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■ 発汗健康法 ■


岩盤浴の秘密


遠赤外線とマイナスイオンの驚くべきパワー


五味クリニック院長 五味常明 著  2006.07.29 発行  

ISBN 4-89295-538-8 C2077 四六並製・240頁・定価 1430円(本体 1300円)



若い女性を中心に大ブーム!

全国各地に広がる岩盤浴文化

なぜ岩盤浴は身体にいいのか?

“汗の専門医”がその秘密を

医学的見地から検証した本邦初の書


ダイエットや健康法だけでなく、正しい入浴法、岩盤浴の健全な発展への提言、全国の岩盤浴店舗・施設リストなど盛りだくさんの内容。

 

はじめに より

岩盤浴の秘密


ある年、北海道のテレビ局からの問い合わせで、私は岩盤浴と出会いました。
「今、北海道では、若い人の間でガンバンヨクというものがブームです。人気の秘密は気持ちのいい汗がかけるからです。これはどうしてでしょうか?」
さっそく私自身、岩盤浴を体験してみました。その結果は、汗の専門家の私が驚くほどの、実に気持ちのいい「サラサラ汗」でした。テニスやゴルフのあとでもかけないような汗です。
「岩盤浴は汗かき健康法として画期的な入浴法だ」
そう確信した私は、以来「ガンバンヨク」の素晴らしさや効用を多くのメディアで伝えてきました。そのためか、『岩盤浴の伝道師』などと揶揄されることもあります。岩盤浴の普及を心から願う私としては、皮肉としてではなく好意的に受け止めています。

しかし私は、岩盤浴を布教するつもりも、読者の皆さんを洗脳するつもりも毛頭ありません。なにしろ岩盤浴には、布教も洗脳もまったく必要ないからです。
岩盤浴は、一度でも体験すれば、その素晴らしさをまさに肌で実感して虜になってしまうからです。ことさら私などがフキョウ(布教)せずとも、自然にフキュウ(普及)してゆく、それほどいいものなのです。
しかし、岩盤浴が世間で正しく理解され、健全に発展していくには「とにかく素晴らしいから体験してください」では通りません。多くの人が新しい物事を受け入れるには、カラダだけでなくアタマでも納得できる理屈や理由が必要だからです。
「岩盤浴の伝道師」としての私に与えられた役目は、「なぜ岩盤浴でいい汗がかけるのか?」「いい汗は体にどんなメリットがあるのか?」「逆に、汗をかかないとどうなるのか?」「岩盤浴がなぜダイエットになるのか?」「岩盤浴では自然治癒力が高まるのか?」等の素朴な疑問に医学の立場からわかりやすく説明することです。そして、生まれたばかりの岩盤浴がしっかりと成長するために、正しい方向を示すことだと思っています。

岩盤浴は、日本で生まれた「入浴文化」として誇れるものでしょう。
岩盤浴の発祥は、秋田県の玉川温泉です。玉川温泉は、重い病気を患う人の湯治場として昔から有名です。
しかし、今、ブームとなっている「ガンバンヨク」には湯治のイメージはありません。全国の岩盤浴ブームをリードしてきたのは若い女性です。岩盤浴サロンのほとんどは、リラクゼーションやダイエットのためのウェルネス施設として利用されています。
私はそれでもいいと思います。
ただし、「優れた入浴文化」であるなら、子どもや高齢者も含めたもっと幅広い層の人々も利用できるはずです。岩盤浴は治療施設ではありませんので「○○の病気が治る」とか「××に効く」などの効能を謳うことはできません。しかし、本書で説明するように、岩盤浴の遠赤外線とマイナスイオンの相乗作用は、身体を芯まで温め、いい汗をかける体質をつくり、代謝力を高め、血行を盛んにして、体内の毒素も排出し、免疫力や自然治癒力を向上させてくれます。つまり、岩盤浴は、「デトックス」や「アンチエイジング」ともなるのです。
だからこそ岩盤浴は、決して若い女性だけの独占物ではなく、元気な人も健康がすぐれない人も、老若男女を問わず、手軽に利用できる「発汗健康法」なのです。
私は、近い将来、岩盤浴施設が全国の主要な都市の駅前にあまねく出現することを「予言」します。そのような岩盤浴は、「湯治のための岩盤浴」とは全く違った、新しい入浴文化としての「駅前岩盤泉」といってもよいでしょう。
岩盤浴が、一時的なブームを越えて根づいていくなら、汗をかけなくなった現代人にとって、今まで考慮もされなかった「発汗して健康になる」という新しい健康法が国民の健康増進に貢献してくれることでしょう。

