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イエス・キリスト 失われた物語
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■ ハート出版 精神世界の本 ■ イエス・キリスト 聖書が書かなかった生と死の真実 私を神様扱いするのはやめてほしい イエスは奇跡など起こしてない。マリアは処女懐胎などしてない。聖書は真実を語っていない――。なぜ彼らは、こんなにも魅力的なイエスの姿を伝えてこなかったのだろうか? 民族解放のためローマの圧政に立ち向かう、若き革命家イエスの、痛快な冒険活劇がここにある! この物語を読み終えたときあなたは、なぜ後年彼が“救世主(キリスト)”と呼ばれるようになったのか、その本当の理由を知るだろう。それは魔術的な奇跡でも、超人的な神性でもなく、ただひたむきな人々への“愛”であった。 フロリゼル・フォン・ロイター著 近藤千雄訳 2002.011.18 発行 ISBN 4-89295-486-1 C0097 四六上製・320頁・定価 1650円(本体 1500円) THE MASTER FROM AFAR, A Flight Into the Past as It Might Have Benn, Florizel von Reuter, PSYCHIC PRESS LTD, London, England(1973) |
まえがき |
本書が書き上げられた経緯は筆者にとっても謎めいているので、ここで解説しておく必要がありそうである。 数年前のことであるが、いつものように机に向かって腰掛けていると、いわく言い難い衝動に駆られて鉛筆を握り、まず 「彼はハイファに上陸した」 という一文を書いた、というよりは、書かされた。ハイファという地名はまったく知らなかったわけではないが、パレスチナのどこかにあるといった程度だった。なぜこんな文を書くのだろうと思っているうちに次々と文章が綴られ、どうやらそれはイエスが歴史上に足跡を残した、あの三年間の物語であることが次第に明らかとなってきた。 それまでに私が抱いていたイエス観は、国教会の家に生まれ育ったせいもあって、いたってオーソドックスなものだった。ところが私の手によって綴られていく出来事はバイブルで馴染んでいたものとは全く違うのである。登場人物にも目新しい名前が多い。そして何よりも驚いたのは、イエスの風貌が教会で見かける肖像画の、あの優しいものとは違って、ミケランジェロの作品に見られる、がっちりとした体格の、たくましい青年であることだった。 物語が進むにつれて、私にそれを書かせている“通信霊 Messenger”の存在を感じ取ることができるようになった。その霊は、イエスについてバイブルとは異なる実像を啓示する使命を帯びていることを、霊感的に伝えてきた。 私の知らない事象を綴ったときは、それが事実であることを納得させるために、その資料のある図書館を教えて、行って確かめさせることまでした。結果的には余暇のほとんどをそのことに費やした。それは一日仕事になることもあった。宗教関係の事典も、カトリック、プロテスタント、ユダヤ教のものまで参照した。英米の百科事典、例えば英国の「ブリタニカ百科事典」や米国の「アメリカーナ百科事典」を初めとするあらゆる参考書をひもとき、おかげで私は、自分が知らないまま書いたものから膨大な知識を手にすることになった。 かくして私は、ソルボンヌ大学のノーベル賞受賞学者リシェー博士が“第六感”と名づけ、現代ではESPと呼ばれている超能力が、私のこの産物の最大の源であることが分かってきた。 例えばイエスが死にかかっている病人を治療する時にガラスの鏡を用いたくだりで、鏡というものが最初はブロンズ製だったのが、シリア沿岸の町シドンのガラス工によってガラス製の鏡になったことが述べられているが、これなどは私の全く知らなかったことで潜在意識説は問題にならない。 その後さらに勉強して行くうちに“宇宙意識”というものがあって、その中に宇宙の出来事のすべてが記憶されており、それにチャンネルを合わせれば過去のことを何でも知ることができる――そういう能力を持った人間がいる、ということも知った。