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旨い!手打ちそばに挑戦


老舗の元主人が教える「江戸手打ち」の技法・その2


おいしいそばとは、腰が立って、歯切れがよく、ピンとしていながら、
上前歯と下唇で軽くおさえるとフッツリ切れ、
香りが喉の奥に残るようなものを、理想とします。
「手打ちそば教室」が人気だが本物とは程遠い「ズル玉」ばかり。
「木鉢下」から「くくり」「伸ばし方」「茹で方」まで、
人気コミック「そばもん」監修者、藤村和夫が教える、本物のそばの技術。
プロもおもわず納得。役立つ秘伝がいっぱいの1冊。
自慢の麺で、友人ご近所におもてなし!


藤村和夫 著 2000.05.17 発行  

ISBN 4-89295-162-5 C2077 A5並製・112頁・定価 1430円(本体 1300円)

 

まえがき

旨い!手打ちそばに挑戦自慢の手打ち蕎麦で友人ご近所におもてなし!人気コミック「そばもん」監修者・藤村和夫による手打ちソバ本の決定版!

 

「そば作り」はますます流行のようです。
先日、ある雑誌を見ましたら、そこに何と、三十二軒の「そば打ち教室」が掲載され、地域は北海道から熊本県まで、昔はそば嫌いの京都、大阪にまであるのにびっくりしました。

結構なことといいたいところですが、年寄りから見ますと、不安がないでもありません。
先日、「蓮玉庵」の旦那が、「ネエ、藤村さん、近頃の手打ちは、ろくに『くくれ』もしないし、あんなに打ち粉を打っているのはズル玉だよ、もっと注意してやりなヨ。」などと、門外漢には意味不明ですが、商売人には通じる苦情をいっておりましたが、ブームが急激で、指導者も少なく、素人さんばかりで蕎麦を打っているので、「手元を見る」とたとえ写真でも、蕎麦のおいしさは分かりますから、確かにそういった懸念が感じられます。

「手元を見る」というのは、蕎麦をこしらえているところを見るということですが、「器用に作っている」ということではなく、「水加減」、「こね加減」、「火加減」、「茹で加減」を一瞬にして見てしまうことです。

昔、現役の頃、そば屋の店先をスッと通り抜ける時、横目でチラリと見て、「ダシの匂い」や間口、自転車の台数で、材料から大体の売上げまで推察したものです。

しかし、そば屋は、いつの時代でも、混乱期には新規参入が多い職業で、親子代々は少なく、長く修行しての暖簾分けより、見よう見真似か、簡単な手ほどきで開業するケースが多いのは、戦後の物のない時代に、「そば屋なら誰でもできるヨ」と、食べ物でさえあればお客が詰めかけた時代に実例があります。その昔ですと、「御維新」後に、職を失った人が参入したらしく、その頃の開店で、山岡鉄舟とか、勝海舟が名付親という老舗もあります。

手打ちそば自体も、昭和十年頃には跡を絶ちました。「手打ちそば」は、本来、「手でこね」、「手で伸ばし」、「手で切る」の三つの作業から成り立ちましたが、最初に「伸ばす」のと「切る」のが機械化され、「手でこねる」方は、終戦直前まで大多数を占めていたのです。それが、戦後の超繁忙期には、「手でこねるのは不潔である」と、お役所に止められ、機械でこねないと営業許可が下りなくなりました。そこへ、新規参入です。

「木鉢」と呼ばれる「手でこねる」技術を知っている人はまだ大勢いましたが、大部分は知らない人ばかりになりました。

手打ちそばが復興したのは、昭和二十五年以降のことです。先ほど出た「蓮玉庵」の沢島さんのお父さんとか、神田錦町の「布屋更科」の堀井亀雄さんが、若いそば屋の主人に手打ちそばをじっくり教え、その頃「手打ち一筋」で開店したのが、現在有名な須田町の「松屋」です。

これが江戸手打ちの復興で、その後、足利の「一茶庵」の流れの方も増えました。早くいえば、今の手打ち店のほとんどが「初代」なのです。それも、「手打ち」の暖簾で長く修行された方というと、数えるほどしかおりません。まあ、それからもう五十年近く経っていますから、もう、技術は定着したといってよいでしょうが、「木鉢三年」という、その「発端の技術」を問題にしているわけです。

