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■ おもしろ選書13 ニッポンの秘島めぐり(2) ■ だから離島へ行こう 行けば行くほど、知れば知るほど、島が好きになる 本木修次 著 1996.07.01 発行 ISBN 4-89295-080-7 C0026 A5並製・255頁・定価 2136円(本体 1942円) |
まえがき |
島は、海か空を行かなければ、その大地を踏むことはできない。橋の架かった島だって、海の上を越えて行く。どれを行くにしても島は一つの美しき天然である。その島の人たちの日毎の暮らしは、まさに一年三六五枚の生活絵であり、そのまま島の文化史であり、生活誌である。 これは日本の島の記紀であり、風土記であって、島国日本の国宝でなくてなんであろうか。日本はすべて島によって成り立っているので、それらはすべて国の礎である。―――現在、有人無人あわせて六八五二島―― 東京、大阪だって島にある街。北太西洋から北極圏のグリーンランドは世界一大きい島だから、本州だって世界第七番目の島にすぎない。ちなみに北海道は十九番目、九州は三一番目、四国は三八番目、沖縄は世界の主な島の表には出てこないが五〇番目くらいだろう(理科年表)。この五つを国内では島≠ニ呼んでいないが、正真正銘すべて島、日本はまさに島国。完全島嶼国、島大国なのである。 海も島もない県に育った私は、房総半島の洲崎を過ぎて太平洋の大波と船を知り、伊豆大島で離島の生活を教わった。活火山の火口から地球の中をのぞきこんだ。海も島も初めての経験に身が引き締まった躍動の数日を過ごしてから、足かけ四〇年、その歓喜、躍動は今も波打っている。 行けば行くほど、知れば知るほど、島は私を呼び、私は島を愛し、島が恋しくなる。島に喜びあれば行って共に楽しみ、島に苦あればそれを共に語って光を見よう、喜びを引き込もうとする。島は私にとってまさに青春の舞台であり、人生そのものである。 そんな島のうち、昨年は自然的にも社会的にも小さい島々――だいたい人口三〇〇人台以下――とそこに暮らす人々の様子を『小さな離島へ行こう』(ハート出版刊)にまとめて上梓したところ、たいへん好評でマスコミなどにもいろいろ取り上げられ、島の人や島に関心のある人々に喜んでもらった。小さい島の人に迷惑になっては申し訳ないと思っているが、島の現実、その温かい人間模様や大自然との共生の姿が認識されることで、間接的ながら離島の振興に役立ってくれればと私は思った。 今度は、同じ島でも前著に取り上げた島々よりも大きい島を主に、日本の島模様、人間絵巻に視点をあわせ、できるだけ島の新しい動き、文化の躍動の姿などを訪ねて筆を執ろうとした。前の本とこの本とを併せれば、日本の小さい島々から大きい島までの動き、文化の香り、島の人の息吹がわかってもらえるようにと考えた。 したがって、この本では、だいたい人口四〇〇人台以上の島を対象にしているが、数島は他島との関連でそれ以下の島もある。なを、島(離島)の概念に入れない沖縄島も、その歴史過程から、この本では他の島々と一緒に島≠ニして書くことにした。その折、原則として人工島、陸けい島、宗教のみの島、架橋島(淡路島、生口島は半架橋)などは除いた。 この本での島の人口は平成六年四月一日現在の住民基本台帳人口とし、アクセスは概略のみとした。写真はすべて著者撮影のものです。 この本が日本の島々の振興のために役立ちたいと願って一心に綴ってゆきたい。 |
目 次 |
北海道の島々 1 奥尻島 震災から立ち上がる 2 天売島 オロロンの詩きけば 3 礼文島 最北端スコトン岬の群像 4 利尻島 秀麗利尻は国際派
日本海側の島々 5 飛島 みちのくの日本海に浮く民俗館 6 佐渡島(一) 和太鼓、世界に響きわたる 佐渡島(二) ミドリ、そしてキンのふる里 7 知夫里島 牛一〇頭か船一艘差し上げます 8 西ノ島 シルバーエイジ、理想郷に来たれ 9 中ノ島 島おこしはホテルとあまんぼう 10 島後 隠岐の牛突き、一夜岳 11 見島 鬼ヨーズ、揚がれや揚がれ
太平洋側の島々 12 網地島・寒風沢島 みちのくから日本新・世界新 13 神津島 活火山島・夜中の震度四 14 青ケ島・鳥島 活火山島・大自然と人間と 15 大島(伊豆) 全島一万人完全避難 16 三宅島 村営バス、阿古から全員救出 17 小笠原諸島 南の美しき海と島と人 18 初島 三原則それは人気・境界・火災 19 佐久島 三河湾に緑一色の島 20 大島(紀伊) トルコの軍楽隊がやってきた
瀬戸内海の島々(豊後水道も含む) 21 淡路島 ガンバレ淡路、ガンバレ神戸 22 家島群島 四島四色の調和 23 犬島・犬の島 吠えろよ巨大犬 24 大島(庵治) ライ予防法はなくなったが 25 広島 瀬戸大橋トライアスロン大会 26 生口島・高根島 島まるごと文化館 27 似島 安芸の小富士と原爆と 28 祝島 壮大な海渡り神舞と練塀の島 29 日振島 灯を振る島の巻き網船団 30 沖の島 豊後水道、台風直撃
九州の島々 31 姫島 苦を乗り越えて日本一 32 大島(宗像・筑前) 遙かなり、海の正倉院 33 鷹島 元寇から七〇〇年、モンゴル村 34 長崎県 「しまの日」は八月一日 35 高島・軍艦島 炭鉱閉山、堅坑倒れても 36 福江 博多の島々 西海の詩、胸躍るルート 37 対馬島 古今、国際の要地 38 湯島 天草四郎は二人いた 39 甑島列島 鹿の子百合は美しき自然に咲く 40 屋久島 世界の自然遺産の島 41 種子島 宇宙に一番近い島 42 硫黄島 勘九郎『俊寛』を鬼界ヶ島で熱演 43 奄美大島 親元はなれ、奄美の自然の中へ 44 沖永良部島 苦難を乗り越えた天皇杯
沖縄の島々 45 沖縄島 ひめゆり同窓会こそノーベル平和賞 46 大東諸島 台風に好かれる沖縄の奥の院 47 伊良部島・下地島 遠洋マグロとタッチ・アンド・ゴー 48 西表島 南海の秘境、東洋のアマゾン 49 波照間島・与那国島 日本最南最西の島
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著者紹介 |
■ 本木修次(もとき しゅうじ) ■
1926年群馬県に生まれ。1949年東京高等師範学校文科四部(地歴科)卒業。実社会に5年半おり、 東京都北区立赤羽中学校の教師生活に入り、文京区立茗台中学校、都の教育委員会を経て、東大和市立第四中学校長、新宿区立淀橋中学校長を歴任。退職後、教師時代からの旅を続け、 日本の全友人島踏査を終えるが、今も引き続いて島めぐりを続けている。 著書に 「小さな離島へ行こう」 「だから離島へ行こう」 「小さな島の分校めぐり」 「無人島が呼んでいる」 「島と岬の灯台めぐり」 (小社刊)、「離島めぐり15万キロ」「離島めぐり15万キロU」(古今書院)、「ぽんこつ6万キロ」「離島の生活」(有山閣出版)、「日本をめぐる」(偕成社)などがある。 |
読者の声 |
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