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■ ハート出版の犬と人シリーズ ■


犬バカママと3匹の娘たち


るる・スー・くるみ、愛のバトンタッチ


第1回わんマン賞受賞作品

前川ひろ子 著 1998.03.26 発行  

ISBN 4-89295-118-8 C0036 四六並製・236頁・定価 1430円(本体 1300円)

 

まえがき

ハート出版

「犬と人シリーズ」第2弾。私の人生を変えた犬物語。子どもがいなくて落ち込んだデブ・ブス・ネクラの三重苦のママが犬を飼ったそして、輝いた。犬と人との心の交流を通して、人間が忘れかけていたものを思い出させる。運命に導かれた3匹の犬との出会い。犬好き、ペット好きの方にぜひ読んでいただきたい本。

 

 

目 次

 

 

るるの章

「暗い人」と呼ばれて――るるがやってきた
病気持ちの犬はこの上ない名医――精神の安定
るるは私の体の一部――サファリランドにて
犬で嫁姑問題も解決?――姑との関係良化
「犬は何年たっても犬なんだよ」――るるの脱走
来るべきときが……――るるの死

スーの章

るるみたいな犬?――スーがやってきた
わが家は犬小屋――スーのゆかいな生活
「るるは妹で私はスー」――かわいいるるとどんくさいスー
犬の命ははかない……――ロクちゃんの死
病院の相手は病気だけではなかったの?――姑の死
死んだ母の足音――姑の通夜にて
スーは〈おひめさま〉――初めての進出
ものが言えない〈ふたり〉――私の大失敗
「犬バカ」の犬談義――散歩の時の話
「気兼ね犬」スーのお手伝い――庭掃除
スーは福犬――神社にて
犬のこだわり・私のこだわり――飼い主として思うこと
色気よりソーセージ――スーの入浴
しあわせな犬――壱岐の島にて
夫婦げんかを犬が食う?――スーの仲裁
「桜切るバカ、梅切らぬバカ」――ある日の日曜
これも混浴?――浜村温泉にて
町内全域「犬」マップ――近所の犬事情
死体監察官スー――梅雨空の散歩にて
本妻と愛人の争い?――夕立の日のできごと
夫はスーの父親――夫の転勤
私は不運を呼ぶオバさん?――直木賞の話
赤いおもちが私を変えた――お寺参り
「呼ばなくたって訪ねてくるのが夫婦だろ」――初の上京
「ばあちゃん」事件――関西旅行にて
初めてのファン――処女作が組合新聞に掲載
犬は赤ん坊と同じ――犬バカ同志の内緒話
「いってらっしゃい」――前川家の朝
犬の貯金?――親友の飼い犬「シーちゃん」
スーの事故は私の責任、私の事故も私の責任――交通事故にあう
守備範囲は家の中だけ――似たもの〈ふたり〉
スーは〈たからもの〉――近所の大火事
相変わらずドジな私――わかめ拾いにて
スーは商売上手?――夫の散歩
スーと私は短足コンビ――大嫌いな交差点
上品な病院・下品な医者――スー、イボを取る
犬の恋に親が出る――犬の自由恋愛
犬もやきもちを妬くの?――スーの告げ口
スーと私はイボ仲間――私のイボ治療
歌の上手なビーグル犬の正体は……――ドミンゴさんのこと
父のおせっかい――日本中が米不足
「私のパパをとらないで!」――湯布院にて
あそうぼうよ――スーパーのペット売り場にて
スーの臨死体験――弱ってきたスー
スーの反抗――死の予感
犬の卒業証書――スーの死
「がんばって、がんばって、がんばって……」――母の手紙
「楽しみに行くだけが旅ではない」――中国へ

くるみの章

ブスな野良犬――くるみがやって来た
エリマキくるみ?――子供たちとの交流
くるみの前の飼い主は……くるみの不幸な過去
セミのおどり食い――野良犬時代のくるみ
「あかるい人」と呼ばれて――〈娘たち〉のおかげで

 

 

 

あとがき

 

