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■ ハート出版の犬と人シリーズ ■


犬に尊敬される飼い主になる方法


ドンとハリーの飼い主しつけ教室


マルコ・ブルーノ 著 2003.05.14 発行  

ISBN 4-89295-475-6 C0036 四六並製・224頁・定価 1430円(本体 1300円)

 

はじめに

犬に尊敬される飼い主になる方法―ドンとハリーの飼い主しつけ方教室

飼い主がタコなら、
       その犬もタコ

 しつけ……? ちょっと待ってよ!
 自分の子どものしつけもちゃんとできないのに、犬のことになると、日本人はやたらとしつけにこだわりたがる。
 支配コンプレックスだよね、これは。
 ご飯をあげる前に、「オテ!」「オカワリ!」「ゴロン!」
 腹が減っているから、犬はしかたがなく、このくだらない命令に従うフリをするが、内心は「バカヤロ! ガタガタと言わずに飯を置いてくれ!」と思っているにちがいない。
 人間の子どもにおなじことをやってみればいい。
 ブーブー文句を言われるはずだ。この無意味な「しつけ」が、どれほどくだらないものなのか、子どもたちの反発からわかるはずだ。
 愛犬のしつけはなんのためにやるのか、そしてどんな内容のしつけが必要なのか、必要ないのか、それを考えるのは飼い主の役目でもあるし、責任でもある。
 なにも考えずに、ただ流行の犬が欲しいという無責任な飼い主が多いせいで、日本の犬たちの悲劇は終わることがない。
 はっきり言って、犬のしつけより、まず飼い主のしつけが重要だ。
 飼い主がタコだったら、その人の犬もタコになる可能性が高い。
 わたしは毎年、日本各地から講演を頼まれ、日本の動物問題や犬の正しい飼い方について話す。講演の終わりごろ、質疑応答の時間になるとかならずと言っていいほど、次のような質問が飛びだす。
 「先生は先ほどから、犬って利口な動物だと言っていますが、うちの犬は言うことを聞いてくれないバカなんです。どうしたらいいのでしょうか?」
 それに対して、わたしの答えはいつもおなじ。
 「犬は飼い主にだんだん似てくるから、それはしかたがないですね」
 犬は飼い主の心の窓だ。もし、これを読んでいるあなたが、いままで自分の犬のことを「バカ」「言うことを聞かない頑固者」「性格が悪い」などと思っていたら、要注意。
 自分の顔を鏡の前で見つめながら、「なぜ、わが家の犬はバカなんだろう?」と考えてみる必要がある。
 答えはすぐ見つかる。
 なぜかというと、その答えは鏡のなかからあなたを見つめているからだ。
 犬にはバカもいなければ、性格の悪い犬もいない。
 飼い方や接し方によって犬は敏感に変化する――よいほうにも、悪いほうにも。
 もうひとつ、日本の独特な悪習だが、自分が偉いということを暴力で示す人がいる。自分より強い相手に対してはヘコヘコするくせに、弱い者に対しては威張っている大バカ者がたくさんいる。
 女房に対する暴力、子どもに対する暴力。日本ではこうした家庭内暴力が、社会問題になっている。
 ふるわれる暴力は、弱い人間に対してだけではない。飼っている犬に対しての暴力も多い。弱いものへの暴力――日本では、けっしてめずらしいことではない。
 ところが、飼い犬は、毎日、ぶたれたり、蹴っ飛ばされたりしていても、動物虐待として、飼い主を訴えることができない。人間の言葉をしゃべれないからだ。飼い主はそれをいいことに、
 「俺は犬のしつけをしている」
 と平気な顔をしている。他人が注意しても、「いい犬にするための、訓練。いわば愛情表現です」などと言う。しかも、だれから見ても、これは動物虐待だと思うようなことでも、動物愛護法には虐待の定義がはっきり書かれていないので、「しつけ・訓練」として片づけられてしまう。
 犬たちにとって不幸なことに、日本にある犬の訓練所の多くは、暴力、つまり「恐怖」がまかりとおっている。これをあたり前と、訓練士たちは考えている。
 ぶたれると痛いから、犬は言われたことに従う。しかし、犬は言われていることを理解して、従っているのではない。それは、大きな間違いなのだ。
 そう、日本人のしつけに対しての考え方はその程度だ。
 えッ? その程度とはどんな程度なのか?
 聞かなくてもわかるだろう……最低だということ。
 なににおいても、暴力は最低の手段だ。とくに、自分より弱い相手に対して暴力でもって自分の権力を示すということは、文化人・文明人のやることではない。
 日本の二千年の歴史が泣くぜ!