私自身も、手打ちはそれこそ五十年前に初めて教わりました。しかし、幸いに「木鉢」は年季の入った人から教わりました。ですから、「最初の一歩」をしっかり踏み出してほしいのです。


 

目 次

 

まえがき

蕎麦粉を取り寄せる
あると便利な道具類
蕎麦の「割り」
「割粉」と「木鉢下」
木鉢下の効用
つなぎを入れる理由
水だけでこねた蕎麦の構造
土産土法
ソバの「ヌキ」と「星」
木鉢(蕎麦もみ)の技術
蕎麦粉の種類
加水量
加水方法
だましだまし均一にする方法
くくり
ツラ出しとヘソ出し
玉子つなぎ
山芋つなぎ
植物繊維のつなぎ
丸出し
角出し
幅出し
伸ばす
畳む
切る
生(なま)の性質
茹でる
茹で上げ後の処理
つなげにくい粉
つながらない粉のつなげ方
「蕎麦がき」の作り方
蕎麦がきつなぎ
蕎麦作りの醍醐味
能書きの楽しみ
汁の能書き
薬味の能書き

おわりに

 

 

おわりに

 

蕎麦は、一通りのやり方が「割合、手早く」出来れば、あとは「つながる蕎麦粉」さえ手に入れば、なんとか格好がつく「加工食品」であることはお分かりいただけたかと思います。

「旨い、不味い」は、「日本人」であれば本能的に判断出来るはずです。しかし、現代はむしろ「情報過多」で、「口で味わう」より「頭で食べる」方が主流になり、あげくの果てに「本当においしいお蕎麦」を食べたことがない人も増えています。

こんな時には、むしろ原点に帰って、ご自分で「江戸前の木鉢」で生蕎麦をこしらえてみて、「切り立て」では茹でず、「三返り」で「煮え前」でなくあげ、しっかり「洗って」「小チョボ」に取り、「一水切った」蕎麦を食べて、ご自分の口で覚えられ、それから蕎麦店の蕎麦を食べ比べてみて、次第によったら「この店はいくつ星か」などをご指摘いただければ、蕎麦屋ももっと勉強するようになり、それとともにあやしげな信仰も薄れ、古い暖簾の蕎麦屋もやりやすくなるかと期待いたしております。

昔は先輩が店に連れて行って、ご馳走しながら能書きを教えてくれましたが、最近では、店主がシャシャリ出て、自分に都合の良い能書きを押し付ける傾向が強いようです。

こうしたことは、なかなか「現役」で営業していては申しにくいことですが、商売を離れると、安心して勝手なことをいうことが出来ます。

これが「隠居」の余得でしょう。

 

 

著者紹介

 藤村和夫(ふじむら かずお) 

 

1930年、東京都生まれ。「有楽町・更科」4代目。蕎麦の技術や歴史に造詣が深く、軽妙な語り口と文体には定評と人気。蕎麦職人のご意見番的な存在で麺業界に貢献。第1回そば文化大賞受賞。2011年永眠。
著書に、 『だしの本』 『蕎麦つゆ江戸の味』 『麺類杜氏職必携』 『改訂版・そば屋の旦那衆むかし語り』 『図解・旨い! 手打ちそばに挑戦!』 『図解・旨い! 手打ちうどんに挑戦!』 『蕎麦なぜなぜ草紙』 『蕎麦全書伝』 (以上ハート出版)、『蕎麦屋のしきたり』『江戸蕎麦通への道』(NHK出版)、『さらしなの暖簾に伝わる変わり蕎麦』(家の光協会)など多数。『そばもん―ニッポン蕎麦行脚』(ビックコミックス)の監修をつとめる。

 

おすすめの本

そばつゆ江戸の味

蕎麦なぜなぜ草紙

だしの本 改訂新刊

改訂版そば屋の旦那衆むかし語り

旨い!手打ちうどんに挑戦

そばしょくにんのこころえ

 

 


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