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死ぬときに後悔しない「こころの遺産」の贈り方
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Your Legacy of Love: Realize the Gift in Goodbye by Gemini Adams 死ぬときに後悔しない
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あなたは、愛する人に何を遺しますか? |
遺された家族が本当にほしいもの、
それは、「モノ」や「お金」ではありません――
多くの遺族に寄り添ってきた悲嘆(グリーフ)ケアの専門家が教える、 |
ジェミニ・アダムズ 著 峰岸計羽 訳 2011.07.24 発行
ISBN 978-4-89295-683-6 C0011 四六並製・272頁・定価 1980円(本体 1800円)
内容紹介 |
あなたには、ご自分が亡くなったあとに──お墓の中からでさえも──大切な家族を慰めたり、導いたり、励ましたりできるのだということを知っていただきたいのです。家族への愛を記録に残しておけば、逝ってしまったあともずっと、最愛の人々とつながっていられるでしょう。 この本では、そうした死別に伴う精神的、感情的なダメージをやわらげる具体的な方法を取り上げていきます。 最愛の人々が悲しみのあまり「危険地帯」に迷い込んだり、心にぽっかり空いた「穴」から抜け出せなくなったりしないように、あなたにできる防止策をお伝えします。ただし、学術的な話をするつもりはありません。すぐにできる実践的な方法を紹介していきます。 本書の第一部では、死別の悲しみについて理解を深め、この難しい問題と向き合っていただけるようにしました。 第二部では、「こころの遺産」は簡単に準備できるものだということを、豊富な具体例とともに紹介します。 第三部では、人生の終わりを見据えれば、今よりも心安らかに有意義な生き方が実践できるようになるということをお話ししたいと思います。 |
はじめに |
人と人は、普通、別れ際にキスや抱擁を交わしたり、軽いジョークを言い合ったり、あるいは二言三言、優しい言葉をかけ合ったりするものです。けれども、たまに、そういう挨拶を交わすことなく別れてしまうことがあります。時間がなくてドタバタと出かけてしまったり、いさかいのあげくに険悪なムードのまま別れてしまったり……。 でも大丈夫。そんなときは、あとで謝りの電話をかけるとか、次に会ったときに埋め合わせをすればいいのです。そう、いつだってやり直しは、ききそうな気がします。 ところが残念ながら、こと人生においては、いつもいつも、そううまくいくとは限りません。きちんとお別れを言える最後のチャンスは、実はもう過ぎ去ったあとだった、そんな場合もあるのです。 たとえば、あなたが、ろくにさよならも言わずに一週間も家を空けたとしましょう。きっと家族は失望して腹を立てるに違いありません。でも、やがてあなたが自分の愚かさを反省して謝りの電話をかければ、たぶん家族はあなたのことを許してくれるでしょう。そうすれば、留守中のわだかまりなど、あっという間に吹き飛んでしまいます。 けれども、「もしも」のときを考えてみてください。何かの理由であなたに最悪の事態が起きて、さよならを言う機会が二度と巡ってこないとしたら、どうでしょうか? つまり、あなたが家族のことをどれほど大切に思っていようと、その気持ちを伝えることができないのです。 ご家族はきっと嘆き悲しむに違いありません。もう、あなたと言葉を交わしたり、抱き合ったり、笑ったりすることも、顔を見ることもできないのです。あなたがどんなに家族への愛を伝えたくても、そのチャンスはもう永遠に失われてしまいました。なぜあのとき、まともにさよならぐらい言わなかったのかと、自分自身も、遺された家族も、心の底から悔やむに違いありません。 私たちが遠まわしに「それ」などと呼んでタブー化しているものから、誰もが逃れられないのは分かっています。ところが、「それ」を想定して準備を整えておこうという人は、実際にはほとんどいません。永遠の別れを告げる日が何年何月何日と決まっていないだけに、簡単に意識の外へと追いやってしまえるのです。 末期の病と診断され、「その日」が差し迫っていることを痛感させられれば別ですが、そうでもない限りは、忘れていられるわけです。そればかりか、かなり非情な現実を突きつけられたときでさえ、人間は、カーペットの下に「それ」を押し込んで、見なかったことにしようとします。ましてや、今のところ重い病も患っていないような人なら、自分はまだまだ大丈夫、二〇年、四〇年先の遠い未来のことだ、と思い込むでしょう。 ところがこれは、とんだ見当違いです。たいていの場合、事故、自然災害、病気、そのほかの恐ろしい悲劇の結末として、「それ」は抜き打ちでやってきます。そして、ずっと「それ」について考えずにきた私たちは、なんの準備もないまま、その日を迎えることになります。 あなたが、少しばかりの感謝の言葉や温かいメッセージを用意しておかなかったがために、あとに遺された人々は、「もう一度やり直せたらどんなにいいだろう」という思いとともに、悲しみの淵に取り残されるのです。 そんな事態を避けるために、どうか、ご自分に問いかけてみてください。「自分の旅立つ日が分かっていたら、いったい、どうするだろう?」と。 残された時間を、あなたならどう過ごすでしょうか? 自分が歩んできた人生の道のり、身につけた価値観や教訓を、どのように伝えていきますか? 最愛の人々がずっと大切にしていけるような贈りものを遺していきたくはないですか? たとえば、愛する気持ちを手紙に託すとか、遺された人々の励ましや慰めになるような何かを用意するとか。 そう、「その日」がいつと分かっているなら、きっと、ここに挙げたようなことは、どれもこれもすべて実行するでしょう。いや、さらにもっと手を尽くそうとするでしょう。 今、挙げたような努力は、あなた自身の「こころの遺産」を形づくることにほかなりません。あなたが伝えていった「愛のメッセージ」は、きっと、あとに遺された人たちの救いとなるはずです。あなたの愛に支えられて、お子さんやパートナー、恋人、きょうだい、ご両親は、死別の悲しみを乗り越え、立ち直ることができるでしょう。そうやって、最愛の人々が受けるショックを少しでもやわらげ、死別に伴うさまざまな困難を切り抜けられるようにしておく努力は、あなたにもできることなのです。 まずは、「明日が必ず来るとは限らない」と認めるところから始めてください。そして、知っていただきたいのです。最後のお別れに向けて準備をしておけば、ご自分の人生に前向きな変化をもたらせるうえ、別れ際に大切な贈りものを遺していけるということを──。 |
目 次 |
はじめに |
著者紹介 |
■ 著者・ジェミニ・アダムズ(Gemini Adams) ■
英国ソールズベリー出身。21歳のとき、母親をガンのために48歳の若さで亡くし、そこで経験した大きな喪失感と悲しみをきっかけに、悲嘆(グリーフ)ケアについて学ぶ。英国有数の遺族サポート団体「CRUSE」におけるカウンセラーとしての活動と並行して、医師やホスピス関係者など数多くの専門家や、何百人もの遺族に対して取材を行い、その結果をもとに本書を執筆した。現在は、米国ロサンゼルスを拠点に、死別体験に備えるためのワークショップや、遺族へのコーチングなどを行っている。英国スピリチュアル・ヒーラーズ連盟会員。これまでの優れた研究成果に対し、ウィンストン・チャーチル記念財団賞を受賞。本書も、USA Book Newsの「ベストブック賞」やMom's Choiceの「金賞」をはじめ、数々の賞に輝いた。母親のアンドレア・アダムズはBBC(英国放送協会)の記者であり、「職場のいじめ問題」を英国で最初に取り上げたジャーナリストとして有名。
■ 翻訳者・峰岸計羽(みねぎし・かずは) ■
埼玉県生まれ。立教大学文学部英米文学科卒業。 |
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