もっとも本書の物語は大筋においてそういう超能力によらずに入手したもので、出来事のすべてが検証できたわけではないが、当時の歴史を正確に伝えていると確信している。 さきの“通信霊”が誰であるかは一考を要する問題であろう。私はもともと懐疑的な性向の人間なので、これといった一つの結論にこだわりたくないし、文体から判断してсXピリチュアリズムのパウロと呼ばれたあのコナン・ドイルではないかという意見も、確かに私はドイルとは生前よくイエスの問題で意見を交わした間柄なので、可能性がないとは思っていないが、すんなりとその意見を受け入れる気にはなれない。読者お一人お一人の観点からご自分なりの結論を出していただけば結構である。 物語は小説風に綴られているが、面白くしようというふざけた気持から書いたものでないことは言うまでもない。そんな軽い気持から書くにはテーマが深刻すぎる。が、おとぎ話のような作り話でも真実を伝えることがあるように、本書にも思考の糧となるものが豊富に含まれている。例えば本書でのイエスはゴルゴタの処刑場では仮死状態で、その後息を吹き返すのであるが、現代の医学的見地から見ても、聖書の記述どおり、つまり数時間で死ぬはずはない、ということになっている。 さらに忘れてならないのは、聖書は確かに素晴らしい読み物ではあるが、決して歴史書ではないということである。もともと使徒たちによって綴られたものであろうが、長い時の流れの中で書き改めや削除や書き加えが施されてきており、原典はどうだったかについて知る手掛かりは何一つないのである。 ちなみに、聖書学者によると“イエス伝”とも言うべき四編の《福音書》が綴られたのは、『マルコ伝』が西暦六十五年、『ヨハネ伝』が六十〜七十年、『ルカ伝』と『マタイ伝』が七十年とされている。が、それらを総合しても、イエスの三年間の行状のうちの、たった五十日のことしか語られていないという事実を、最後に書き添えさせていただく。 |
著者紹介 |
■ フロリゼル・フォン・ロイター Florizel von Reuter (1890-1985) ■
ウィーン国立音楽院のバイオリン科の教授を長年つとめた。母親が自動書記の能力を持っていたことから、彼女が受け取った17カ国語にも及ぶ言語による通信を分析して『ある音楽家のスピリチュアルな体験』を出版。続いて母親の友人からの通信をテーマにした『癒しの天使』を出版したしたころから、彼自身にも自動書記の能力が発現し『見えざる友との対話』を出版する。そして本書が最後の著書となった。作家コナン・ドイルとも親交があり、イエスの問題についても意見を交換。晩年は英国とドイツでスピリチュアリズムについての講演を行なっている。
■ 翻訳者・近藤千雄(こんどうかずお) ■
昭和10年生まれ。高校時代からスピリチュアリズム交霊会にも度々立ち合って、死後の個性の存続を確信。明治学院大学英文科在学中からスピリチュアリズムの原典に親しみ、その翻訳を決意して4年次で、“翻訳論”を専攻。これまで再三英米の著名な心霊家や霊能者、さらにはスピリチュアリズムの発祥の地を訪ねて、オーソドックスな心霊知識の移入と、日本での普及につとめている。これまでの訳書60冊、編訳書6冊。英語教室経営。 主な著書・編訳書に「人生は本当の自分を探すスピリチュアルな旅」「霊的人類史は夜明けを迎える」「迷える霊との対話」「タイタニック永遠の旅」「ペットが死ぬとき」「シルバーバーチのスピリチュアル・メッセージ」「シルバーバーチ新たなる啓示」「シルバーバーチ最後の啓示」「シルバーバーチのスピリチュアルな生き方Q&A」「CDブック・シルバーバーチは語る」「イエス・キリスト 失われた物語」「シルバーバーチのスピリチュアルな法則」「スピリチュアル・ストーリーズ」「スピリチュアル・イングリッシュ」「シルバーバーチ 今日のことば」等がある。 |
読者の声 |
関連ニュース |
2003.02.12 | 革命家イエス(読売新聞夕刊2003年2月12日) |
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