 書くことが好きなのです。書きためた原稿用紙は黄ばみ、かび臭くなりました。いずれゴミになるだけとわかっていても、捨てる気にはなりません。夫には「もし私が先に死んだら、お棺の中に入れてください」と本気で頼んでいます。
 そうこうしているうちに、書いたものはダンボール一杯にたまってしまいました。そんな折、「わんマン賞」募集の記事を目にしました。
 飼い犬が死んで、天国で「スーちゃん神様」になりました。部屋の中からお墓を拝むのが習慣なのですが、ある朝、神様からメッセージが届いたのです。
《「わんマン賞」に応募せよ。あんたが出さないで誰が出すの?》
「犬と人のワンダフルな関係」……。確かにこれは私に書いてくれと言っているようなテーマです。そこで、さっそく応募することにしました。もちろん題材は〈3匹の娘たち〉についてです。
 ところどころ抜け落ちている過去の記憶を正確にしようと、古い原稿のほかに、日記帳や家計簿を引っ張り出して原稿にまとめました。
 怠け者でのろまな私に、スーの叱咤がたびたび聞こえてきます。もちろん犬の声が聞こえるわけではなく、テレビの上に飾ってあるスーの写真に目をやったとき、インスピレーションとして届くのです。

 ハート出版から「あなたの作品がわんマン賞に選ばれました」と電話があったときは「私のつたない文章が?」と、しばらくの間、半信半疑でした。
 しかし、今年の2月19日、奇しくもスーの命日にゲラが届き、本が出るのだと実感しました。ゲラとスーの写真を抱いて、部屋の中を踊ってまわりました。
 ハート出版と書く会の仲間たち、犬友達や家族、そして〈3匹の娘たち〉に感謝してます。

 犬バカの私からのメッセージです。
 寂しい人は犬を飼ってみてはいかがですか? 外で飼うスペースのない方は「室内犬」という手があります。
 お子さんが自立したり、はじめからお子さんをもたないご夫婦は、「子供の代わり」に。定年などを迎えた方には「老後の生き甲斐」として。一人暮らしの方には「よきパートナー」として……。きっとあなたの心の隙間を埋めてくれるでしょう。
 犬を飼うと、あなたの世界ががらっと変わります。まず、家に閉じこもってばかりはいられなくなります。犬と散歩することで、健康になりスリムになります。事実、私はるるを飼い始める前に比べて、10キロやせました。持病もなく、体調も良いです。犬友達の中には、血圧や血糖値が下がった人もいます。また、家に犬がいるだけで、家族のコミュニケーションが図られ、仲良くなれます。さらに、犬とお話をする子供はキレたりしません。
 このごろの犬は長生きしますから、子犬を飼うことにこだわらなくてもいいと思います。もし犬を飼い始めたいと思ったなら、あらかじめ保健所やペットショップに申し込んでおけば、きっとお宅にふさわしい犬が現れるでしょう。
 わが家の〈くるみ〉は五歳でうちの娘になりました。野良犬でしたから、来た頃は〈野良丸出し〉でした。しかし、最近は物腰がおっとりしてきました。残念ながら顔は美人にはならないけれど、苦労をしっている、味のあるいい顔になりました。
 散歩も下手でしたが、この頃はリードを持つ私たちの顔をときどき見上げつつ歩くようになりました。私たちをリーダーと認めてくれたのでしょう。
 夫婦と一匹で散歩に出ると、夫とくるみは足の運びが早いので、短足の私は遅れ気味になります。すると曲がり角でくるみは振り返り、私が追いつくのを待っていてくれます。家族の一員の自覚がしっかりできてきました。ただ、趣味(?)の拾い食いだけはやめられないようです。
 くるみはもう成犬なので、スーのように長く一緒に過ごせないと思います。それだけに一緒に過ごす一日一日を大切に生きていきたいと思ってます。


平成10年2月19日(スーの命日にて) 前川ひろ子

 

著者紹介

 前川ひろ子(まえかわ ひろこ)  

 

昭和16年5月13日旧満州ハルピンで生まれる。昭和21年引き揚げ。転々とした後、山口県下関市へ。昭和35年山口県立長府高校卒業
昭和40年結婚。昭和45年夫の転勤に伴い栃木県に転居。昭和55年下関に戻り、現在に至る。家族、夫、犬(くるみ)。趣味、短歌を詠むこと、文章を書くこと、犬と遊ぶこと。

 

読者の声

 

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