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■ ドキュメンタル童話シリーズ犬編 


高野山の案内犬ゴン

山道20キロを歩き続けた伝説のノラ犬

1200年前の伝説の名犬が現代によみがえった

ふしぎな、ふしぎな白い犬。
ふらりとやってきて、ただひたすらに、
人々を山の向こうの高野山まで
案内した犬。

日本図書館協会選定図書

小学校中学年以上向き


関 朝之 作 2003.07.23 発行  

ISBN 4-89295-295-8 C8093 A5上製・144頁・定価 1320円(本体 1200円)

 

はじめに

高野山の案内犬ゴン

 その犬の名前は「ゴン」といいました。ゴンは、和歌山県九度山町に、ふらりと現われた白いノラ犬です。
 平成元年、そのオス犬は、誰が教えたわけでもないのに、町のお寺・慈尊院から、弘法大師の御山である高野山まで、参拝者をガイドしはじめました。
 けれども、お寺の住職・安念清邦さんは、小さいころから犬が嫌いでした。それでも、ゴンはお寺にやってきては、参拝者たちの道案内をつづけました。二〇キロはなれた高野山までつづく山道を歩くゴンのすがたに、さすがの犬嫌いの住職も、心引かれるものがあったのでしょう。やがて、住職はゴンの飼い主になることを決意しました。
 歳月が流れ、ゴンは多くの人々から「お大師さんの犬」「弘法大師の使いの名犬」とよばれるようになりました。
 犬が嫌いだった住職が飼い主になったのは、ゴンが「えらい犬」だったからでも「立派な犬」だったからでもありません。住職にとってのゴンは、かけがえのない「家族」「友人」だったからです。
 平成一四年、ゴンは、この世を去っていきました。その後、この雑種犬は石像となり、その「やさしさ」をいろいろな人が語り継いでいます。
 そんなゴンの生涯とは、どのようなものだったのでしょうか……。

 

 

目 次

 

 

     はじめに


     町に現われたノラ犬

     ガイドをはじめたゴン

     高野山への案内犬

     住職の飼い犬へ

     帰ってこないゴン

     ガイド犬ゴンの引退

     「ゴンちゃんお守り」の登場

     ゴンの二代目? その名は「カイ」

     さよなら、ゴン

     ゴンよ、永遠に


     おわりに 〜「会いたい」という気持ちは時空を超えて〜

 

 

著者紹介

 関 朝之(せき ともゆき) 

 

1965年、東京都生まれ。城西大学経済学部経済学科、日本ジャーナリストセンター卒。仏教大学社会学部福祉学科中退。スポーツ・インストラクター、バーテンダーなどを経てノンフィクション・ライターとなる。医療・労働・動物・農業・旅などの取材テーマに取り組み、同時代を生きる人々の人生模様を書きつづけている。2006年、「声をなくした『紙芝居やさん』への贈りもの」で「第1回子どものための感動ノンフィクション大賞」優良作品賞受賞。
著書に
瞬間接着剤で目をふさがれた犬 純平』(ハート出版)
えほん・めをふさがれたいぬ じゅんぺい』(ハート出版)
タイタニックの犬 ラブ』(ハート出版)
救われた団地犬ダン』(ハート出版)
えほん・だんちのこいぬダン』(ハート出版)
のら犬ティナと4匹の子ども』(ハート出版)
ガード下の犬ラン』(ハート出版)
高野山の案内犬ゴン』(ハート出版)
のら犬ゲンの首輪をはずして!』(ハート出版)
学校犬マリリンにあいたい』(ハート出版)
植村直己と氷原の犬アンナ』(ハート出版)
愛された団地犬ダン』(ハート出版)
いのちのバトンリレー』(ハート出版)
『歓喜の街にスコールが降る』(現代旅行研究所)
『たとえば旅の文学はこんなふうにして書く』(同文書院)
『10人のノンフィクション術』(青弓社)
『きみからの贈りもの』(青弓社)
『出会いと別れとヒトとイヌ』(誠文堂新光社)
など。

 

おわりに

 しずかな町に、ある日ふらりと現われたノラ犬が石像になり、人々に語り継がれるようになりました。けれども、この『高野山の案内犬ゴン』は、〈かしこい犬、えらい犬、有名な犬、長寿犬……と、よばれていた犬が、石像になりました。めでたし、めでたし〉というお話ではありません。
 ぼくは、慈尊院から高野山までつづく山道を歩いてみました。この高野町石道は平成十六年六月には、世界遺産となる予定だと聞いています。この山道は、ますます有名になり、多くの人がやって来るようになるのでしょう。
 けれども、この山道は楽に歩きとおすことはできませんでした。
 歩いても、歩いても、高野山は、はるか彼方に感じられました。それに、その途中で出合ったのは、トカゲやヘビ、クモでした。
 ぼくは、この高野町石道を黙々と歩きながら思いました。
 ゴンがかしこいだけの犬だったら、こんなにたいへんな思いをしないのではないだろうか、と。
 なにも見返りを求めず、こんなつらい思いをしてまで人を案内するには、きっと「やさしさ」がなければできないのではないだろうか、と。
 だからこそ、ゴンは多くの人たちに、いまも語り継がれているのでしょう。
 それと、この『高野山の案内犬ゴン』を書き進めているうちに、ぼくはこんなふうに思いはじめてきました。
 ゴンは弘法大師のおかあさんの生まれ変わりなのではないか、と。
 この道の先に自分の息子がいると知っていながら、歩くことが許されなかった高野町石道。おかあさんは、その山道を歩いて、どんなにか弘法大師に会いに行きたかったことか。いくらえらい僧侶といえども、おなかを痛めた自分の子どもです。あの道を歩けたなら……。
 けれども「会いたい」という気持ちを抱いたまま、弘法大師のおかあさんは、この世を去りました。
 その想いが、1100年以上の時を超えて、「白い犬」となって、思う存分にあの道を歩いたのでないだろうか……。この世で思いどおりに会えなかった人に「会いたい」という気持ちは、巡りめぐって、いまでは石像となって親子がいっしょにいる……。
 もちろん、これはぼくの想像です。ほんとうのところは、誰にもわかりません。ただ、そんなことがあったらいいなという、ぼくの「願い」が生んだ空想なのかもしれません。

 命あるものは、いつかはこの世を去っていきます。しかし、おぼえている人がいるかぎり、その命は生きつづけているのではないでしょうか。
 また、大切な人と会えないまま、この世をはなれていったのなら、その「会いたい」という気持ちは、なにかに形を変えて現われるのかもしれません。たとえば、人が犬にすがたを変えて……。

 そんな「想い」というより「願い」をこめて、この『高野山の案内犬ゴン』を書いてみました。
 この物語を読んでくれたみなさんが、「どこにでもいそうな白い犬」を見かけたとき、そんなことを少しでも思い出してくれたら幸せです。
 ひょっとしたら、その犬は、あなたに会うために、誰かが生まれ変わったすがたなのかもしれません。

 

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