この本は、これから岩盤浴を利用しようとする人、今まで以上に岩盤浴について知りたい人へのガイドラインとして書きました。さらにこの本をさきがけとして岩盤浴が浸透し、今後日本人の新しい生活文化となるなら、汗の専門医としてこれにまさる幸せはありません。

 

 

目 次



  はじめに

 

 第1章 岩盤浴って、なに?


      岩盤浴の黄金コンビ「遠赤外線」と「マイナスイオン」
      岩盤浴の隠し味――マイナスイオン
      岩盤浴の主役――遠赤外線
      岩盤浴は「人間炭火焼き」である
      岩盤浴の温熱効果は深く、長く続く
      岩盤浴にはどんな鉱石がある?
      暑くないのにたくさんの汗が出るのはなぜ?
      岩盤浴は「入浴文化」である
      岩盤浴の湿度設定は微妙
      岩盤浴は「蕎麦打ち」である


 2章 汗と岩盤浴


      ちゃんと汗をかけない時代
      汗はなくてもいいの?
      体温を調節する仕組み
      人類の文明は汗のたまものである
      汗をかかないのは退化の証拠
      汗をかけないと「変温人間」になる
      汗腺の退化による病気の連鎖
      汗をかけないとヒトが滅びる?
      汗をかけないと病気の引き金になる
      岩盤浴の汗は代謝力を高める
      岩盤浴の汗はなぜ「サラサラ」なのか?
      岩盤浴の汗は、なぜ臭くないのか?
      岩盤浴の汗はバランスがいい


 3章 岩盤浴は身体にやさしい


      免疫力を高める岩盤浴
      岩盤浴で改善が期待される病気
      リラクゼーションの意味
      岩盤浴の汗は天然の化粧水
      岩盤浴と不妊症


 4章 横になるだけダイエット


      ダイエットと岩盤浴
      岩盤浴は食事を制限しない「食べながらダイエット」
      岩盤浴は「燃焼系ダイエット」
      岩盤浴は「排出系ダイエット」


 5章 岩盤浴とデトックス


      発汗デトックス
      二つの毒素
      いい汗は毒素を出すの?
      デトックスの本当の意味
      岩盤浴はデトックスの「名将」である


 6章 岩盤浴の上手な利用法


      入浴の時間
      呼吸法
      入浴時の体位
      妊娠したときの岩盤浴
      アルコールは、入浴を終えてから
      岩盤浴と痛みの関係
      高齢者こそ岩盤浴を
      岩盤浴は高齢者に優しい
      低温火傷について
      肌の弱い人と岩盤浴
      岩盤浴後のシャワーは「もったいない」
      汗の乾かし方
      水分補給について
      岩盤浴と高血圧
      岩盤浴で汗の出ない場合
      岩盤浴と熱中症


 7章 家庭でできる発汗浴


      自宅で半身浴
      発汗汗腺トレーニング
      お風呂あがりにもトレーニングはつづきます
      自然素材の入浴剤


 8章 これからの岩盤浴


      高齢者施設と岩盤浴
      盲信は危険
      岩盤浴は「治療法」ではなく「利用法」
      社会に根ざした「岩盤浴文化」を築くために
      スキヤキ。カラオケ。ガンバンヨク



      おわりに


      全国岩盤浴店舗・施設リスト

 

 

おわりに

 

