーバーチの言葉で説明すると――「霊」とは全存在の根源的生命力で、無形・無色、影も形もないという。われわれ人間について言えば、身体のどこそこにあるという"場所をもつ"存在ではなく、強いて言えば「意識」ですとシルバーバーチは言うのであるが、この「強いて言えば」と断わること自体が、必ずしも「意識」とはいえない状態での存在もあることを示唆している。それについては後述するとして――「魂」とはその霊が自我を表現するための媒体をまとった状態を指す。地上では物的身体という媒体に宿って生命活動を営んでいるわけで、その意味で人間も「霊」であると言っても良いし「魂」であると言っても良いし「霊魂」であると言っても間違いではないことになる。シルバーバーチが用語にこだわらずに、時には矛盾するかのような使い方をするのは、決して"いい加減"に表現をしているわけではない。シルバーバーチは我々の実体を鳥観図的に見ているのに対し、我々は脳の意識を焦点として考えているので、どうしても視野が狭くなり、字句にこだわることになる。
 日本の古神道には「一霊四魂」という思想がある。霊は自我で、その表現媒体として四つの魂、即ち荒魂(あらみたま)・和魂(にぎみたま)・ 幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)があるというもので、スピリチュアリズムでいう自我と肉体・幽体・霊体・神体(または本体)の四つの身体という説とまったく同一である。さらには、これらの身体に相応した物質界・幽界・霊界・神界があるというわけであるが、ここではこれ以上は踏み込まないことにする。
 さて、自我である「霊」は無始無終の存在として単細胞生物に始まって植物、動物とその媒体を変えながら進化し、最後に「霊的流入」Spiritual Influxという過程を経てヒトの身体に宿る。そして、この段階で初めて自我意識が芽生える。霊的生命の発達と進化の過程における画期的飛躍と呼んでよいであろう。
 シルバーバーチが「見ず知らずというわけではない」と述べたのは「意識的には知らない」という意味に解釈してよいであろう。無限の資質と可能性を秘めた霊的生命が、無意識の静的状態から動的状態へと移行し、機能的進化を重ねたあげくに「霊的流入」という飛躍を経てヒトとなり、自我意識と個性をそなえて精神的ならびに霊的進化の旅に出ることになる。その旅に終点はないという。
 では、本書に掲載されていないシルバーバーチの霊言で、「霊的流入」を考慮して初めて理解できる一節を紹介しておく。

「幾百万年とも知れない歳月をかけて、あなた方は下等な種から高等な種へと、媒体を徐々に発達させながら、泥の中から天空へ向けて一段また一段と、ゆっくりと進化して来たのです。その間、少しずつ動物性を捨てては霊性を発揮するという過程を続けて来ました。 今あなた方が宿っている身体がそこまで発達するのに果たして何百万年かかったことでしょう。しかし、まだ進化は終わっていないのです。そして他方において魂も進化させなければならないのですが、それにも、これから何百万年かけることになるでしょうか。  かつてあなたはサルでした。サルそのものだったという意味ではありません。サルという種を通して顕現した時期もあったという意味です。それも大霊の機構の一部なのです。生命のあるところには大霊の息吹があります。それなくしては生命活動は存在しません。 ただ、その息吹に段階的な差があるということです。発達と開発があり、下等な段階から高等な段階への転移があるということです」

 では、このたび初めてシルバーバーチと出合ったという方のために、シルバーバーチの専属霊媒としての生涯を送ったモーリス・バーバネルの手記を紹介する。これはバーバネルの後継者として週刊紙『サイキック・ニューズ』Psychic News の編集長となったトニー・オーツセンに「自分が死んでから公表してほしい」と言って手渡したもので、その遺言どおり、1979年7月の他界後に同紙に掲載された。