 あらためて、ここで犬のしつけについて、確認しておこう。
 しつけはなんのために必要なのか?
 しつけの内容はどうあるべきか?
 大きくわけると、それは飼う目的によって異なる。仕事犬の場合、しつけというより、数段レベルの高い訓練が必要だ。
 警察犬、救助犬、介護犬、盲導犬、などなど。
 これらの犬たちは、人間の社会に貢献するために厳しい訓練を受け、私たちの生活空間のなかで活躍してくれる。
 さて、仕事犬ではない犬たち、一般的に家庭犬またはペットと呼ばれている犬たちの役目は、人間の救助や介護ではなく、私たちの生活のパートナーとして心の安らぎや、ゆとりを与えてくれるために飼われている。
 つまり、家庭犬という犬は私たちのそばにいるだけで、本来、求められている目的をじゅうぶん果たしているわけだ。
 だからしつけというのは、家庭犬に人間との共存のためのルール、他人に迷惑をかけない、飼い犬の生命を危険にさらさないための行動などを教えるだけでいい。それだけで立派に役目を果たしてくれる。
 プロなみの芸も必要ないし、厳しい訓練も不要。
 しかし、だからとって、基本的な知識のない人が犬を飼いはじめるのは、大いに問題がある。犬は生きものなのだ。電池が切れたから、取り替えるとか、どこかが壊れたから、粗大ゴミで捨てる、というわけにはいかないのだ。人間の赤ん坊を育てるのと、そう大差はない。だが、「衝動飼い」する人があとを絶たない。
 知識のない飼い主は、犬になにを、どのように教えるのだろうか?
 わたしは、そのことを考えると、恐ろしくなる。

 社会性のある家庭犬に、どうしたら育つのか?
 他人に迷惑をかけないために、どういう飼い方がよいのか?
 飼い犬の生命を危険にさらさないで、事故や病気からどうやって守るのか?
 健康で長生きさせるためには、なにを食べさせればよいのか?
 愛犬のためにどんな健康管理が必要なのか?

 犬を飼いはじめると、このような疑問が雪崩のように押し寄せてくる。そしてこれらの疑問に答えられず悩みはじめると、犬との共存は失敗への道を歩むことになる。
 失敗したツケは、けっきょく、犬にくる。
 「犬を飼わなければよかった!」と思っている飼い主は山ほどいる。冗談じゃない。犬こそいい迷惑だ。「こんな人間に、飼われなければよかった!」と思っている。
 だが、思うだけで言葉に出せない。警察にも保健所にも、裁判所にも訴え出ることができない。飼い主は、自分の責任には知らん顔で、犬を捨てたり、あるいは保健所にもっていってしまう。
 悪いのは犬たちではなく、なにも考えずに無責任に犬を飼いはじめる人間だ。人間が悪いのに、犬たちが悲惨な目にあわされたあげく、無惨にも殺されてしまうのだ。
 どう考えても、納得のいかない話だ。
 原因をつくった無責任な飼い主を殺処分するのであれば、理解できるけど……
* * *
 さて、そろそろ本題に入っていかないと、『マルコの東方犬聞録』の第二作になってしまう。
 もう気がついたと思うが、今回の本は「犬のしつけ」ではない。『飼い主のしつけ』についての本だ。
 現在、犬を飼っているあなたが、毎朝、鏡のなかに映る自分の顔を見つめながら、「どうしてわが家の犬は頭がいいのだろう?」と自慢できるために、そしてこれから犬を飼うと思っているあなたが、「ほんとうだ……飼い犬を見れば、飼い主がわかる」と他人に言われるために、しっかり読んで勉強してほしい。

 

 

目 次

 

 

マルコの「はじめに」
――飼い主がタコなら、その人の犬もタコ

ドンとハリーの「はじめに」
――ぼくたちが人間を教育してあげないとダメだ

飼うか、飼わないか、それが問題だ!
――それなりの心構えと責任を果たす覚悟が必要だ

飼い主になるための心がけ
――家族の一員として迎える気持ちが大切

家族の一員? それとも家畜や獣?
――ぼくたち犬は、あなたの大切なパートナー

新しい家族のための準備
――生活用品のえらび方や、よい獣医師の見つけ方

ボスはだれだ?
――上下関係をはっきりさせないと、ぼくらとの信頼関係は結べない

ション便とウンコの話
――家庭犬に排泄のがまんをさせないでほしい

ご飯はまだかい!?
――ペットフードより自分でつくれば安心

健康管理のABC
――動物病院での予防接種は大切な健康管理

いい湯だな
――お風呂は、夏は月二回、冬は月一回程度

ノミがいたぞ~!
――定期的なシャンプーやブラッシングは、ノミの予防

散歩の楽しい一時
――毎日の散歩は社会勉強にも役立つ

ウンコを拾いましょう
――他人に迷惑をかけるのは、ルール違反

心のケアを忘れないでね
――犬も人間とおなじように、デリケートな命

芸はクソくらえ!
――ぼくたちは芸能人でも、サーカス団の一員でもない

立派な社会犬とは
――学習さえ受ければ、立派なパートナーに成長する

会話が楽しい
――飼いはじめたら、まず、よく話しかけてほしい

旅は道連れ
――家に犬がいるから旅に出られない? なんでそうなっちゃうの?