この本の原稿を書き終えた今、本文の内容を修正すべき点が三つあることに気づきました。
一つは、岩盤浴の定義です。

始めのほうで「岩盤浴は湯水のない温浴法」と定義しましたが、これは間違いです。
岩盤浴には、りっぱな湯水がありました……汗です。
岩盤浴は、すっぴんの岩盤に寝転がるだけでなく、じつは汗という天然の温水に全身が浸かる温浴法なのです。岩盤浴を終えたとき、源泉が滔々とあふれる秘湯を味わった気分になるのは、汗という貴重な「湯水」があるからなのです。
今、岩盤浴のおかげで、汗をかく快感に目覚める人が日本じゅうに増えています。温かい自然の鉱石に横たわるだけのシンプルな作法は、きっと世界じゅうの人が受け入れるでしょう。そして気持ちのいい汗をかくことの本当の快感と、その快感が心身に与える医学的な効果も理解されてくるでしょう。

そうなると、二つ目の修正は、この本のタイトルです。
「発汗健康法」より「快汗健康法」が適切だったのです。 

三つ目は、岩盤浴の効能についてです。
本文の中で繰り返しお願いしてきたことですが、岩盤浴は医療機関ではありません。ですから「岩盤浴で……が治る」「……に効く」といった医学的な効能は謳わないよう、特に岩盤浴サロンを経営する方は謹んでいただきたいと書きました。岩盤浴が一時のブームではなく「入浴文化」として末永く健全に普及するためには、それが唯一の道と信じるからです。
しかし、このお願いにも「今はまだ」という但し書きをつけるのが適切でしょう。

私のクリニックのHPには「岩盤浴情報」というコーナーがあります。今、全国から岩盤浴を利用された方の生の声がぞくぞくと届いています。その多くが、「長年の腰痛が治った」「婦人病によかった」など「本物の病気」に効いたという体験談なのです。
医学の世界では、薬でも治療法でも、その効用についてはエビデンスによる実証が必要です。
しかし、実生活の世界では、なによりも実際に「治った」「効いた」という「実感」が意味を持ちます。岩盤浴は今、医学的・科学的検証よりもブームが遥かに先行していますが、そのブームを支えているのは、全国の人たちの生身の実感なのです。
個々の実感も、膨大な数になれば、だんだん一般化してきます。いきおい医療の側も岩盤浴を無視しつづけるわけにはいきません。まずは自然医療や代替医療に取り入れられるようになるでしょう。 「岩盤浴療法」の幕開けです。

「岩盤浴療法」の特徴は、他の療法と併用して相乗効果を上げることにあります。たとえば岩盤浴でダイエットの可能な体質になり、それがベースになって他のダイエット法の効果を高めることです。高齢者の介護予防では、岩盤浴で血のめぐりを促しながら筋肉の動きを柔軟にすることで、その後のリハビリを時間的にもメニュー的にもより負担の軽いものに工夫する道も開けます。

こうした相乗効果は、西洋医学とのマッチングでも期待できるでしょう。岩盤浴が免疫力や自然治癒力を高めることで、これまでの西洋医学のさまざまな治療法が、もっと効果的に、もっと有効になるはずです。私は、いずれ岩盤浴がガン治療の一翼を担う日も来ると思います。そのような時代は遠くないと思いますが、その頃には、各地の温泉場の脱衣室にその湯の「効能」が表示されているように、岩盤浴サロンの待合室にもその石の「効能掲示」が一般化されるかもしれません。
岩盤浴の効能を晴れて堂々と謳う時代の到来です。

この本が、岩盤浴の新しい時代への架け橋となるなら、著者にとって望外の光栄です。

 

 

読者の声 ニュース

 

著者紹介

 著者 五味常明(ごみつねあき)

 

医学博士
五味クリニック院長
体臭・多汗研究所所長

1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。
体臭・多汗治療の現場で実践。ワキガの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。TVや雑誌でも活躍中。
主な著書・監修書に「体臭恐怖」「デオドラント革命」「新・もう汗で悩まない」「楽しくなければ介護じゃない!」「目からウロコの「男の子」育て」「岩盤浴の秘密」「介護・臭いで困っていませんか」(共著・講談社)「40代からの気になる口臭・体臭・加齢臭」(監修・旬報社)「読むだけで汗が少なくなる本」(講談社)「汗をかけない人間は爬虫類化する」(祥伝社)などがある。

 

 

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