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子どもの心が聴こえますか?
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■ ハート出版の教育書 ■ 子どもの心が聴こえますか? 子育て3つのキーワード 自殺、殺人、傷害…子どもに危機が迫っている! 富田富士也 著 2004.11.05発行 ISBN 4-89295-503-5 C0037 四六並製・224頁・定価 1430円(本体 1300円) |
まえがき |
インターネット社会といわれます。 携帯電話とメールは、現代社会では欠かすことのできない存在です。 子ども社会も、ネット文化に染まっています。ネットや携帯電話でのコミュニケーションが盛んで、これなくしては「友だち関係」がつくれないほどです。 でも、その反面、ネットによって友だち関係がくずれたり、あるいは非行に走ったりすることもあります。 親もこうした現状に戸惑っています。 「ネットがほんとうに、人間関係にプラスになっているのだろうか」 と自問自答していたら、わたしの娘が、こう言いました。 「お父さんは、古いよ。携帯やメールで、悩み事を打ち明けたり、いろいろおしゃべりしたり、人間関係に役に立っているよ。携帯のない世の中なんて考えられないよ」 と笑われてしまいました。たしかにその通りだと思います。 その通りなのですが、わたしはいまひとつ、なんだか納得できませんでした。 もっと、違う人間関係があるのではないだろうか、大切な何かを失ってはいないだろうかと、思うのです。わたしとおなじように、心配されている親御さんも多いのではないでしょうか。携帯やメールも人間関係をつくるうえでは大切ですが、それが原因で、多くの憂慮すべき「事件」が起こり、子どもたちの心から大切な「何か」が消えかかっているような気がするのです。 この本では、ネット社会とは違う、生身の人間関係の子育てを考えたいと思います。 わたしは、生身の人間関係こそが、ネット社会で失われつつある「温かな関係」をつくるのではないかと考えます。 親子で、ネット社会では得られない血の通った人間関係に思いを馳せていただければと思います。 * * 子どもと親の最初の人間関係は、「産声」からはじまります。 親は、子の産声に、親の自覚をうながされ、「生まれてきてありがとう」と心底思います。そして、自分の子どもとして生まれてきてくれたことに、感謝します。 親のこうした、無垢の気持ちを、わたしは「産声の心」と呼びたいと思います。 この産声の心こそが、子育ての原点だと思います。ですから、わが子の子育てに迷ったときは、この産声の心に立ち戻ってください。 泣くだけの赤子なのに、いつしかその喃語を聴き「これはミルクをほしがっている声」「これはオムツが濡れた声」と、親はわかるようになります。なぜなのでしょうか……。 赤ちゃんの泣き声や表情のなかに込められた心・気持ちを親が必死でわかろうとするから、理解できるようになるのですね。「産声の心」「喃語の声」とは、すなわち「聴く心」でもあるのです。 さて、年月がすぎ、赤ちゃんは少年・少女に育ちます。 赤ちゃんのときは、「泣くこと」で、親に切ないメッセージを伝えましたが、少年・少女に育ったわが子は、「グチ」「弱音」「悪態」といった泣き声≠ナ、その気持ちを、その心を伝えようとします。泣き声ではなくて、親への反抗≠ニいう形になってはいるものの、「親に心を伝えたい。自分の気持ちをわかってほしい」との思いは、赤ちゃんのときとおなじなのです。そう思うと、泣き虫の涙は悔し涙なんですね。いじらしく、健気です。 「クソババァ」と言われても、「悔しさの照れ隠し」と思えますよね。悔しさをグチや弱音に置きかえて吐いてくれているうちが花≠ナすね。すると、子どもの心が見えてきますよね。これは、けっして携帯電話やメールでは共感できないことです。 さぁ、「産声の心」を思い出しましょう。そして、あなたの温かい手で、子どもの頭をなでてあげましょう。ネットでは得られない喜びを、その手の温かさのなかに、きっと子どもは感じてくれるはずです。 |
目 次 |
まえがき 第1章 子どもが心を開く、3つの「魔法の扉」