家に帰りたい!
――犬が迷子になったら……

・あとがき

・感謝文

 

 

目 次

 

 

 さて、みなさん、ドンとハリーの心こもった語り口はどうだった? ハリーはむかしから少し乱暴な話し方をしている。もし気にさわったところがあったら、許してあげてね。ほんとうは心のやさしいヤツだ、わが家のハリーは。
 最初はわたしが書こうと思ったが、どうしたって、説教調になってしまうし、どっかの外国人にネチネチと文句を言われるのも、気持ちのいいものではないだろうし、角が立つかもしれない。
 まぁ、けっきょくは、犬自身がどんな飼い主を望んでいるのか、いちばんよく知っているはずだ。だから、本人たちの考えを直接表現してもらったほうが、わかりやすいし、インパクトがあると思って、ドンとハリーの胸の内を聞かせてもらうことにした。
 わが家の子どもたちは、みんな思い出したくない過去がある。
 つらい経験を乗り越えて、この大家族の一員になった。しかし彼らはラッキーな犬たちのひとにぎりにすぎない。
 日本で飼われている犬たちにインタビューできたら、どんなことをしゃべるだろう? 飼い主に感謝していること? 意地悪されていること?
 この人に飼われてよかった、と胸を張る犬たちはどのぐらい、いるのだろう。
 日本の動物の現状を考えると、そういう犬は少ないような気がするなぁ。
 犬のシツケのまえに、やっぱり、「飼い主のシツケ」が必要だね。
 ところで、わたしは日本の飼い主の知識のなさとマナーの悪さを嘆いているけど、それじゃ、ヨーロッパの飼い主たちはどうなんだ、と聞かれると、ちょっと困る。
 というのは、みんなマナーがよくて犬を大切にしている人たちばかりだと、胸を張れないからだ。
 社会が、動物にやさしいヨーロッパでも、飼い主のなかには、犬を虐待したり捨てたりする人たちがいる。
 それじゃ、日本とおなじではないか、と思われるかもしれないが、ちょっと、待った。
 大いにちがうのだ。
 まず、日本と比べると、ひどい飼い方をする人たちの数はぜんぜん少ないのが第一点。
 犬を捨てる人たちも少ない。これも一点だ。
 そして、流行を追って犬を購入する人たちも少ないのも一点。
 最後に、いちばん大きなちがいは、犬に対する人間社会の受け入れ方だろう。ヨーロッパは、動物と共存しやすいよう開放的にできている。愛犬と一緒に町に出かけても、追い返されることはめったにない。
 だから、飼い犬を日常的につなぎっぱなしにしたり、しつけと称して、たたいたりする飼い主は、国の法律と、周囲の目が黙っていない。すぐに通報されるし、場合によっては逮捕され、高額の罰金やら懲罰もある。
 ヨーロッパのこうした動物と人間の共同社会は、一朝一夕につくられたわけではない。長年の経験に基づいた教育が必要だったことはいうまでもない。子どものときからの教育で、動物と人間がどうかかわりあったらいいのか、じっくりと教え込まれた成果なのだ。
 そう、つまり……学校でも、家庭でも行なわれてきた教育、しつけ。それはまさしく今回のテーマである、人間の教育、人間のしつけなのだ。
 とくに、学校へあがるまでの家庭内の教育がいちばん大切な教育だ、とわたしは考えている。思いやり、やさしさ、幼い命に対する恐れなどは家で学ぶべき。
 人間の考え方ひとつで、社会も行政も法律もかわる。その出発点になる考えが間違っていたら、すべてが間違った方向へ動き、日本のような動物に対する閉鎖的な社会ができあがってしまう。
 日本はもう一度原点にもどって、子どもたちの教育、社会のあり方、国の方針、個人のモラルなどを考え直す必要がある。そうしないかぎり、日本はいつになっても先進国の仲間入りを果たせないだろう。




    現在、犬を飼っているあなた、
      これから犬を飼いたいと考えているあなた、
              自分の犬に誉められる飼い主になってくださいね。

                              マルコ・ブルーノ



 

 

著者紹介

 マルコ・ブルーノ (Marco Bruno) 

 

1945年、オーストリア生まれ。20歳のときに来日し、以来37年。映画「ナイル殺人事件」の主題歌などを作詞する他に、翻訳や童話執筆、プロの写真家としても知られ、多彩な活動を展開している。著書にポプラ社刊「ペットはぼくの家族」。ハート出版刊「マルコの東方犬聞録」「幸せな捨て犬ウォリ」「犬に尊敬される飼い主になる方法」などがある。 現在、犬や猫の里親探しに奔走、日本の動物行政の不備を見かねて、その改革に立ち上がっている。犬や猫に限らず、いのちあるものを「物」としか見ない日本の行政や、今の日本人の感性に疑問を持ち、昨今の青少年の心の荒廃は、こうした動物蔑視、いのちの軽視に原因があるのではないかと、考える一人である。 なお動物愛護支援の会のHPで会員募集、里親探しを行っている。

 

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「痛快!エブリデイ」にマルコさん出演

2004.03.06

外国から見た日本の動物愛護~ここが変だよ!日本の犬事情~

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2003.07.18

犬に尊敬される飼い主になる方法(足立よみうり2003.7.18)

2003.06.18

飼い主のしつけ本(東京新聞夕刊2003.06.18)

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犬のために何ができるだろうか?マルコ・ブルーノ(いぬのきもち2003年2月号)

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最優秀賞 マルコの東方犬聞録を読んで  宇田美津江

 

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