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■　ハート出版の児童書　■

いのちはどこに入ってるの？

「あたまかな？　むね？　おなか？」
とても純粋な気持ちをもっている
幼い子どもに、どう答えますか？

「人は死んでも生き返る」
と思っている子どもたちが２割！

「おもちゃだから生き返ったのよ。でも、人間はちがうからね。
いのちは一度でも抜けちゃったら、もう二度と、もどってこないんだからね」
――いのちの大切さをファンタジックに描く。

秋田県よい本をすすめる会特選図書

第１０回ほたる賞受賞作品

小学校低学年以上向き

竹内　亨　作・早稲本雄二　画　　2006.07.29　発行　　

ISBN 4-89295-546-9 C8093　Ａ５上製・64頁・定価 968円（本体 880円）

　詩情に満ちたファンタジックな物語。
　大切なおもちゃを失くした少年の子どもらしい悲しみが、美しく優しい文章で描き出されています。おもちゃが、プラスチック製の恐竜骨格模型だというおもしろい設定が、フレッシュで不思議な効果をも与えています。
　作者のあとがきによれば、これは実際に起きた出来事だったということ。しかし、作者は、その現実の素材を見事な冴えでサスペンス豊かな物語の世界に移し替えておられます。
　一方で、作者の自在な空想力は、物語の空間を純化し、一篇の詩としても際立たせておられるようです。童話の原質は、本来、「詩」であったことを、作者はよく心得ていらっしゃるのだと思います。畏敬の念を抱いて読ませていただきました。

「とべないホタル」著者　小沢昭巳

　日々育っていく子供を見ていると、子供の頃の自分を思い出し、今の自分を��子供という鏡�≠ﾉ映していることがよくあります。自分はすごく頑固で言い出したら聞かなかったとか、でもとても純粋な気持ちを持っていて、大人から見ると些細なことで傷ついたり涙したりしたとか…。
　この童話も、子供との日常のひとコマから生まれたものです。作中と同様に恐竜のおもちゃが、当時５歳だった息子のリュックから落ちてしまいました。そして、それに気づいて戻った時には車にひかれて粉々に！　その時の息子の悲しみようは、大人には想像もつかないものでした。それはたかがおもちゃでしかないのに、息子は本当に命あるものを失ったかのように慟哭したのです。
　この出来事は息子にとって、育っていく過程でたまたま立ち寄ったひとつの駅にすぎないかもしれません。心から愛しんだり悲しんだりする感情も、いずれ忘れてしまうでしょう。ですが、できれば忘れてほしくないものです。そこで、この出来事を切り口に、ほたる賞のテーマである��命の輝き�≠�描きたいと考え、物語にしてみました。
　そういう意味では、この童話は息子が私にくれたプレゼントでもあり、息子への私からのお返しでもあります。いつか息子がこの物語の中に、成長した自分と幼い自分の姿を重ね合わせて見られるように。自分を映す鏡とすることができるように。少しでも多くの子供たちに、命を愛しむ純粋な気持ちが共感をもって伝わることを心から祈っています。

第１回ほたる賞受賞作　翔べ！心のホタル

第２回ほたる賞受賞作　あの人に伝えたいこと

第３回ほたる賞受賞作　私のいじめが消えた日

第４回ほたる賞受賞作　こうぼ　とべないホタル

第５回ほたる賞受賞作　ゴムの手の転校生

第６回ほたる賞受賞作　ぼくはゆうれい

第７回ほたる賞受賞作　星をまく人

第８回ほたる賞受賞作　チビちゃんの桜

第９回ほたる賞受賞作　おかあさんのパジャマ

第10回ほたる賞受賞作　いのちはどこに入ってるの？

第11回ほたる賞受賞作　メル友からのメッセージ

第12回ほたる賞受賞作　りそうのくに

第13回ほたる賞受賞作　となりのトンコやん

第１回ほたる賞応募作　いじめを考える作文集

■　竹内 亨（たけうち とおる）　■

１９５７年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。広告代理店でＣＭプランナーおよびクリエイティブディレクターとして勤務のかたわら、漫画雑誌の原作・脚本を中心に活動。2006年から執筆活動に専念。

■　画家紹介・早稲本雄二（わせもと ゆうじ） 　■

１９４８年、広島県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。映像関係の会社に入社後、フリーのイラストレーターとして活躍。デビュー作品で、日本クリエイティブ協会イラスト挿絵部門賞受賞。現在は主に教科書や児童書を手掛ける。