■ 『シルバーバーチと私』           モーリス・バーバネル


 私の記憶によれば、スピリチュアリズムなるものを初めて知ったのはロンドンで催されていた文人による社交クラブで無報酬の幹事をしていた十八歳の時のことで、およそドラマティックとは言えないことがきっかけとなった。
 クラブでの私の役目は二つあった。一つは著名な文人や芸術家を招待し、さまざまな話題について無報酬で講演してもらうことで、どうにか大過なくやりこなしていた。もう一つは、講演の内容のいかんに拘わらず、私がそれに反論することでディスカッションへと発展させていくことで、いつも同僚が「なかなかやるじゃないか」と誉めてくれていた。
 実はその頃、数人の友人が私を交霊会なるものに招待してくれたことがあった。もちろん初めてのことで、私は大真面目で出席した。ところが、終わって初めてそれが私をからかうための悪ふざけであったことを知らされた。たとえ冗談とは言え十代の私は非常に不愉快な思いをさせられ、潜在意識的にはスピリチュアリズムに対し、むしろ反感を抱いていた。
 同時に、その頃の私は他の多くの若者と同様、すでに伝統的宗教には背を向けていた。母親は信心深い女だったが、父親は無神論者で、母親が教会での儀式に一人で出席するのはみっともないからぜひ同伴してほしいと嘆願しても、頑として聞かなかった。二人が宗教の是非について議論するのを小さい頃からずいぶん聞かされた。理屈の上では必ずといってよいほど父の方が母をやり込めていたので、私は次第に無神論に傾き、それからさらに不可知論への変わって行った。
 こうしたことを述べたのは、次に述べるその社交クラブでの出来事を理解していただくその背景として必要だと考えたからである。
 ある夜の会で、これといった講演者のいない日があった。そこでヘンリー・サンダースという青年がしゃべることになった。彼はスピリチュアリズムについて彼自身の体験に基づいて話をした。終わると同僚が例によって私の方を向き、反論するようにとの合図を送ってきた。
 ところが、自分でも不思議なのだが、つい最近ニセの交霊会で不愉快な思いをさせられたばかりなのに、その日の私はなぜか反論する気がせず、こうした問題にはそれなりの体験がなくてはならないと述べ、したがってそれをまったく持ち合わせない私の意見では価値がないと思うと述べた。これには出席者一同が驚いたようだった。当然のことながらその夜は白熱した議論のないまま散会した。
 終わるとサンダース氏が近づいて来て「体験のない人間には意見を述べる資格はないとのご意見は、アレは本気でおっしゃったのでしょうか。もしそうだったら、ご自分でスピリチュアリズムを勉強なさる用意がおありですか」と尋ねた。「ええ・・・」――私はついそう返事をしてしまった。が、「結論を出すまで六か月の期間がいると思います」と付け加えた。
 そのことがきっかけで、サンダース氏は私を近くで開かれていた交霊会へ招待してくれた。約束の日時に私は当時婚約中だったシルビアを伴って出席した。会場に案内されてみると、ひどくむさ苦しいところで、集まっているのはユダヤ人ばかりだった。若い者もいれば老人もいる。あまり好感は持てなかったが、真面目な集会であることは確かだった。
 霊媒はブロースタインという中年の女性だった。その女性がトランス状態に入り、その口を借りていろんな国籍の霊がしゃべるのだと聞いていた。そして事実そういう現象が起きた。が、私には何の感慨もなかった。少なくとも私の見る限りでは、彼女の口を借りてしゃべっているのが「死者」であることを得心させる証拠は何一つ見当たらなかった。
 しかし、私には六ヶ月間スピリチュアリズムを勉強するという約束がある。そこで再び同じ交霊会に出席して同じような現象を見た。ところが会が始まって間もなく、退屈からか疲労からか、私はうっかり居眠りをしてしまった。目を覚ますと私はあわてて非礼を詫びた。ところが驚いたことに、私は居眠りをしていたのではなく、レッド・インディアンが私の身体を借りてしゃべっていたことを知らされた。
 それが私の最初の霊媒的トランス体験だった。何をしゃべったかは自分にもまったく分からない。聞いたところではハスキーでノドの奥から出るような声で少しだけしゃべったという。その後現在に至るまで大勢の方々に聞いていただいている、地味ながら人の心に訴えるとの評判を得ている響きとは似ても似つかぬものだったらしい。
 しかし、そのことがきっかけで私を霊媒とするホーム・サークルが誕生した。シルバーバーチも回を重ねるごとに私の身体のコントロールがうまくなって行った。コントロールするということはシルバーバーチの個性と私の個性とが融合することであるが、それがピッタリうまく行くようになるまでには、何段階もの意識上の変化を体験した。
 初めのうち私はトランス状態に入るのはあまり好きではなかった。それは多分に、私の身体を使っての言動が私自身に分からないのは不当だという、生意気な考えのせいであったと思われる。
 ところが、ある時こんな体験をさせられた。交霊会を終わってベッドに横たわっていた時のことである。眼前に映画のスクリーンのようなものが広がり、その上にその日の会の様子が音声、つまり私の口を使っての霊言とともに、ビデオのように映し出されたのである。そんなことがその後もしばしば起きた。
 が、その後それは見られなくなった。それは他ならぬハンネン・スワッファーの登場のせいである。その後「フリート街の法王」(フリート街はジャーナリズム界の通称)と呼ばれるほどのご意見番となったスワッファーも、当時からスピリチュアリズムには彼なりの体験と理解があった。(別の交霊会で劇的な霊的体験をして死後存続の事実を信じていた)
 そのスワッファーが私のトランス霊言に非常な関心を示すようになり、シルバーバーチ霊をえらく気に入り始めた。そして、これほどの霊的教訓が一握りの人間にしか聞けないのは勿体ない話だと言い出した。元来が宣伝好きの男なので、それを出来るだけ多くの人に分けてあげるべきだと主張し、『サイキック・ニューズ』に連載するのがいちばんいいという考えを示した。
 初め私は反対した。自分が編集している新聞に自分の霊的現象の記事を載せるのはまずい、というのが私の当然の理由だった。しかし、ずいぶん議論した挙句に、私が霊媒であることを公表しないことを条件に、私もついに同意した。
 その頃から私の交霊会は「ハンネン・スワッファー・ホームサークル」と呼ばれるようになり、同時にその会での霊言が毎週定期的に掲載されるようになった。当然のことながら、霊媒は一体誰なのかという詮索がしきりになされたが、かなりの期間、内密にされていた。しかし、顔の広いスワッファーが次々と著名人を招待するので、いくら箝口令(かんこうれい)を敷いても、いつまでも隠し通せるものではないと観念し、ある日を期して事実を打ち明ける記事『シルバーバーチの霊媒は誰か――実はこの私である』を掲載したのだった。(カッコ内は訳者。分かりやすく編集した箇所もある)