第1の扉……【手間をかける】手間をかけるコツは「楽しみ」 第2章 素直になれない子どもたちの春夏秋冬 【1節】カウンセラー日誌……子どもの息づかい≠ェ聴こえてきますか 一方通行でない関係づくり子どもに弱音を吐いてもらえる関係 せんせい、と呼んでもらえるだけで…… 【春】 ・友だちになじめない子 ・偶然の孤立 ・燃えつき、息切れの引きこもり ・小児の対人不安 【夏】 ・「ひとり遊び嗜好」の引きこもり ・アルコール依存 ・シンナー依存 ・アルバイト、無就労 ・高校中退 ・母ひとり子ひとり 【秋】 ・家庭内暴力 ・共働き家庭の子 ・昼夜逆転 ・ロックに夢中だった子 ・「こだわり」をもつ子 【冬】 ・自殺をほのめかす子 ・受験不安 ・卒業間近の不登校 ・絆 【2節】向きあうためのトラブル≠セと思いませんか? 「学校に行きたくない!」、そのひと言があればこそ、好転した親子関係自分の人生の主人公は自分であると気づくことの意味 親子とはお互いさまの関係 無防備に親を信じて生きるのが子という存在 第3章「子どもの気持ち」を聴く40のエピソード エピソード1 構えた話しかけをしていませんか? 2 ただ、そのまま聴いていますか? 3 具体的に聴いていますか? 4 自分が無力であることを認められますか? 5 その場しのぎの言い訳をしていませんか? 6 真剣すぎていませんか? 7 うなずいてばかりいませんか? 8 理屈で話をまとめようとしていませんか? 9 一心不乱な姿を見せていますか? 10 理屈で「自分さがし」をうながしていませんか? 11 間をとらずに相手の心に入っていませんか? 12 子どもの主体性におまかせ≠オていませんか? 13 具体的にほめていますか? 14 わたしにまかせなさい、と言えますか? 15 ケンカすることを恐れていませんか? 16 納得できなくてもうなずけますか? 17 やりきれなさに耐えられますか? 18 話すことより、聴くことに心がけていますか? 19 家族のいざこざから目をそらしていませんか? 20 言い足りない言葉を補足してあげていますか? 21 意味づけをうながす質問をしていますか? 22 親の背中を見せていますか? 23 子どもの自己主張を小出しに認めてあげていますか? 24 達成感を子どもに与えていますか? 25 平気で他人任せにしていませんか? 26 対等な目で子どもを見ていますか? 27 相手の気持ちに巻き込まれていませんか? 28 子どもの話を、ときには聞き流していますか? 29 子どもがいま何に夢中か、知っていますか? 30 否定するわが子の言葉にも、うなずけますか? 31 手の温もりを伝えていますか? 32 自分の失敗談を、子どもに話して聞かせたことがありますか? 33 親の気持ちを優先させて、子どもに近づいていませんか? 34 子どもの悪態に、すぐ反応していませんか? 35 アドバイスのつもりが押しつけになっていませんか? 36 立ち止まり、問いかけていますか? 37 いきなり本論に入っていませんか? 38 おまえの悩みはわかるよ、と簡単に言っていませんか? 39 子どもに助けられている、と感じていますか? 40 こんな親だけど……、と自分自身を肯定できますか? 40のエピソードをふり返って…… 第4章 子育てハートの原点は保育 この世に「困った子で生まれたい」と願って誕生した子はいない 「困った子」は「困っている子」 悩んでいることは現実と向きあっていること 「悪気はなかった」という見方を大切に 人は「解決する」聞き方を求めてはいない 親自身がわが子を受け入れないときにトラブルが起こる 気になっていることは関わっていること あとがき――ネットでは伝えきれないものがある |
あとがき |
(一部抜粋) |
著者紹介 |
■ 富田富士也(とみた ふじや)■ 1954年、静岡県御前崎市出身。教育・心理カウンセラーとしてコミュニケーション不全に悩む青少年への相談活動を通じ、絡み合いの大切さを伝えている。「引きこもり」つづける子どもや若者、その親や家族の存在にいち早く光をあて、「治療的」でないカウンセリングの学びの場を全国的に広めている。総合労働研究所所員、千葉明徳短大幼児教育科客員教授、千葉大学教育学部非常勤講師等を経て現職となる。
■主な著書 |
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