■ シルバーバーチ関係の図書目録


     
   書名
『古代霊は語る』
『シルバーバーチの霊訓』(全12巻)
『古代霊シルバーバーチ・不滅の真理』
『古代霊シルバーバーチ・新たなる啓示』
『古代霊シルバーバーチ・最後の啓示』
『シルバーバーチ・愛の摂理』(復刻版)
『シルバーバーチ・愛の力』 (同上)
『シルバーバーチ・愛の絆』 (同上)
『シルバーバーチは語る』A.W. オースティン編
『 Silver Birch Speaks (カセット版)』
出版社
潮文社
同上
ハート出版
同上
同上
心の道場
同上
同上
同上
ハート出版
(シルバーバーチ交霊会を録音したもので、現存する唯一のもの。英文と訳文付)

 

読者の声

 

訳者紹介

■ 近藤千雄(こんどうかずお) ■

 

昭和10年生まれ。高校時代からスピリチュアリズム交霊会にも度々立ち合って、死後の個性の存続を確信。明治学院大学英文科在学中からスピリチュアリズムの原典に親しみ、その翻訳を決意して4年次で、“翻訳論”を専攻。これまで再三英米の著名な心霊家や霊能者、さらにはスピリチュアリズムの発祥の地を訪ねて、オーソドックスな心霊知識の移入と、日本での普及につとめている。これまでの訳書60冊、編訳書6冊。英語教室経営。

主な著書・編訳書に「人生は本当の自分を探すスピリチュアルな旅」「霊的人類史は夜明けを迎える」「迷える霊との対話」「タイタニック永遠の旅」「ペットが死ぬとき」「シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ」「シルバーバーチ新たなる啓示」「シルバーバーチ最後の啓示」「シルバーバーチのスピリチュアルな生き方Q&A」「CDブック・シルバーバーチは語る」「イエス・キリスト 失われた物語」「シルバーバーチのスピリチュアルな法則」「スピリチュアル・ストーリーズ」「スピリチュアル・イングリッシュ」「シルバーバーチ 今日のことば」等がある。

 

おすすめの本


シルバーバーチのスピリチュアルメッセージ


シルバーバーチのあらたなる啓示


シルバーバーチ最後の啓示


人生は本当の自分を探すスピリチュアルな旅


霊的人類史は夜明けを迎える


人はなぜ生まれいかに生きるか

 

 


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